バイオレットカラーの帰還――「type T 505 Edition」と「PCG-505」を見比べる10年の歳月を経て復活(2/2 ページ)

» 2007年10月11日 15時45分 公開
[前橋豪,ITmedia]
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液晶ディスプレイや入力環境も大幅に変化

 液晶ディスプレイの変化も大きい。液晶ディスプレイのアスペクト比は4:3もしくは5:4のスクエア型から16:9や16:10のワイド型が主流になり、表面の加工は光沢仕様が一般的になった。画面サイズはPCG-505Gの10.4インチ(800×600ドット)に対して、type T 505 Editionでは11.1インチワイド(1366×768ドット)にまで大型化している。また、type T 505 Editionは、モバイルノートPCながらNTSC比で72%以上の色域がある液晶パネルを採用しており、表示品質も大幅に向上した。10年間でPCの用途も変化し、今ではモバイルノートPCでも動画コンテンツを十分楽しめるように、輝度やコントラストも強化されている。

type T 505 Editionの11.1インチワイド液晶ディスプレイは、1366×768ドット表示に対応(写真=左)。懐かしいPCG-505の壁紙を表示してみた(写真=中央)。天板の下方には、10周年記念を示すロゴがさりげなく入っている(写真=右)

 キーボードとタッチパッドも着実に進化している。キーボードのレイアウトはPCG-505Gの時点で完成されていたが、type T 505 Editionでは長いツメでも引っかからないようなスクエア型キーを採用し、使い勝手だけでなく見栄えにもこだわっている。キータッチも改善され、長文の入力はずいぶんと快適になった。

 タッチパッドは、PCG-505Gでは感圧式で反応が少し鈍かったが、いまではすっかり反応のいい静電式が主流になっている(今では考えにくいが、PCG-505Gにはタッチパッド操作用のペンが付属していた)。余談だが、VAIOは一時、ポインティングデバイスを補助する目的でジョグダイヤルを積極的に採用していたことがあったが、昨今のモデルでは完全に省かれている。

type T 505 EditionとPCG-505Gの液晶ディスプレイ(写真=左)、キーボードとタッチパッド(写真=右)。type T 505 Editionはキーボード面に濃い紫を採用しており、落ち着いた印象だ。FeliCaポートや指紋センサー、セキュリティチップといった機能もモバイルノートPCに求められるようになった

充実のパッケージ構成を楽しむ

 冒頭で述べたように、type T 505 Editionには本体とカラーリングを統一したBluetoothマウス(VGP-BMS33同等品)、革製キャリングケース(VGP-CKTZ2同等品)、3本のバッテリー(S/L/LL)が同梱される。これらはBTOで省けないため、価格上昇の一因になっているわけだが、3本ものバッテリーを含む充実したパッケージ構成で過酷なモバイルシーンにも対応できるのが、製品のウリの1つと言える。

付属品一式(写真=左)。革製のキャリングケースは本体サイズにジャストフィット(写真=中央、右)。マグネットでベルトを固定する仕組みだ

3本のバッテリーが付属する(写真=左)。Bluetoothマウスもバイオレットのツートーンカラーだ(写真=中央)。BTOでは、FOMAハイスピード対応のワイヤレスWAN機能とワンセグチューナーのいずれかを選択できる(写真=右)


 今回はソニーから、PCG-505の発売10周年記念モデルとなるtype T 505 Editionが登場したことにともない、新旧2台のモバイルノートPCを並べて見比べてみた。久しぶりにバイオノート505に触ると、10年前の衝撃がよみがえってきて、なんとも感慨深いものがある。この10年間、何気なく新製品をチェックしてレビューをし続けてきたが、こうして10年前のバイオノート505を取り出して見てみると、その中身は飛躍的に進化していることが実感できた。下記のスペック表を眺めると、10年間におけるモバイルアーキテクチャの進化の縮図を見ているような気分になる。

 他方、2台を見比べてみてもう1つ感じたのは、初期バイオノート505のデザイン性の高さだ。天板のロゴがプリントで処理されている点など、古い部分もあるが、最新のモバイルノートPCと並べても見劣りしないどころか、カッチリと細部まで考えて作り込まれたボディに改めて感心させられた。

 昨今はあまりよくないニュースが先行気味のソニーだが、ここに来て、有機EL採用の薄型TV、新型PSP、低価格化した新型プレイステーション 3など、アグレッシブな製品を多数投入してきている。VAIOブランドに関しては、今後もユーザーを大いに驚かせ、新たなPC市場を作り出すようなパワーを持った製品作りを、そして次の10年でのさらなる成長を期待したい。

type T 505 EditionとPCG-505の仕様
製品名 VAIO type T バイオノート505 10th Anniversary Limited Edition PCG-505
発売時の実売価格 29万9800円〜 30万円前後
CPU Core 2 Duo U7600(1.2GHz) MMX Pentium 133MHz
L2キャッシュ 2MB 256KB
チップセット Intel 945GMS Express Intel 430TX
メモリ 2GB、1GB 32MB
最大メモリ 2GB 64MB
メモリスロット 200ピンSO-DIMM×1(空き0) 専用×2(空き2)
液晶ディスプレイ 11.1インチワイドクリアブラック液晶(TFT) 10.4インチ液晶(TFT)
画面解像度 1366×768ドット(約1619万色) 800×600ドット(約6万5000色)
グラフィックスチップ チップセット内蔵 NeoMagic MagicGraph128ZV+(NM2097)
グラフィックスメモリ 最大256MB(メインメモリと共有) 1.1MB
HDD SSD 64GB、SSD 48GB、1.8インチHDD 100GB、2.5インチHDD 200GB 2.5インチ1GB
光学ドライブ DVDスーパーマルチ、− 別売(PCカード接続)
FDD 3.5インチ3モード(専用端子接続)
キーボード 日本語87キー、英語82キー 日本語87キー
ポインティングデバイス インテリジェントタッチパッド ペン操作対応タッチパッド
有線LAN 1000BASE-T
FAXモデム 最大56kbps(V.92/V.90) 最大33.6kbps(V.34)
無線LAN IEEE802.11n/a/g/b
Bluetooth Bluetooth 2.0+EDR
ワイヤレスWAN 搭載、−
赤外線 IrDA 1.1
FeliCaポート 搭載
指紋センサー 搭載
TPMセキュリティチップ 搭載
サウンドチップ チップセット内蔵 Sound Blaster Pro互換
スピーカー ステレオ モノラル
ワンセグチューナー 搭載、−
Webカメラ 有効31万画素
カードスロット ExpressCard/34×1 PCカードTypeII×1
メモリカードスロット SDメモリーカード/MMC×1、メモリースティックPRO×1
USB USB 2.0×2、USB 2.0×1 USB 1.1×1
IEEE1394 4ピン(S400)×1
外部ディスプレイ出力 アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1 アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1
拡張コネクタ ドッキングステーション用×1 ポートリプリケータ用×1、FDD用×1、専用スピーカー用×1
バッテリー駆動時間 最大約12時間(Lバッテリー) 約3.3時間(Sバッテリー)
バッテリー充電時間 約5.5時間(Lバッテリー) 約2.5時間(Sバッテリー)
外形寸法 277(幅)×198.4(奥行き)×22.5(高さ)ミリ 259(幅)×208(奥行き)×23.9(高さ)ミリ
重量 約0.97〜1.4キロ(構成により異なる) 約1.35キロ
OS Vista Business、Vista Home Premium Windows 95

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