L7580は単体で運用することも考慮されているが、プリンタドライバやスキャナドライバに添付ツールを含め、PCと連携して使うことでより便利に扱える。特にネットワークで運用すると、本体の各種設定項目をWebブラウザ経由で表示させてチェック/変更したり、Webブラウザ経由でのスキャンなどが可能だ。
「HPソリューションセンター」と呼ばれる一括管理/操作ツールでは、画像管理ツール「HP Photosmart Essential」との連携や、スキャン時の各種アプリケーションとの連携などが行える。また、プリンタドライバからメンテナンスツールの呼び出しやプリンタ情報の表示を行ったり、スキャナドライバ(TWAIN/WIA)を利用した詳細なスキャンが可能になるなど、PCと連携して使ってこそL7580の機能を余すことなく引き出せる。
プリンタドライバは、コンシューマー向けインクジェットプリンタ/複合機と共通のインタフェースを採用しており、機能別にタブを分けた構成になっている。あらかじめプリセットされた印刷設定を好みの設定にカスタマイズしたり、カラー印刷時の明度や彩度、色相などを変更することが可能だ。TWAINのスキャナドライバは基本的な画像補正機能を用意。ソフトウェアによる退色復元やゴミ/傷低減の機能も持つ。ビジネス向け複合機のスキャナ機能としては十分だろう。
それでは、L7580のプリントとコピーの速度を見ていこう。メーカー公称のモノクロ35ppm、カラー34ppmという印刷速度は、プリンタドライバの設定で最速となる「ドラフト」を選択し、プリントヘッドが動き出してから排紙されるまでの時間を計測した数値となっている。ドライバの設定は「きれい」「ドラフト」「高画質」から選択できるが、標準設定は「きれい」だ。今回は印刷品質のバランスにも配慮し、「きれい」の設定をメインにテストを実施した。
ちなみに、米HPのサイトでは「きれい」(normal quality mode)の設定でモノクロ16ppm、カラー15ppmとの表記が見られる。今回のテストでは、この性能が出ているかどうかを検証してみたい。
ベンチマークテストの結果(すべてA4印刷) | |
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モノクロ出力(きれい/JEITA J1) | |
ファーストプリント | 13.32秒 |
ファーストコピー(原稿台) | 15.47秒 |
ファーストコピー(ADF) | 17.37秒 |
16部プリント | 78.57秒 |
両面8部プリント | 142.68秒 |
16部プリント(ファーストプリント含めず) | 67.24秒 |
16部コピー(原稿台) | 84.39秒 |
16部コピー(ADF、ファーストコピー含めず) | 69.52秒 |
カラー出力(きれい/JEITA J9) | |
ファーストプリント | 17.58秒 |
ファーストコピー(原稿台) | 25.89秒 |
ファーストコピー(ADF) | 28.76秒 |
15部プリント | 148.48秒 |
両面8部プリント | 243.57秒 |
15部プリント(ファーストプリント含めず) | 128.64秒 |
15部コピー(原稿台) | 157.62秒 |
15部コピー(ADF、ファーストコピー含めず) | 136.47秒 |
モノクロ出力(ドラフト/JEITA J1) | |
16部プリント(ファーストプリント含めず) | 48.24秒 |
16部コピー(ADF、ファーストコピー含めず) | 55.52秒 |
カラー出力(ドラフト/JEITA J9) | |
15部プリント(ファーストプリント含めず) | 60.64秒 |
15部コピー(ADF、ファーストコピー含めず) | 66.47秒 |
テストに使用したPCのスペック CPU:Athlon 64 3200+(2.0GHz)、メインメモリ:2Gバイト、HDD:Seagate Barracuda 7200.7(ST3160021A/160Gバイト)、OS:Windows Vista Ultimate |
プリントのテストは、Word 2007からJEITA JI(モノクロ)およびJ9(カラー)の電子協標準パターンを印刷し、その速度をストップウォッチで計測するというものだ。Word 2007の印刷画面で「OK」ボタンをクリックした瞬間から最後の用紙が排出されるまでの時間を5回計測し、その中間値を採用している。Word 2007の印刷処理にかかる時間を含めた出力となるため、PCの性能次第で差が出てくる点に注意してほしい。
コピー速度は「高画質」「きれい」「はやい」の設定が用意されており、「はやい」を選ぶとモノクロ35ppm、カラー34ppmの印刷速度が得られる。こちらも標準的な「きれい」設定を選択した。両面コピー速度の計測は割愛したが、2パス駆動によるコピーのため、片面コピーの倍程度の時間がかかると考えてほしい。
コピーのテストは、プリントのテストで出力したJEITA JI(モノクロ)およびJ9(カラー)の電子協標準パターンを原稿台もしくはADFにセットし、本体のコピーボタンを押した瞬間から最後の用紙が排出されるまでの時間を計測した。こちらも5回計測し、その中間値を採用している。
結果についてだが、モノクロの印刷速度はファーストプリント/コピーを含めない状態で公称値に近い速度が出た。ただし、最初の1枚目はプリント/コピーともに本体の処理時間が加わるぶん、余計に時間がかかっている。また、カラー印刷は図版や表組が多かったこともあるのか、公称値にはおよばない結果となった。
そこで、「ドラフト」設定での速度も計測してみたところ、公称値に近い非常に高速な出力性能が確認できた。「ドラフト」設定では、モノクロ/カラーともに色が薄くなってしまうのが難点だが、社内文書として利用するのであれば、実用に足るクオリティはある。社外に出す文書は「きれい」設定で出力し、通常業務では「ドラフト」設定で出力するという使い分けをするとよいだろう。
実際、この印刷速度ならば安価なカラーレーザープリンタよりも確実に高速だ。モノクロ印刷は顔料系インクでにじみのないクリアさで出力できるので、低価格モノクロレーザー複合機の対抗馬としても十分だろう。
なお、テスト中は用紙切れが頻発してしまったので250枚の標準給紙トレイだけでは心許ない。できるだけオプションの増設給紙トレイも併用することをおすすめしたい。
L7580は、本体サイズこそ確かに大きいが、それに見合った豊富な機能をそろえ、高速印刷と低ランニングコストも実現しつつ、3万円台半ばに実売価格を抑えているのは魅力的だ。ADFとFAXを備えたカラー複合機を低予算で手に入れたい、しかも印刷速度にこだわりたい、と考えるSOHOなどのビジネスユーザーにとって、L7580は強い味方になってくれるだろう。
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