肝心の画質だが、液晶パネルが違うこともあり、見た目の印象は少し異なる。SP1908FPは、光沢パネルを採用するだけあって、発色に鮮やかさがあり、動画コンテンツの視聴ではメリハリのあるTVに近い雰囲気が出る。コントラスト比は800:1で、SE198WFPの1000:1より少し低いのだが、動画再生時はこちらのほうが明暗差のあるダイナミックな表示に感じた。ハイコントラストでパンチのある画質を好むユーザーに向いた表示傾向と言えるだろう。ただし、光沢面への背景の映り込みはそれなりにあるので、設置時は照明の位置関係に注意が必要だ。
SE198WFPは非光沢のパネルを用いることから、SP1908FPと比較すると発色では見劣りするが、誇張のない自然な表示ともとれる。動画コンテンツの視聴では、SP1908FPほどの派手さはないが、暗部の階調がつぶれるようなこともなく、映画やPCゲームの映像を無難に再生できた。外光の映り込みが少ないため、こちらを好むユーザーは少なくないだろう。
いずれも応答速度や階調性は同じようなレベルだ。応答速度はTN方式のパネルを採用したこのクラスの新製品としては標準的で、通常の操作では気にならないが、スクロールする映像や3Dアクションゲームなどでは、映像が少し尾を引くように感じることもある。応答速度の感じ方は個人差が大きいので、気になる人はデル・リアル・サイトなど店頭で確認してみるのもよいだろう。もっとも、低価格帯の液晶ディスプレイは発売時期が同じなら(液晶パネルの世代が同じなら)、応答速度に劇的な差はなく、あまり真剣に考えても仕方がない部分と言える。
階調性については、上位機種のような滑らかなグラデーションは得られないが、個人がデジタルカメラで撮影した画像を簡単にレタッチする程度なら問題ないだろう。ただし、視野角は上下方向が少し狭く、画面を見る角度によって色度とコントラストが大きく変化するため、色を確認する場合は必ず正面から画像を見るように心がけたい。
ディスプレイの各種設定は、本体前面の操作ボタンで行う。ボタンの形状は2モデルで異なるが、配置と機能は同様だ。ボタンは左から「映像入力信号の切り替え」「OSDメニュー起動/選択」「マイナス」「プラス」「電源」の順番で並ぶ。OSD非表示のさいにマイナスボタンを押すと、明るさ/コントラストを調整するメニューが起動し、プラスボタンを押すと画面の自動調整が行われる。
低価格帯の製品らしく調整可能な項目は少ないが、輝度やコントラスト、色温度といった基本的な項目は備えている。長時間の文書作成などの作業を考慮すると、輝度はもう少し下げられてもよかったと思うが、一昔前の同社製品のように最低値に設定しても明るすぎるということはない。しかし、ワンタッチで画質モードを変更するような機能は搭載していないため、用途によって輝度を変更する手間はかかる。
色調の調整メニューは、モデルによって内容が若干異なる。SP1908FPは、カラー設定を「標準プリセット(sRGB)」「青プリセット」「赤プリセット」「ユーザー」の4種類から選べるが、SE198WFPではこの4種類に加えて「マルチメディア」「ゲーム」といった目的別のモードも選べる仕組みだ。6500Kや9300Kなどのケルビン値での色温度指定はできないが、標準プリセットがsRGBの設定なので、通常はこれにセットしておけば問題ないだろう。ユーザーを選択すれば、RGBの明るさを個別に設定することもできるが、全体の階調性が崩れるので基本的には触らないほうがよい。そのほか、SE198WFPはカラーフォーマットとしてPC用の「RGB」とAV機器用の「YPbPr」が選択できる。
ちなみに、液晶パネルの解像度を下回る解像度を表示する場合は、いずれもフルスクリーン拡大になる。アスペクト比の表示方法を切り替えたり、ドットバイドットの等倍表示を行うような設定は用意されていない。
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