組み立て作業で最初に取り出したのは、主要なパーツを搭載することになるベースユニットだ。ベースユニットには、CPUとCPUクーラー付きの青いマザーボードがあらかじめ組み込まれていた。
ノートPCの組み立てで最も緊張するのは高価なモバイル用CPUの取り扱いだと思うが、これが取り付けられているのは安心感がある。「PC自作派のお父さん」には少々物足りなかったかもしれないが、CPU装着時のピンの破損やマイナスドライバーを用いた難易度の高いソケットのロックなどを考慮すると、NECの判断は妥当といえる。
ベースユニットを机に置いた後はトップカバーを装着するのだが、これが最初の関門となった。今回組み立てるノートPCは右パームレストにFeliCaポートを内蔵しているため、トップカバーのネジを締めた後に、FeliCaポート接続用の細いフレキシブルケーブルを接続する必要があるのだ。FeliCaポート接続用コネクタの隣りにはボタン電池があるため、これと干渉しないよう丁寧にケーブルをコネクタに押し込んでロックし、同様に細いケーブルを2本接続した。
次に取り付けたのは15.4インチワイド液晶ディスプレイ。もう1人に液晶ディスプレイを支えてもらって4本のネジでヒンジ部を固定した後は、ディスプレイケーブルを折り曲げてヒンジ内に押し込み、アースをネジ止めする。
また、液晶ディスプレイの左右には無線LANのアンテナが内蔵されているので、液晶ディスプレイから伸びたアンテナケーブルも接続していく。トップカバーには、アンテナケーブルを裏面に装着する無線LANカードへ導くための溝が設けられており、2本のアンテナケーブルが交差しないように9つのツメの内側に収納するのだが、これがなかなか難しい。2つめの関門といったところだ。
アンテナケーブルを裏面に伸ばした後は、当然ながら無線LANカードを接続する。アンテナケーブルのコネクタは小さくて破損しやすいので、この作業は基本的に指導員に委ねられたが、「指導員の方の手は極力借りてはいけない」と心に誓っていた編集部員は自ら装着させてもらった。実際、何度も無線LANカードの接続はしたことがあるが、後から無線LAN機能が使えないなんてことになったら少し恥ずかしい……。
ここでもう一度表面にひっくり返し、今度はキーボードを固定する。キーボードのケーブルを装着し、ツメを合わせてキーボードユニットを押し込むだけと作業は簡単だ。キーボードのカバーも含めて、すべてをツメで固定する構造で、ネジを締める部分はない。この辺りの設計は、製造時の組み立てが容易になるように工夫されている。
キーボードの次はパームレストの取り付けだ。こちらもタッチパッドのケーブルを装着し、ツメで固定する。ここまで組み上がると表面は完成し、ようやくノートPCらしくなってきた。
表面のパーツをすべて取り付けたところで、再度本体を裏返しにする。ここで、ベースユニットとパームレストをネジ止めして、2枚のメモリカード(512Mバイト×2)をSO-DIMMスロットに装着。メモリスロットとCPU周辺部のカバーを取り付ける。
裏面の組み立てもほぼ終了したところで、HDDとDVDのユニットが運び込まれた。HDDは2.5インチのSerial ATAタイプで、あらかじめ衝撃吸収用のパーツが装着されていた。接続は容易で、HDDベイにドライブを格納して右方向のコネクタに押し込むだけだ。HDD接続後はカバーを装着する。DVDユニットは側面から差し込み、ネジ1本で固定すればよい。
組み立て作業はここまでで9割方終了といったところ。最後にSDメモリーカードのダミーカードを前面のスロットに挿入し、バッテリパックを取り付ければ完成だ。途中2度の休憩を挟んで、約1時間30分で組み立て作業は終了した。
完成後はノートPCにACアダプタとUSBマウスを接続し、参加者全員で一斉に電源ボタンを押した。この瞬間が今回の組み立て教室において、参加者、スタッフともにいちばん緊張する場面だったに違いない。電源を投入したところ、数台のPCで起動中にエラーが発生した模様だが、周囲のスタッフが即座にトラブルを解決し、すぐに全員のPCが無事起動した。参加者から自然に起る拍手で会場が温かい雰囲気に包まれる。
もちろん編集部員が組み立てたノートPCも初回起動から問題なく動作した。スタッフの方と談笑しながら、「起動して当たり前ですよ」とか「途中でケーブルを1本外しておいたほうが、記事としてはオイシイ思いができたのに残念でした」とか余裕の発言をしておきながら、内心かなりホッとしていたのはナイショだ。引き続き、ソフトウェアのセットアップ、FeliCaポート、DVD-Video再生、無線LAN経由でのインターネット接続といったチェックを参加者全員で行い、PC組み立て作業は大団円を迎えた。
普段から飽きるほど見ているノートPCだが、こうして大勢の参加者とともに組み立てた1台を改めて眺めてみると、かつてないほどの愛着が沸いてくる。おそらく、参加者の方々にとっても生涯忘れられない1台になったのではないだろうか。特に、子供たちにとって最初に手に入れたPCが自分で組み立てた1台だったら、非常に思い出深いものになるはずだ。今回、一般参加者といっしょにノートPCを組み立てる機会を与えてくれたNECに感謝したい。
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