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» 2007年08月30日 11時15分 公開

カノープス独自のコーデックを採用:ワンランク上の映像作品を目指して――中級ビデオ編集ソフト「EDIUS Neo」を試す (1/4)

業務用ビデオ編集ソフト「EDIUS Pro」から一部の機能を省くことで、半額以下の価格を実現した「EDIUS Neo」。実際にHDVやAVCHDの編集を試してみた。

[都築航一,ITmedia]

カノープス発、本格仕様のVista対応ビデオ編集ソフト

 仏トムソン傘下の放送/配信機器部門グラスバレーと経営統合したことから、日本市場での動向が注目されていたカノープスだが、今年に入り文教系/初心者向けビデオ編集ソフトの「エディウスJ」、HDビデオキャプチャカードの「HDRECS」、中級者向けビデオ編集ソフトの「EDIUS Neo」といったコンシューマー市場も視野に入れた製品を断続的に発売している。

 数年前のように日本市場に特化したビデオキャプチャ製品群を大々的に展開するようなことはなくなったが、国内で個人向けの製品が投入され続けていることに安心感を覚えているユーザーは決して少なくないだろう。

カノープスの中級者向けビデオ編集ソフト「EDIUS Neo」。標準価格は、業務向けとなる「EDIUS Pro version 4」の半額以下となる3万1290円だ。カノープス製品のユーザーを対象とした優待版(2万4990円)、他社製品からの乗換版(2万2890円)も用意される

 今回取り上げるEDIUS Neoは、同社が初めてWindows Vistaへの正式対応をうたった個人向けのビデオ編集ソフトとなる。「EDIUS 3 for HDV」の後継製品にあたり、いまや同社の製品ラインアップにおける中核的存在のプロ向け編集ソフト「EDIUS Pro version 4」(以下EDIUS Pro)をベースに、一部の機能を省くことで、個人でも手の届きやすい価格を実現したものだ。同じく個人向け編集ソフトとして販売している「エディウスJ」とは性格が異なり、誰でもすぐに編集を楽しめる簡単さよりも、本格的なビデオ編集に対応する懐の深さがアピールポイントになる。

 ただし、EDIUS Proは今回のバージョンアップでもVistaへの対応が見送られていることから、必ずしも上位版との差別化のためだけでなく、Vistaでの動作を優先してやむなく実装が見送られた機能もあるのではないかと思われる。そこで今回は、新機能や使い勝手が向上した部分に加えて、省かれた機能についても注目しながら使用感を報告しよう。

HDVやAVCHDなどの多彩な映像ソースに対応

 EDIUS Neoでは、DVカメラやDVDビデオカメラなどで撮影した標準解像度(SD)の映像はもちろん、HDVカメラやAVCHDカメラによるハイビジョン(HD)の映像も、解像度を損なうことなく素材として読み込むことが可能で、これらの素材が混在した映像を編集することもできる。

 完成した作品の保存については、ファイルでの出力や、HDVおよびDVカメラのテープへの書き戻しが行なえるほか、今回から加わった機能として、メニュー付きのDVD-Videoで保存することも可能だ。ただし、AVCHD形式での出力には対応せず、ファイル保存/DVD保存のどちらも行なえない。また、Blu-ray DiscやHD DVDといったHDのディスクメディア保存にも対応していないので、必要なら別途オーサリングソフトを用意することになる。

ファイルの読み込みを実行しているところ(写真=左/クリックするとウィンドウ全体を表示)。動画/静止画/音声のいずれも幅広いファイルに対応している。DVD-Videoのメニューを作成するツールとして新たに加わった「Canopus DVD Creator」では、メニュー画面のカスタマイズにも対応する(写真=右)。タイムライン上で設定したマーカーをチャプターポイントとして自動的に読み込む機能も持つ

 なお、作品をテープに書き出したり、ディスクメディアに保存したりして、最終的にTVで再生することを予定しているのなら、画面の色やコントラスト、文字の読みやすさなどは、実際のTVモニターに映し出して確認しながら調整するのがベストだが、EDIUS Neoは「DVStorm」シリーズや「VELXUS」シリーズといった、編集中の画面をTVモニターで確認するための専用機器には対応していない。

設定画面の「リアルタイムDV出力を有効にする」をチェックすれば、PCのIEEE1394端子からプレビュー画面の映像と音声がDV形式で常時出力される

 ただし、設定画面に用意されている「リアルタイムDV出力を有効にする」にチェックを入れておくと、プロジェクトの設定がDVの場合に限り、PCのIEEE1394端子から、プレビュー画面の映像と音声がDV形式で常時出力されるようになる。これにより、DVカメラ/デッキのIEEE1394端子をPCに接続し、DVカメラ/デッキのビデオ出力端子をTVモニターに接続することで、仕上がり具合をTVモニターで常時チェックすることが可能だ。

 とはいえ、この方法では、PC上でプレビュー中の画面とTVに出力されるプレビュー画面との間に時間のズレが発生するうえ、作品を保存する解像度がHDのときにはそもそも利用できない。TVモニターへの出力は、Webで公開する映像を作るときなど必須でないケースもあるが、より厳密な調整が求められるプロユースでは外せない機能でもある。ここは割り切りが必要な部分だ。

 ちなみに、Windows XPで使う場合に限られるが、セカンドディスプレイをオーバーレイの全画面出力に切り替えられるグラフィックスカードやグラフィックスチップを使っていれば、セカンドディスプレイを簡易確認用のTVモニター代わりに使うこともできる。

 ただし、Vista上にインストールした場合は、プレビュー画面の出力にオーバーレイを使わないため、この方法は使えない。より安価な「Adobe Premiere Elements 3.0」では、Vista上でもPremiere自身の機能によってセカンドディスプレイをプレビュー出力に切り替えられることを考えると、需要は未知数ながら、EDIUS Neoでもひと工夫あるとよかったかもしれない。

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