至高のAVノートPCを味わう――東芝「Qosmio G40/97C」(1/2 ページ)

» 2007年08月16日 18時00分 公開
[兼子忍,ITmedia]

AVノートPCの最高峰「Qosmio G40/97C」

 地上波TV放送の完全デジタル化を4年後に控え、PCのTV機能もすっかり地上デジタル放送に対応したものが主流となった。地上デジタルTVチューナーを搭載したPCには、PC本来の用途とTV、さらにTV番組の録画機を1台でこなせるというメリットがある。だが、デジタル放送の最大の見どころであるハイビジョン映像の本来の美しさをそのまま視聴、録画できる製品となれば、その数はまだまだ少ない。そこで、PCで本格的にデジタルTV放送を堪能したい人におススメなのが、東芝のAVノートPC「Qosmio G40/97C」だ。

 Qosmioシリーズの最上位モデルとなる本機だけに、基本スペックには見どころが多い。Core 2 Duo T7300(2.0GHz)とIntel PM965 Expressチップセットの組み合わせは、最新のハイエンドノートPCとしてはめずらしくないが、本機はグラフィックス機能としてGeForce 8600M GTを搭載し、ゲームも楽しめる3D描画性能を実現している。

 さらにAVノートPCとしての使い勝手に関わる部分にも妥協はない。HDDは容量160Gバイトのドライブを2基使った合計320Gバイトの構成で、ハイビジョン番組も余裕を持って録画できるほか、HD DVD-Rの等倍速記録機能と、DVDスーパーマルチドライブ(DVD±R DL対応)相当の記録機能を備えたHD DVD-Rドライブを採用する。デジタル放送対応のAVノートPCとしては特筆できるポイントだ。

HD DVD-Rドライブを搭載。左パームレストにはFeliCaポートもある

 デジタルTVチューナーを搭載したPCの多くは、光学ドライブにDVDスーパーマルチドライブを採用するため、録画したハイビジョン番組をDVDメディアにムーブする際には、画質劣化という大きな代償を払う必要があった。しかし本機なら、録画時の画質を保ったままでハイビジョン番組をムーブできることから、HDD用量に余裕を生み出すことが可能となっている。

 唯一気になる点を挙げるなら、メインメモリの容量が1Gバイトと、Windows Vista Home Premiumを利用するにはやや物足りないことだ。優秀なスペックをそろえた本機だけに画竜点睛を欠くのが悔やまれるところだが、予算に余裕があるなら、本体と同時に最低1Gバイトの増設用メモリを同時に購入することをおススメしたい。ちなみに、メモリは最大4Gバイトまで搭載できるが、32ビット版Windows Vistaでは、システムが利用できるメモリは最大3Gバイトに制限される。また、メインメモリとは別に、ディスクキャッシュとして機能する1Gバイトの「Intel Turbo Memory」が標準搭載されている。

 液晶ディスプレイは1920×1200ドットのフルHD表示に対応。ハイビジョン番組のライブ視聴や、HD DVDコンテンツを鑑賞する際も、ハイビジョンならではの美しい画質をそのまま表示することが可能だ。

 なお、2灯式バックライトの採用でディスプレイは極めて明るく、また発色も鮮明だった。17インチワイドというパネルサイズは、リビングに設置するTVとしては小さすぎるが、書斎やベッドルームといったプライベートな空間に設置する2台めのデジタルTVの視聴/録画環境としては十分な性能を発揮してくれるだろう。

視聴から録画まで、地上デジタル放送をしゃぶりつくせる充実の機能

 機能面での目玉であるTV機能は、地上デジタル放送と地上アナログ放送に対応したダブルチューナおよび、独自のTV視聴/録画ソフト「Qosmio AV Center」で構成される。Qosmio AV Centerは、付属のリモコンで操作すると、画面から離れた位置でも高い視認性を得られる大きな文字のメニューを、またマウスやタッチパッドで操作すると、文字サイズを抑えつつ、より多くの情報を一度に参照できるメニューを、自動的に切り替えて表示する仕組みだ。

 TV視聴/録画ソフトのインタフェースは、ディスプレイから3メートルほど離れた位置での操作性を改善する、いわゆる10feet UIが重視されがちだが、ノートPCの場合、普段の作業とTV機能を切り替えて、画面に近い位置でTV番組を見る機会も多い。TVとしてもPCとしても使い勝手のよいインタフェースを整える点は、高機能AVノートPCというジャンルを開拓してきたQosmioシリーズならではの見どころといえる。

 さらに、Qosmio AV Centerは地上デジタル放送のウィンドウ表示にも対応するので、Webブラウジングや文書を作成しながらTV番組を視聴する、いわゆる「ながら見」を行うことも可能だ。なお、アナログTV機能は、3次元Y/C分離回路やゴーストリダクション、デジタルノイズリダクションといった多彩な機能を搭載した独自の高画質化回路「Qosmio Engine」により、録画、視聴ともに美しい映像を実現している。

2基のHDD(Serial ATA)を底面に搭載。あわせて320Gバイトの大容量HDDにハイビジョン番組を録画できる

 録画機能は、ダブルHDDの搭載でハイビジョン番組を最大約35時間にわたって録画することができ、これにHD DVD-Rへの無劣化ムーブを組み合わせれば、本機を本格的なハイビジョン録画システムとして利用することも十分に可能だ。さらに、デジタルとアナログ1番組ずつの同時録画にも対応するので、エアチェックを重視するユーザーも思う存分TV番組を録りためることができる。

 本体デザインはキーボードの両側に配置された2つのデバイスが特徴的だ。右側の「AVコントローラ」は、キーボードから手を大きく離すことなく、リモコンと同等の使い勝手を実現する。中央の決定ボタンを取り囲む十字ボタンと、外周のタッチセンサー式カーソル移動ボタン(2段階速度切り替え可能)、「戻る」ボタン、クイックメニュー表示ボタンにより、リモコンが扱いづらい近距離でもQosmio AV Centerを操作できる。

 一方、本体左側には大口径のボリューム調整ダイヤルを搭載。大型のダイヤルは細かいボリューム調整が行いやすく、周囲の環境に合わせて最適な音量をすばやく設定できるのがメリットだ。

 スピーカーシステムは、キーボード奥の中低音域用バスレフ型スピーカーと、液晶の両脇の高音域用スピーカの4基が実装される。これに、従来のPC用アンプより格段に優れた再生品質を備える1bitデジタルアンプを組み合わせることで、内蔵スピーカーのみでも心地よく音楽を楽しめる音質を実現している。

キーボード両側に搭載されたAVコントローラとボリューム調整ダイヤルも特徴の1つ。スピーカーはおなじみのharman/kardon製だ

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