アーク情報システムの「HD革命CopyDrive Ver.2.5 for Vista」(以下HD革命)は、こうした目的に最適の1本だ。現在のXPの環境をそのまま別のディスクにコピーし、一方をVistaにアップグレード、もう一方をXPのまま残しておくことができる。
HD革命の特徴を一言で言うと「簡単」、これに尽きる。中級者以前のユーザーにとってHDDの操作というのは恐ろしいものだ。パーティション、ドライブ、クラスタ、FATにNTFS、MBRなど、やたら小難しい単語が並べたてられ、いったい何がどうなるのか分からないまま先に進むと、今度は「この操作を行うとデータはすべて失われます、操作は取り消せません」といった警告が出る。とかくとっつきにくいことこのうえない。
ところがHD革命は機能を絞り込むことで初心者にも迷わずに操作できるようになっている。メイン画面で設定できる項目はコピー元のHDD、コピー先のHDD、それにコピー方式の3つだけ。パーティションのことを考える必要すらない。その印象はメディアのダビングそのものだ。
まずは新しいHDDを接続する。HD革命はWindows上で動作するため、Windowsで認識されるドライブであれば接続方法は特に問わない。外付けHDDケースや変換アダプタでeSATA、USB、IEEE1394などで接続したり、ケースを開けてSATA/IDEで直結してしまってもかまわない。現在のHDDより小さい容量のHDDへのコピーもサポートしているので、余ったHDDがあればそちらにコピーしてしまうのも手だ。
次にコピー方式をEWF方式とリブート方式から選択する。EWFはEnhanced Write Filterの略で、バックアップのために書き込みを禁止したパーティションへの書き込みをリダイレクトして保護するもの。システムドライブとして利用中のパーティションも含めてWindows上からコピーを行うことができる。だが、そういった難しいことを考える必要はない。デフォルトでは簡単にコピーできるEWF方式が選択されており、それが不可能な場合だけリブート方式を促される。
HDDへのコピーが完了したらいったん再起動し、ハードウェアの取り外しを行う。これで(XPの)現在の環境は保存された。あとは内蔵HDDをVistaへアップグレードすればいい。面倒でなければ、経年劣化を考慮してHDDを交換してからアップグレードしたほうがいいだろう。
ちなみに、HDDのバイト単価は年々下落しているため、新しく購入したHDDの容量が以前のものより大きいことも多い。しかし、HD革命でコピーすると、容量の増えた分は未使用領域として使用されないままになっている。
この領域を使用する方法は2つある。1つは新しくパーティションを作成し、データ領域として使用する方法。簡単だが、Windowsから見るとローカルドライブが1つ増えるため、そのドライブをどのように使用するかはユーザー次第ということになる。システムドライブ(Cドライブ)の容量が増えるわけではない。
もう1つはパーティション管理ユーティリティを使って、既存のパーティションを拡大する方法。HD革命/CopyDriveの上位エディションである「HD革命/CopyDrive Pro」には、「HD革命/Partition Lite for Vista Ver.1」が同梱されており、このようなニーズにも対応できる。価格差は1000円もないので、Vistaに対応したパーティション管理ユーティリティを持っていない人は、Proを購入するといいだろう。
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