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その大きさにはワケがある――「HP Officejet Pro L7580 All-in-One」ADF/FAX搭載の35ppm複合機(2/3 ページ)

» 2007年11月06日 16時00分 公開
[小川夏樹,ITmedia]

スキャナには最大50枚セット可能なADFを搭載

 スキャナ部分の撮像素子はCCDを採用する。光学解像度は2400×4800dpiで、ソフトウェア補間により最大19200dpiでのスキャンが可能だ。スキャン階調は、入力がRGB各色16ビット(Mac利用時は各色12ビット)、出力がRGB各色8ビット、グレースケールが8ビットとなる。読み取り可能な原稿サイズは最大A4(レターサイズ含む)で、JPEG形式に加えてPDF形式での保存や、添付ソフトを利用したOCRが可能だ。

 スキャナには最大A4(レターサイズ含む)までセット可能なADFを標準搭載しており、最大50枚を連続で読み取れる。なお、ADF専用の撮像素子は搭載しておらず、フラットベッドスキャナ部のCCDがADFの直下まで移動する機構を採用しているため、両面読み取り時は2パススキャンでの実行になる。

 コピー機能は搭載するスキャナ部分とプリンタ部分を組み合わせることで実現。コピー解像度は最大1200×1200dpi、拡大/縮小倍率は25〜400%、連続コピー枚数は99枚となっており、高速なプリントエンジンを使ったモノクロおよびカラーのコピーが可能だ。両面コピーの機能も持ち、原稿2枚を1枚の用紙の表裏にコピーしたり、両面印刷の原稿を用紙2枚に分割してコピーしたりといった小技が使える。ただし、2in1や4in1などの割り付けコピー機能には対応していない。

A4対応のフラットベッドスキャナを搭載(写真=左)。上部に50枚給紙可能なADFを装備している(写真=右)。紙詰まり時は左側にカバーが開くので、本体の左側にはある程度のスペースが必要だ

 一方、スキャナ部分で残念だと思ったのが原稿台のカバー部分だ。カバーにADFとADF用のケーブルがあるためか、90度にしか開かず、ヒンジ部分の高さも調節できない。この構造では厚みのある原稿やA4見開きの原稿を挟むのが難しいため、せっかくのCCDを生かした被写界深度の深いスキャンが難しくなってしまう。むしろこの開閉状態にしかできないなら、撮像素子はCISでもよかったのではないかと思ってしまった。

FAX機能やメモリカードスロットも搭載

 FAX機能は33.6kbpsの高速転送が可能なSuperG3に対応しており、33.6kbps時には最大3枚/秒で送受信できる。走査線密度はモノクロが最大300×300dpi、カラーが最大200×200dpiだ。短縮ダイヤルの件数は最大99件、ワンタッチダイヤルが5件、グループダイヤルが最大98件となっている。

 また、受信する側がカラー対応FAXであれば、カラーによる送信が可能だ。ADFにセットした最大50枚までの原稿を連続読み取りで送信したり、モノクロ設定であればADF両面読み取りでの送信も行える。留守番電話の接続や鳴り分け機能なども設定を変えることで柔軟に対応できる。PC側から出力先をFAXドライバに指定することで、PCでのFAX送信もこなす(受信したFAXをPCに送ることはできない)。

 そのほか、各種記録メディアの利用を想定し、コンパクトフラッシュ(Type I/II)、メモリースティック(デュオ対応にはアダプタが必要、PRO対応)、SDメモリーカード/MMC(miniSD対応にはアダプタが必要、SDHC非対応)、xDピクチャーカードが読み書き可能なメモリカードスロットを搭載。PCなしでメモリカード内の画像を出力するダイレクトプリントが行える。なお、メモリカードスロットは、PC接続時にリムーバブルドライブとして認識可能だ(カード1種類の読み書きだけの排他利用)。メモリカードの下には、PictBridge対応/USBメモリ接続用のUSBポートも持つ。

 背面のインタフェースは、PC接続用のUSB 2.0ポートをはじめ、100BASE-TX/10BASE-Tの有線LAN(無線LANは非対応)、モジュラージャック(回線接続用×1、留守番電話機能付き電話機接続用×1)を備えている。これらは本体背面の左側に集中しており、ケーブルを着脱しやすい。また、オプションとしてBluetoothアダプタが用意されている。

 さらに、スキャンしたデータを本体にセットしたメモリカードやUSBメモリに書き込む「スキャンtoメモリカード」や、あらかじめ指定しておいたネットワークフォルダに保存する「スキャンtoネットワークフォルダ」など、便利な機能を従来モデルから継承している。従来モデルではスキャンしたデータをJPEG形式でしか記録できなかったが、本体の処理だけでPDF化して保存できるようになり、使い勝手はより向上した。

背面のインタフェースはボディの端に集中している(写真=左)。前面には、4つのメモリカードスロットと、PictBridge対応/USBメモリ接続用のUSBポートを搭載(写真=中央)。電源は内蔵されておらず、ACアダプタで供給する(写真=右)

 なお、本体の内蔵メモリは64Mバイト(増設不可)、搭載CPUの動作クロックは192MHzとなっている。対応OSはWindows XP/Vista(いずれも64ビット版含む)、およびMac OS X v10.3.8、v10.4以降だ。

 以上、L7580の複合機としての基本スペックをざっと紹介した。飛躍的な機能向上といえるような部分は見当たらないが、以前のモデルを熟成させて大型化するとともに機能を追加しており、着実に進化したモデルといえるだろう。

機能ごとに分類された操作パネルの操作性は?

モノクロ2ライン表示の液晶モニタを備えた操作パネルは、機能別に数多くのボタンが並ぶ

 本体の前面上部に設けられた操作パネルについては、FAX機能を持つビジネス向けモデルという位置付けのためか、同社のコンシューマー向けモデルのようにカラー液晶モニタを搭載してはいない。

 操作パネルのレイアウトは、利用する機能ごとに分かれて配置されている。左からFAXの短縮ダイヤル、スキャン関連、FAX関連、10キー、2ライン表示のモノクロ液晶モニタとOKボタン付き矢印キー、コピー関連、ダイレクトフォト印刷関連、そしていちばん右側が電源といった構成だ。各機能ごとにまとめられたボタン類は、10キー以外は最上部にあるボタンを押すことで設定メニューが表示され、左右の矢印キーとOKボタンを併用することで設定が変えられるように、なるべく操作性が統一されている。

 ただし、豊富な機能を備えるうえに液晶モニタが2ラインのモノクロ表示と情報量が少ないこともあり、操作には慣れが必要だ。たいていの操作はいくつかボタンを押すだけで済むのだが、機能の深い部分を変更するとなると、途端に使い勝手が悪くなってしまう。なお、キャンセルボタンは全機能において操作や処理、各種設定をキャンセルするための共通のボタンとして使われる。

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