やわなデスクトップに負けないぜ!──デル「Precision M6300」(1/2 ページ)

» 2007年11月01日 12時00分 公開
[笠原一輝,ITmedia]
CPUもディスプレイもGPUもすべてにおいて最高級なモバイルワークステーション「Precision M6300」

 Precisionシリーズはモバイルワークステーションと位置づけられるビジネス向けノートPCだ。Precision M6300はその中で最上位となるモデルで、17インチワイド液晶ディスプレイは最大解像度「1920×1200ドット」を表示し、CPUにはCore 2 Extreme X7900(動作クロック2.8GHz)を搭載、GPUにNVIDIAのDirectX 10に対応したQuadro FX 1600M採用するなど、現在選択しうる最高峰のパーツで構成することが可能だ。“スペックイズマネー”のビジネスで、マシンスペックが作業の効率に影響を与えるような職種にとって注目のノートPCといえる。

CPUにはCore2 Extreme X7900を、HDDは7200rpmのドライブを選択可能

 先に紹介した以外でも、Intel PM965 Expressチップセットを採用したPrecision M6300は、いわゆる“Santa Rosa”世代のノートPCとなっている。なお、今回レビューに試用したのは、Core 2 Extreme X7900、Intel PM965 Expressを搭載するが、無線LANモジュールが未搭載であるため、いわゆる「Centrino」ブランドとはいえないが、これも、オプションでインテルの無線LANモジュールが選択できるので、搭載すれば“Centrino”ブランドになる。

 Precision M6300は、いわゆるBTO(注文時にユーザーがスペックを決定する販売方法)となっているため、CPUにおいては、下はCore 2 Duo T7100(動作クロック1.8GHz)から、上はノートPC向けCPUとしては最高性能を誇るCore 2 Extreme X7900(動作クロック2.8GHz)まで選択することができるのだ。

 Core 2 Extreme X7900は、インテルがハイエンドユーザーやゲーマー向けにリリースしたCPUで、Core 2 Duo Tシリーズの最高製品であるT7800の2.6GHzを上回る、2.8GHzというクロックで動作する。現時点ではノートPC向けCPUとして最高性能と言ってよく、CPUの処理能力に依存するアプリケーションを多用するようなプロユーザーに大きな恩恵をもたらす。

 ただし、「熱設計消費電力」と言われるCPUのピーク時消費電力は45ワットと、Core 2 Duo Tシリーズの35ワットに比べるとやや増えているが、本製品のようにデスクトップリプレースメントとして使われることが多い製品では特に問題ではないだろう。

メモリスロットには底面からアクセス可能。評価機は無線LANモジュールを搭載していなかったが、BTOで選択できる

 メインメモリは、本体底面に用意されているSO-DIMMソケット2基に実装可能だ。Intel PM965 Expressはメモリがデュアルチャネル構成(2つのメモリモジュールに並行してアクセスすることでメモリ性能を向上させる)に対応しており、2つがひと組で実装される必要があるため、メモリ構成は1Gバイト(512Mバイト×2)、2Gバイト(1Gバイト×2)、4Gバイト(2Gバイト×2)のいずれかから選ぶ必要がある。Windows Vistaを選択する場合、メインメモリの容量は多ければ多いほど動作が軽快になるので、4Gバイト構成が選択できるのは評価したい……ところだが、以下に述べるような問題がある。

 Presicion M6300のBTOメニューでは、Windows Vista Ultimate、Windows Vista Business、Windows XP Professionalが標準サポートされているのだが、いずれも32ビット版のみとなっているため、ソフトウェア側の制限により4Gバイトを選んでも3Gバイトまでしかシステムからは利用できない。できれば、3Gバイトの壁を越えてメモリをフルに利用できる64ビットOSの選択肢も追加してほしいところだ。

 HDDもBTOで選択可能になっており、いずれも7200rpmのSerial ATAの200Gバイト、160Gバイト、80Gバイトから選択できるほか、アプリケーションの起動などをできるだけ速くしたいというユーザー向けに32GバイトのSSDを選択できるようになっている。SSDを搭載すれば、ストレージに対するランダムアクセスが大幅に改善し、体感速度を劇的に改善できるので、高速動作環境を重視したいユーザーはメリットがあるだろう。なお、発注時にオプション(有料、2100円)でHDDのパーティション構成を選択できるのも、セッティングの時間が惜しいユーザーには評価されるだろう。購入後に自分でやることも不可能ではないとはいえ、手間や時間などを考えれば最初から設定しておいてもらえるのはよい。

 光学ドライブはDVD±RWドライブ(DVD+R DL書き込み対応)、DVDコンボ、DVDドライブから選択できる。

1920×1200ドット表示可能な液晶とDX10対応GPUを標準搭載

17インチワイドの液晶ディスプレイは1920×1200ドット表示に対応する

 CPUだけなく、ディスプレイとグラフィックス周りの構成も、ノートPCとしては最高峰といえる。搭載する17インチワイド液晶ディスプレイは、最大解像度1920×1200ドットで、デスクトップPCでいえば24インチクラスの大型液晶ディスプレイに相当する表示能力になる。ただ、表示するディスプレイのサイズが17インチであるためドットピッチは0.191ミリとかなり小さく、表示される文字が細かくなるが、その代わりにExcelのような、“一覧性”が求められるアプリケーションでは非常に大きなエリアを表示できる。文字の小ささはシステムフォントを大きくする(Windows Vistaではシステムフォントを大きくしてもきれいに表示できる)などの対応策があるので、さほど気にしなくてもいいだろう。

 Precision M6300に搭載されているGPUはNVIDIAのQuadro FX 1600Mで、従来のQuadroシリーズラインアップ「FX 3500M」「同 2500M」がシェーダモデル3.0、DirectX 9.0までの対応であるのに対して、FX 1600Mはシェーダモデル4.0、DirectX 10に対応している。なお、Quadro FX 1600Mをコンシューマー向けのGeForceシリーズに置き換えると、現時点での最高峰製品であるGeForce 8700M GTと同じチップになる。そうした意味でも最高性能のノートPC向けGPUと言っていいだろう。

 ただし、Precision M6300が搭載するグラフィックスメモリはカタログスペック上は512Mバイトとされているが、ローカルグラフィックスメモリの容量は256Mバイトだ。これはNVIDIAのTurboCache技術を利用しているためで、残りの256Mバイトはメインメモリの一部を共有することになる。なお、オンボードにあるグラフィクスメモリの動作クロックやコアクロックなどは未公開となっているが、フリーソフトウェアの「RivaTuner」で調べたところ、コアクロックは625MHz、ローカルのグラフィックスメモリのクロックは800MHzのGDDR3と表示された。

RivaTunerで標準のクロックを表示させたところ。エンジンは625MHz、メモリは800MHzと表示された
同じくRivaTunerによる表示。グラフィックスメモリは(G)DDR3の256Mバイトと表示されている

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