インタビュー
» 2007年09月27日 12時00分 UPDATE

元麻布春男のWatchTower:PCではない、コミュニケーションツールであるという「TouchSmart PC」をHPに聞く (1/2)

日本HPが発表した「HP TouchSmart PC」は、同社では珍しいファミリーユースに的を絞った新製品だ。日本での展開や思惑を聞いた。

[元麻布春男,ITmedia]

TouchSmart PCはHPのコンシューマーデスクトップPCで中核となる製品

ht_0709ts01.jpg 19インチワイド液晶ディスプレイを備えた「HP TouchSmart PC」

 日本ヒューレット・パッカード(HP)が発表した「HP TouchSmart PC」は、タッチパネル付き液晶ディスプレイを備えた一体型(All in One)のPCだ。日本ではデジタルTVチューナー内蔵モデルを中心に、液晶一体型のPCが普及しているが、このTouchSmart PCは現時点においてTVチューナーを内蔵していない。TouchSmart PCは、TVチューナーを内蔵した既存の「テレパソ」とは異なる方向性を持った製品だと言えそうだが、その狙いはどのあたりにあるのか? HPアジアパシフィック・パーソナルシステムズグループでコンシューマ・デスクトップ・ビジネスユニットのマーケティング・ディレクターをつとめるセレナ・ヤン(Serena Yong)氏にうかがった。

ht_0709ts02.jpg HPアジアパシフィック・パーソナルシステムズグループ コンシューマ・デスクトップ・ビジネスユニット マーケティング・ディレクター セレナ・ヤン氏

 まずTouchSmart PCそのものについてだが、同社はこのTouchSmart PCを、HPが全世界に展開するコンシューマー向けデスクトップPCの中核となるものに位置付けているという。現在、コンシューマー向けデスクトップPCの用途としては、Webサイトのブラウズや検索を中心としたインターネット、音楽や映画、TV鑑賞といったエンターテインメントが大半を占める。このTouchSmart PCは、これらの基本部分を押さえながらも、さらにコミュニケーションツールとして販売していきたいとしている。

 エンターテインメントという観点からすると、他社の液晶一体型PCが必ずといって用意しているデジタルTVチューナーを搭載していない点が目立つ。すでにTouchSmart PCが先行して販売されている地域(米国やシンガポールなど)では、本機にもデジタルTVチューナーが内蔵されており、日本での非搭載がどうにも気になってしまう。ヤン氏によると、日本向けのデジタルTVチューナーは現在、開発と検証を行っており、次のモデルには間に合わせたいとしている。本機の液晶ディスプレイは19インチワイドで、TVチューナーを持たない一体型PCとしては比較的大きめだが、その理由の1つは将来的にTVチューナーを内蔵する予定があるためだという。あまり小さい画面にしてしまうと、TV番組の視聴にふさわしくないからだ。

ht_0709ts03.jpght_0709ts04.jpg HP TouchSmart PCはファミリー層を強く意識した製品で、リビングに設置して家族間のコミュニケーションツールとして機能することが想定されている(写真=左と右)

 となると、デジタルTVチューナーの開発が完了するまで本機のリリースを待つこともできたのではないか。TVチューナーを持たないまま発売に踏み切った理由は何なのだろうか。

 ヤン氏は、このTouchSmart PCを、一般的なPCではなく、コミュニケーションツールとして販売したいと述べた。一般的なコンシューマーPCの用途を否定するわけではないが、まずその前にコミュニケーションツールとして消費者にアピールしたいという。そのフックとなるのがタッチパネル液晶の採用だという。

指1本で扱えるキラーアプリケーション「HP SmartCenter」を装備

ht_0709ts05.jpg HPが独自に開発した指1本で操作できる「HP SmartCenter」の画面。Windows Media Center上で動作する

 本機の大きな特徴は、HPが自社開発した「HP SmartCenter」と呼ばれるアプリケーションソフトウェアにある。タッチスクリーン(タッチパネル)に直接触れることで操作可能で、付せんタイプのメモ帳、録音・録画した音声や動画によるメッセージ、さらには家族のスケジュール管理を行う「HP SmartCalendar」が標準で用意されている。つまり、子供が寝てしまった後に帰ってきたお父さんが、本機にアクセスすることで、子供たちからのメッセージをさまざまな形で受け取ることができるというものだ。

 また本機の背部には、別売となる同社の小型フォトプリンタ「HP Photosmart A628」を設置するためのスペースが用意されているが、TouchSmart PCにはこの組合せをサポートした「HP PhotoSmart Touch」と呼ばれるソフトウェアがプリインストール済みだ。指1本で操作可能なこのアプリケーションを用いることで、家族の思い出を手軽にプリントすることができる。

ht_0709ts06.jpght_0709ts07.jpght_0709ts08.jpg 「HP SmartCalendar」のメイン画面(写真=左)。「メモの作成」を選ぶと付せんをイメージした画面が現れ、ここにメッセージを指1本または付属のペンで書き込む(写真=中央)。これらの付せんはカレンダーにドラッグ&ドロップできるなど操作は非常に簡単だ。カレンダーでは家族の予定を共有する(写真=右)

ht_0709ts09.jpght_0709ts10.jpg 子供が手書きのメッセージを残し、パパ/ママが帰宅後にその内容を確認して、それにメッセージを返すという利用シーンが想定されている(写真=左)。内蔵のWebカメラを利用することで、ビデオメッセージも指1本で簡単に作成可能だ(写真=右)

ht_0709ts11.jpght_0709ts12.jpght_0709ts13.jpg こちらは「HP PhotoSmart Touch」の画面(写真=左)。HP TouchSmart PCの背面には同社製小型フォトプリンタ「HP Photosmart A628」を設置でき(写真=中央)、HP PhotoSmart Touchの画面からワンタッチで印刷指定が行える(写真=右)

 TouchSmart PCは、こうした操作を誰もが――子供やPCの操作に慣熟していないお母さんでも可能なように、タッチスクリーンと大型のディスプレイを採用した。タッチ式の入力は、アップルのiPhoneやiPod touchにも採用されているように直感的だが、小さく高精細なディスプレイでは操作ミスに対するマージンが小さく、手書き文字の入力も窮屈になってしまい子供向きではない。

 こういった用途を想定した本機が第一のターゲットとするのは、子供、それも5〜10歳の子供がいる家庭だという。そのような家庭の中心に据えられ、家族全員が活用できることが開発目標の1つだとしている。そのためにも、本機が採用するデュアルコアCPU(本機の場合はAMD Turion 64 X2)のパワーは不可欠。活用の中心となるHP SmartCenterが快適に利用できることがまず必要だとの判断である。

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