「SA」シリーズと比較した場合、重量はわずか33グラム増の993グラムとなり、幅が227ミリ、奥行き170ミリとサイズもそれぞれわずかに9ミリ、7ミリ大きくなった。もちろん、軽量なA5ノートPCという位置付けに変わりない。
すでに紹介したように、CPUが600MHz動作のIntel A100で、グラフィックス機能を統合したチップセットIntel 945GUを採用したことで、「SA」シリーズのGeode-LXと比較すると基本性能が大幅に強化されたといっても過言ではないだろう。CPUの動作クロックだけ見ればたった100MHzのアップに過ぎないが、Geode-LXのアーキテクチャが改良を重ねているとはいえPentium対抗の“Cyrix MediaGX”なのに対して、A100は最新のコアマイクロアーキテクチャを採用している。チップセットに組み込まれたグラフィックス機能も最新のノートPC向け外付けGPUより動作クロックが低いとはいえ「AERO」にも対応しているIntel GMA950だ。
もう1点大きくグレードアップしたのが液晶ディスプレイだろう。サイズこそ7インチワイドと変わっていないが、解像度は800×480ドットから1024×600ドットに変更されて表示できる情報量は1.6倍になった。リリースによれば「カーナビ仕様のパネルを採用」としているが、それが幸いしてか視野角も不満のないレベルだ。表面は光沢仕上げだが、ダイレクトに光源が入り込まないかぎり映りこみもさほど気にならない。Webブラウザやメールソフトなどごく一般的な用途であっても、やはり横1024ドットになったメリットは確実に感じる。
使い勝手という意味で大きな改良点はやはりキーボードだ。一見すると、キーレイアウトもピッチも「SA」シリーズとほぼ同じだが、パンタグラフ式に変更されたうえにキーボード全体の剛性が向上、キータッチが改善されたことはもちろん、タイプしたときにたわみをほとんど感じなくなった。筆者は、以前SAシリーズを評価したときに、キーボードの総合的な“出来”が「SA」シリーズで最も気になっていた。それだけに、個人的に非常に喜ばしい改良が施されたと考えている。
ディスプレイ部が180度反転してスレートスタイルでも利用でき、ポインティングデバイスをディスプレイ側に備えるデザインは「SA」シリーズと同様だが、「SH6」シリーズは、「SA」シリーズの後期モデルで導入されたタッチパネル機能を備えることでより本格的にタブレット操作ができるようになった。ディスプレイ部右側面に収容式のスタイラスを備えるほか、感圧式なので簡易的に指で操作もできる。スレートスタイルでなくてもウインドウをドラッグしたりダイアログのボタンをクリックしたりといった操作はアームレストのタッチパッドを操作するよりも楽だった印象を受けた。
ディスプレイ側に備えるボタンの数も増えた。ディスプレイ左にはスティックポインタに加えて4方向ボタン「DIRECTION」も装備。右にはマウスボタン、スクロールボタンに加えてラウンチャー、シャッター、画面回転、ENTERボタンが追加され、「SA」シリーズではディスプレイの左側にあった輝度調整ボタンが右側に移動した。ラウンチャーボタンではWindows Media Playerの起動が可能で、シャッターボタンでは内蔵カメラでの静止画撮影に使える。画面回転ボタンでは画面が90度ずつ回転できる。以上の変更によって、タッチパネル機能と合わせてスレートスタイルでの使い勝手は大幅に向上している。
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