モバイルPCに理想型があるなら、それは「RX1」かもしれない薄くて軽くて長時間駆動(1/3 ページ)

» 2007年08月17日 20時30分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

薄く、軽く、使いやすい、“世界一”のモバイルPC

 東芝から登場した「dynabook SS RX1」は、12.1インチワイド液晶を採用し、光学ドライブも内蔵する2スピンドル機だ。2スピンドルのモバイルノートPCは、モビリティを多少犠牲にしても機能を優先するという位置付けが一般的で、実際同社も従来は1スピンドルの「dynabook SS SX」と2スピンドルの「dynabook SS MX」の2製品でモバイルノートPCの需要に対応してきた。これに対して本機は「dynabook SS MX」の多機能性をほぼそのままに、「dynabook SS SX」以下のサイズと重量を実現した製品である。

 その注目すべきボディは、同クラス(12インチディスプレイ、2スピンドル)で世界最薄、最軽量を達成しており、最薄部は19ミリ、重量はSSD搭載モデルとバッテリーパック2900(従来の標準バッテリに相当)の組合せでわずか848グラム、HDD搭載モデルとバッテリパック5900(従来の大容量バッテリーに相当)の組合せでも1090グラムでしかない。1スピンドルのdynabook SS SXの現行モデルは最薄部が26.9ミリ、標準バッテリーパックとの組合せで1240グラムだったのだから、本機がいかに薄く、軽く進化したかが分かるだろう。

 もちろん従来製品で培ったモバイルノートPCに求められるタフさも犠牲にはしていない。筐体には強度の高いマグネシウム合金を採用し、板厚を0.45ミリまで薄型化することでモビリティと堅牢性を両立。軽量化に関しては底面の一部にパンチング加工まで施されている。

超低電圧版のIntel Core 2 Duo U7500とIntel 945GMS Expressを組み合わせた基本システムを採用。高密度に実装されたマザーボードだ。CPUの熱は左側面に排気される

 従来モデルより大幅にスリム化されたディスプレイ部は、背面から側面まで一体のバスタブ構造とすることで剛性を確保している。

耐衝撃性という点では加速度センサーも装備し、振動や衝撃、もしくはその前兆を検知した時にHDDのヘッドを退避する機能も装備。ただし、初期設定では反応がデリケートすぎて、使用中にちょっと持ち上げた程度でも機能が働くことがあったのは気になった

 これら以外にもドーム構造や落下の衝撃からHDDや液晶パネルを保護するプロテクトラバー、キーボード部からの液体の進入時に内部を保護するウォーターブロック構造もなども従来モデルから継承しており、大幅な軽量化にも関わらずドイツの認証期間「TUV」での落下、浸水テストは「dynabook SS SX」と同レベルをクリアしているのだ。

 dynabook SS RX1はいくつかの“世界一”を冠しているが、それはモバイルノートPCとしての本質を突き詰めた結果でしかないだろう。平均的なB5ノートとA4ノートの中間に位置するフットプリントは、十分な情報量を確保するパネルサイズと使いやすいキーボードを採用するためにあえて小さくしていないのだろうし、モバイルPCにとって必ずしもマストアイテムではない光学ドライブを搭載したのも何より利便性のためだ。“世界一”という勲章が目的だったわけではないという印象を受けるのは、パッと見でノートPCとしての作りに無理を感じないからだろう。

バッテリー動作時間だけではなくパフォーマンスにもこだわったコアコンポーネント

 CPUには超低電圧版のIntel Core 2 Duo U7500(1.06GHz)、チップセットにはIntel 945GMS Expressを採用し、グラフィックス機能はチップセット内蔵のGMA950を使用する。バッテリーでの長時間動作を求められるこのクラスでは、いまどきのノートPCとしてはスタンダードな組合せだ。モバイル利用の頻度が高い人にとっては十分に納得が行く構成ではないだろうか。

 なお、HDDモデルでは消費電力の小さな1.8インチではなく2.5インチ/5400rpmのドライブが組み合わされている。HDDへのアクセスが頻繁なWindows VistaプリインストールのモバイルノートPCでは常道になりつつあるが、この点でも同社がめざしたものがあくまで使い勝手であって、「世界一」という勲章ではないことが見てとれる。本機に搭載されている80Gバイトのドライブならば1.8インチでもカバーできるし、高付加価値を前提にした本機ではコスト的にも無理なことではなく、さらなる軽量化とバッテリー動作時間延長も不可能ではなかったからだ。

 このほか、光学ドライブに7ミリ厚の特殊なDVDスーパーマルチドライブを採用し、ネットワーク機能として1000Mbpsの有線LANと802.11a/g/b対応の無線LAN機能を備える。ちなみに、東芝製品というとBluetoothの搭載を期待する向きも多いと思うが、残念ながら店頭販売モデルには用意されておらず、同社の直販モデルにのみラインアップされている。なお、店頭向けにはSSD搭載モデル、HDD搭載モデルのほか、HDDを搭載して光学ドライブを省略した3モデルが用意されており、その中から今回試用したのは2スピンドルのHDD搭載モデル(RX1/T7A)だ。

OSと連携して動作するネットワークユーティリティ「ConfigFree」を装備。設定毎にセキュリティレベルを変更したり、プログラムの自動起動なども可能。例えば無線スポット用の設定では、自動でファイル共有機能を無効にし、ログインユーティリティを起動するといった使い方ができる(画面=左/中央)。無線LANアクセスポイントの検出機能はレーダーのような表示でちょっとカッコイイ(画面=右)

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