もうPremiere Proの廉価版とは呼ばせない――「Premiere Elements 4」を試すBD記録やYouTubeに対応(2/4 ページ)

» 2007年10月10日 11時00分 公開
[都築航一,ITmedia]

AVCHDの読み込みやHDVの自動分割キャプチャには相変わらず非対応

「ムービーの編集」ワークスペースは、直下に5つのボタンが並び、さらにその下に作業別のタブが並ぶ

 起動時にあらかじめ選択されている「ムービーの編集」ワークスペースは、素材の読み込みから編集、エフェクトの設定までを行う画面だ。黄色のタブの直下に5つのボタンが並んでいるが、このボタンを左から右へ順にクリックしながら、ボタンの下に示される作業を進めていく形だ。アイコン化されたボタンを押すことで作業を進めていけるため、初心者にも分かりやすい。

 たとえば、動画や静止画、音声といった素材を読み込むには、一番左の「メディア」ボタンをクリックして、その直下に現れる3つのタブから「取り込み」を選ぶ、といった具合だ。

 Premiere Elements 4では、AVIやMPEG-1/2/4、JPEGなど、静止画、動画を問わず多くの形式のファイルを素材として読み込むことができ、従来通りMPEG-4 AVC/H.264でエンコードされた動画ファイルにも対応している。IEEE1394およびUSB端子を介して、DV/HDVカメラやWebカメラの映像も取り込みが可能だ。ただし、日本ビクターのHDDビデオカメラ「GZ-HD7」で記録したMPEG-2ファイルは、今回β版で試した限りでは、すべての記録モードで正しく読み込めなかった。

主な対応ファイル形式

MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4、MPEG-4 AVC/H.264、DV、AVI、WMV、QuickTime、JVC Everio MOD(読み込みのみ)、3GP、ASF(読み込みのみ)、WAV、WMA(読み込みのみ)、ドルビーデジタルステレオ、PSD(読み込みのみ)、JPEG、PNG(読み込みのみ)、DVD、Blu-ray Disc(書き出しのみ)



 DV/HDVテープの映像をキャプチャする際は、映像の変わり目を検出して自動分割する「シーン検出」の機能が利用できる。ただし、ファイルを分割しながらのキャプチャを行えるのは、今回もDV形式の場合だけだ。DV形式のシーン分割キャプチャを行うと、シーンの切れ目ごとに逐次ファイルとして保存され、タイムラインに貼り付けられる。

 一方、HDV形式の場合は録画開始/停止を手動で指示しない限り、1つのファイルとして取り込まれる。キャプチャそのものは1つのファイルとしてまとめて行われ、キャプチャ完了後にシーン検出をかけることで、「プロジェクトビュー」(他製品のビンウィンドウに相当)に登録されるサムネイルだけを、分割された状態で表示できるという仕様だ。シーン検出は、コンテンツの自動解析による分割のほか、一定時間ごとに機械的に分割することもできる。

テープの映像をキャプチャする際、ファイルの自動分割ができるのはDV形式に限られる(写真=左)。プロジェクトビューには、読み込んだファイルの一覧が表示される(写真=右)。HDVカメラの映像に対してシーン検出を行うと、サムネイルがフォルダにまとめられて分割表示される

 ちなみに、Pentium D 820(2.8GHz)、メモリ2Gバイト、Windows Vista Home PremiumのマシンでPremiere Elements 4のβ版を動作させた環境では、11分ほどのHDV形式のファイルに対して、シーンの検出に15分近い時間を要した。別のプロジェクトでキャプチャしたファイルは、シーン検出を再び行わなければ分割表示できないのは面倒だ。

DVD-VideoやBlu-ray Discなどからの映像の読み込みは「Media Downloader」と呼ばれる付属ツールで行う

 また、AVCHDビデオカメラで撮影した映像については、現時点では読み込みに対応していない。AVCHDへの対応は以前から課題だっただけに、今後はぜひ対応してほしいところだ。Blu-ray Disc記録のビデオカメラ「DZ-BD7H」(日立製作所)で記録した映像についても、AVCHDビデオカメラの場合と同様に、ビデオカメラで記録したディスクやファイルの読み込み自体は可能だが、音声部分しか素材として認識されず、映像を読み込むことができなかった。

 なお、Blu-ray Discからの読み込みも公式には非対応だが、他社製品を使ってオーサリングしたBlu-ray Discで試した限りでは、MPEG-2でエンコードされた部分は映像、音声とも素材として利用することができた(H.264でエンコードされた部分はAVCHDと同様、映像が読み込めなかった)。また、Premiere Elements 4自体で保存したBlu-ray Discの映像は、H.264、MPEG-2のどちらも正しく読み込むことができた。

タグを付けて素材を管理できる整理ビューを搭載

 素材を読み込んだら、利用するシーンを選んで並べていく作業に移るのだが、動画、静止画ともに、読み込んだファイルの数が増えていくと、目的のシーンを探し出すだけでも大変だ。そこでPremiere Elements 4では、素材の絞り込みや並べ替えを行う方法として「整理ビュー」と呼ばれる画面が新たに用意された。

素材の絞り込みや並べ替えを行う整理ビュー。左上の「アルバムパレット」と左下の「キーワード名札パレット」を表示して、素材を整理する

 「ムービーの編集」ワークスペースで「メディア」ボタンを押し、直下に表示される3つのタブから「整理」をクリックすると、画面を整理ビューに切り替えることができる。ここで「キーワード名札パレット」を表示させると、4種類に色分けされたタグ(キーワードは自由に変更や追加が可能)と、6段階の重要度(5つ星で指定)を情報として各素材にあらかじめ付加しておくことが可能だ。タグ情報の付加はドラッグ&ドロップで簡単に行え、1つのファイルに複数のタグを付加することも可能だ。

 これらの付加情報を利用することで、素材の絞り込みが簡単に行えるほか、静止画、動画、音声といった素材の種類による選別や、撮影日時による検索および並べ替えも行える。加えて、読み込みやタグ情報などの付加を行った素材の一覧は「アルバム」として管理され、「アルバムパレット」を表示させることで、別のプロジェクトで読み込んだ素材を使いまわすこともできる。

 この整理ビューはフォトレタッチソフトのPhotoshop Elements 6と共通化されているところもポイントで、両方のソフトがインストールされた環境では整理ビューが統合され、さらに便利に利用できる(セット製品でなく、個別に購入した場合でも、両者の整理ビューは統合される)。タグや重要度の設定を行う手間は必要ながら、特に大量の静止画をスライドショーの動画として保存する場合には重宝するだろう。

 ただし、この整理ビューによるタグの付加や絞り込みといった操作は、ファイル単位での操作になるため、HDVテープの映像は、せっかくキャプチャ後にシーン検出をかけても、プロジェクトビューに分割表示されたサムネイルごとに操作することはできない。

 テープ1本をまるごと1ファイルとしてキャプチャした場合などは、特にこうした絞り込みの機能が便利に感じられるであろうことを考えると、さらなる進化が望まれるところだ。

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