NECが考えるPCの近未来――“カラバリ”から“ガラバリ”へレーザー刻印対応モデルが拡充

» 2007年08月21日 13時55分 公開
[田中宏昌,ITmedia]

さまざまな“付加価値”を提案するNEC

NECパーソナルプロダクツ PC事業本部 開発生産事業部 モバイル商品開発部 主任 神尾俊聡氏

 2007年になり、NECは直販のNEC Directを通じてノートPCに関する新たなサービスを相次いで提供している。2月に始まった「メッセージ刻印サービス」を皮切りに、3月にはアニメの「DEATH NOTE」をモチーフにした限定30台のノートPCを販売(日テレ通販・ポシュレで販売)、6月には山崎樹範デザインの「やましげミュージックホールパソコン」の販売(BIGLOBEで販売)や「ハローキティモデル」第2弾の投入、7月には3D塗装のノートPCやラグナロクオンラインのキャラクターが天板に刻印されたラグナロクオンライン推奨ノートPCを発売するなど、従来には見られないサービスを積極的に展開中だ。これらのサービスの開発を担う、PC事業本部 開発生産事業部 モバイル商品開発部 主任 神尾俊聡氏に話を聞いた。

左からラグナロクオンライン推奨PC、ハローキティモデル、やましげミュージックホールパソコン

これからは“カラバリ”ではなく“ガラバリ”の時代になる

時代は“カラバリ”から“ガラバリ”に!

 7月に提供が始まった「3Dデザイン」とは、磁性体塗料を使うことにより、2次元でありながら光の加減によって立体的(3次元的)に見えるデザインを意味する。現状、同社直販のNEC Directでのみ販売されており、LaVie GタイプL(s)をベースにしたサファイア(青)/ガーネット(赤)/トパーズ(黄)が用意されている。

 液晶ディスプレイ天板とキーボード上部の2カ所に採用されている3Dデザインだが、具体的には、素材面にプライマを塗り、そのうえに磁性体を含んだ透過性のある塗料、そしてクリアコーティングを施すという3層構造をとる。磁性体塗料にはニッケルや銅、コバルトなどが含まれており、磁石を使ってそれらの金属粉の傾きを変えることで、3次元的に見せかけることが可能になる。

 現時点で模様は1種類のみ(カラーは3色)だが、多色化はいうまでもなく、技術的にはベース部分をシルク印刷にすれば細かいイラストも実現できるという。

Moving Paintnの特徴(写真=左)。磁性体塗装の仕組み(写真=中央)。磁性体塗装は色やパターンを組み合わせることが可能だ(写真=右)

左から3Dデザインを採用したガーネット(赤)/トパーズ(黄)/サファイア(青)

3D塗装が施された天板部分とキーボード上部のユニット部分(写真=左と中央)。磁石を使って磁性体を制御するときに、ユニット裏面のでこぼこがじゃまをするため、そのノウハウをつかむのに苦労したという(写真=右)

 2007年に実用化を果たした「刻印サービス」だが、これはレーザーマーキング装置を使ってPCのボディにテキストを刻む「メッセージ刻印サービス」と、イラストやマークなどを書き込む「マーク刻印サービス」が展開中だ。以前から試作を行っていたが、今年になってついに商用サービスが開始された。レーザーマーキングならではのメリットは、文字やイラストの版下製作が不要で少数ロットに対応でき、シルク印刷のような乾燥工程が不要になるなど、短期間かつ低コストで対応できる点にある。シルク印刷では長期間使っていると印刷部分が消えたりはがれたりしてしまうが、レーザーマーキングではそのような心配がないのもポイントといえる。

 現状、一般ユーザーが注文できるのは「メッセージ刻印サービス」のみで、メッセージの内容は1行または2行の文字のみ、全角フォントがHGS教科書体で1行12文字、半角フォントはLucida Calligraphyで20文字以内、全角と半角文字の混在は不可など細かな制限がある。ただ、今後はフォントの選択制をはじめ、より柔軟なサービスになるよう検討を加えているという。

 「もはやPCのカラーバリエーション(カラバリ)は当たり前になりました。これからは柄バリエーション(ガラバリ)をはやらせたいし、そういう時代になると思います」と神尾氏は力を込める。「特に3Dデザインは塗装の原料や色など、さまざまな条件を試すことができるので非常にやりがいがあります。今のところデザインは1つだけですが、将来的には複数のタイプから選べたり、カラーバリエーションも増やしていきたいですね」と抱負を語った。

レーザー加工の仕組み(写真=左)。レーザー刻印を行う装置(写真=中央)。米沢事業場に設置されている。メッセージ刻印サービスのサンプル(写真=右)

8月21日からメッセージ刻印サービス対応機が拡大、フルBTOが可能に

新シリーズのLaVie G タイプL スタンダード(s)。写真はNEC Direct専用カラーのグロスブラックモデル

 また、8月21日には秋冬モデルの第1弾として登場したLaVie L スタンダードにあわせる形で、メッセージ刻印サービス対応モデルが拡充した。まず、対応モデルが従来のLaVie G タイプCとLaVie G タイプL ベーシック(s)に加え、LaVie G タイプL アドバンストとLaVie G タイプLスタンダード(s)に広がり、それぞれがフルBTO対応となったため選択肢が合計で約2000万通りまで大幅に増強されたのがトピックだ。これまでは別々だったPCの購入とメッセージ刻印サービスの申し込みが1つのフローにまとまったことにより、購入時のプロセスが簡略化されたのもメリットと言えるだろう。

 メッセージの刻印場所は、LaVie G タイプLスタンダード(s)とLaVie G タイプL ベーシック(s)が液晶ディスプレイ天面のNECロゴ直下、LaVie G タイプL アドバンストとLaVie G タイプCが液晶ディスプレイ天板右下となる。また、LaVie G タイプL スタンダード(s)のガーネットレッド、LaVie G タイプLベーシック(s)の3Dデザインおよびラグナロクオンライン推奨パソコン、LaVie G タイプL アドバンストのCore 2 Duoモデルおよび地上デジタルモデルはメッセージ刻印サービスの対象外だ。

 なお、メッセージ刻印サービスを選んだ場合の納期は、通常納期に1〜2日追加した程度となり、追加費用は840円かかる。ただし、9月26日15時まで展開されるキャンペーンを適用すれば、半額の420円でメッセージ刻印サービスが選択可能だ。

LaVie G タイプL スタンダード(s)

左からグロスブラック/パウダーホワイト/ベリーブルー
シュガーピンク(写真=左)とリーフグリーン(写真=右)

LaVie G タイプL ベーシック(s)

左からローズピンク/ライムグリーン/スノーホワイト

LaVie G タイプC

左からパールホワイト/スカイブルー/ビターブラウン
シャインシルバー(写真=左)とベルベットパープル(写真=右)

LaVie G タイプL アドバンスト

左からベルベットパープル/スカイブルー/ビターブラウン/シャインシルバー

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