ソフトウェアとサービスの融合を果たす――MSNとWindows Liveの事業戦略Windows LiveはIDを統合(1/2 ページ)

» 2007年08月03日 01時00分 公開
[前橋豪,ITmedia]

ユーザーエクスペリエンスの強化、広告ビジネスの拡大を狙う

 マイクロソフトは8月2日、MSNやWindows Liveを運営するオンラインサービス事業部の戦略説明会を開催。新技術や新サービスのデモを交えつつ、2008年度におけるMSNとWindows Liveの事業戦略を明らかにした。

執行役常務オンラインサービス事業部長の笹本裕氏

 最初に登壇した同社執行役常務でオンラインサービス事業部長の笹本裕氏は「現職について半年経ったが、昨年度の第4四半期に高成長を示すなど、幸運な半年間だった」と2007年度の後半を振り返り、2008年度の事業戦略として「MSNとWindows Liveで得られるエクスペリエンスの強化」「新しい広告領域の拡大」「全社的な取り組みであるソフトウェアとサービスの融合」の3つを掲げた。

 マイクロソフトの強みはWindowsプラットフォームに代表されるソフトウェア製品群だが、そこにMSNやWindows Liveといったオンラインサービスを融合することで、豊かなデジタルライフをどのように提案できるかが課題だったという。2008年度のオンラインサービスは、質の高いエクスペリエンス、ソフトウェアとのシームレスなエクスペリエンスを提供することがテーマとなる。

 また、マイクロソフトの米国本社が5月にオンライン広告企業のaQuantiveを買収したことにともない、高度化するターゲティング広告や動画を含むリッチな広告、モバイル広告に対応し、広告ビジネスを拡大していく計画だ。同氏はaQuantiveの買収を「マイクロソフト史上最大の投資であり、その技術をどれだけ最大化できるかが我々のミッション」と位置付け、すでに日本でどのように広告ビジネスを展開していくかを日常的にaQuantiveと話し合っていると説明した。

 ソフトウェアとオンラインサービスの融合に関連した新技術としては、画面に指で直接触れることで操作が可能な情報端末「Surface」を紹介。「タッチパネルでデータを転送したり、シェアできるなどの機能を生かし、ソフトウェアとサービスの融合で新たなデジタルライフを実現できるのではないか」と同技術への期待を示した。Surfaceは5月に発表ずみで、今年末までに市場投入される予定だ。

マイクロソフトのソフトウェアとオンラインサービス(写真=左)。ユーザーのインターネット利用環境や広告ビジネスモデル環境の変化に対する戦略アプローチ(写真=中央)。Surfaceのイメージビデオ(写真=右)

“ONLY ON MSN”をめざして主力コンテンツが続々リニューアル

オンラインサービス事業部MSNメディアネットワークエグゼクティブプロデューサーのショーン・チュウ氏

 MSNのメディア戦略については、オンラインサービス事業部MSNメディアネットワークエグゼクティブプロデューサーのショーン・チュウ氏が説明した。同氏は、「MSNビデオ」の強化や、「MSNビューティスタイル」に「MSNムービー」、そして「環境特集」など、2007年度にローンチしたサービスおよびコンテンツを例に挙げ、2007年度を「非常にエキサイティングな1年だった」と総括。これまでは“知る”と“調べる”ということをメインにサービスを作ってきたが、2007年度に入ってから“楽しむ”という要素を増やしてきたと述べた。

 また、昨今のMSNで最大のトピックとして、先月開催されたライブイベント「LIVE EARTH」を独占配信したことを挙げた。LIVE EARTHは7大陸10都市で行われたライブイベントで、オンライン配信では過去最大となる6300万ストリームを記録、1500万人が視聴したという。「テレビ中継と異なり、ユーザーが同時に10都市の様子をリアルタイムに視聴できるなど、新しい見せ方が高い評価を受けた」と、ストリーム数だけでなく、Webコンテンツならではの優位性もアピールした。

 2008年度のMSNは“新たなポータルメディアへ進化”がテーマ。「ユーザー層の明確化」「新しいメディアエクスペリエンスの提供」「厳選されたコンテンツ」の3点を組み合わせて、それらをプログラムド・エクスペリエンスと呼んで事業を展開する。

 ユーザー層の明確化では、25〜45歳の年齢層にターゲットを定める。サイトのコンセプトは「ポジティブに生きたい“都会派”のための知的エンターテインメントサイト」とのこと。新しいメディアエクスペリエンスとしては、Silverlightに代表される新技術や動画をコンテンツに積極的に取り入れていく。そして、MSNでしか見られない厳選されたコンテンツによって、“ONLY ON MSN”というキーワードを追求するとした。

 具体的な展開としては、10月にWeb中心に編成を変えた「MSN産経ニュース」をローンチし、それ以降にすべてのチャンネルのデザインやナビゲーションを変更、2008年1月にサイトをリニューアルし、春先にはMSNビデオをバージョンアップさせる。MSNビデオのバージョンアップでキーとなるのが、4月に米国でβサービスが始まった動画共有サービスの「Soapbox」だ。日本でも2007年度中のサービス開始を予定している。

MSNで2007年度にローンチしたサービス(写真=左)。ポータルメディアへの変革を目指す(写真=中央)。MSNの2008年度事業戦略(写真=右)

動画共有サービスのSoapbox(写真=左)。Silverlightを使用したFOXのビデオプレーヤーでは、画面上にサムネイル画像を並べたチャプターサーチが表示され、任意の場所にジャンプできる(写真=中央)。Silverlightを用いたWebサイトの別の例では、鍵盤をクリックすることで音を鳴らすことができるバーチャルピアノのデモが行われた(写真=右)

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