ノコギリで切る!? ヤスリで削る!? 「木ーボード DIY Kit」にチャレンジ!(後編)ちょっと気になる入力デバイス(1/2 ページ)

» 2007年12月12日 16時16分 公開
[王深紅,ITmedia]

 木製キーボードの自作キット「木ーボード DIY Kit」(前編)では、パッケージの中身を確認したところで終わってしまったが、その後編では、実際の製作風景を見ていきたい。同時に、四面楚歌(そか)の状況下に置かれたライターの心の機敏を察していただけると幸いだ。

まずは切るべし。そして削るべし。そして……次々に訪れる試練

木ートップの切断風景

 まず木ーボード製作にあたっての最初の難関は、(みなさんがご想像の通り)89個の木ートップを切り離すことだ。今回のキットは10キーを備えたフルキーではなく、小型タイプなので切り離すキー自体はまだ少なくて済むが、それでも89個の両側面を切る必要がある。つまり最低でも合計188回はノコギリで木ートップを切り離さなければならないわけだ。しかも相手は親指ツメサイズに近い木ートップであり、切り離す際には押さえつけるだけでも余分な力が必要になる。

 ノコギリは刃渡り約9センチで、全長が約19.5センチ、重量が約50グラムと小ぶりで取り回しがよい半面、刃渡りはもう少し長い方がよく、手のサイズが大きな人にはやや握りにくい印象だ。付属してくる道具にあまり欲張ったことは言えないが、さすがに木ートップを30個ほど切ると息切れしてしまった。見かねたギャラリー(仕事をほうけた観客)が数人手助けしてくれるものの、たった数個の木ートップを切り落としただけでギブアップしてしまうありさまだ(ノコギリの名誉のために記すが、これはギャラリーの根気があまりに不足しているせいだ)。

 さらに、これと同様のことは工程3にも当てはまる。サンドペーパーを使ってノコギリで切断した188カ所を荒削りするのはもちろん、さらに微調整で木ートップの周囲を磨く必要があり、まさに“にわか職人”の気構えと忍耐が欠かせない。

 パッケージには150番と240番のサンドペーパーが入っており、バリなどを削り取るが、いかんせん木材のため、気を許すとアッというまに深く削れてしまう。力のいれ具合は慎重に気を配りたい。仕上がった際の見た目に直結する工程のため、時間が許す限りこだわりたいところだ。

89個の木ートップをひたすら切るべし(写真=左)。ちなみに、キートップはカナ表記が省かれている。サンドペーパーは150番と240番が入っていて、用意された研磨補助材にはり付けるだけで済む(写真=中央)。切り離すときと同様、木ートップを磨くのも作業台を使うとやりやすい(写真=右)。木ートップに対して垂直に接するよりもやや傾けて磨いたり、サンドペーパーを2つ折りにして磨くといいだろう

 続いて待ちかまえる試練は、木ートップ1つ1つにジョイントパーツを取り付ける工程だ。こちらも、ただ木ートップの裏面にジョイントパーツをはめ込むだけで済む……訳にはいかない。

 というのも、キーの位置によって取り付けるジョイントパーツが微妙に異なる上に、同じジョイントパーツでも差し込む向きが異なっているからだ。大まかに分けると、主要キーはジョイントパーツLを、それ以外はジョイントパーツSとなり、後者は場所によってジョイントパーツの向きが90度違う。そのうえ、これらを間違えずにはめ込むだけでなく、冒頭で述べた小型ハンマーとマイナスドライバーを使ってジョイントパーツを文字通り“たたき込む”作業が待っている。

 ここで組み立て説明書を見ると、“1つのジョイントパーツについて5カ所をたたくべし”との達しが書かれている。つまり91個(スペースバーが3個のジョイントパーツを必要とするため)×5カ所で450回以上の“たたき込み”が求められる計算になる。木ートップ自体が小さく、ハンマーとマイナスドライバーも小柄(ハンマーは全長が約8.9センチ、約38グラム、マイナスドライバーは全長が約8.9センチで重量が約35グラム、グリップの直径が約3.1センチ)なので作業はどうしてもチマチマとしたものになるが、慣れるとクセになってしまうのが不思議だった。ただ、あまり力を入れすぎると木ートップが割れる可能性があるので要注意だ。

左がジョイントパーツLで右がジョイントパーツS(写真=左)。キーによりはめ込むパーツや向きが異なるので、組み立て説明書を確認しながら作業したい。ちなみに、主要キーのサイズは約17.5×18ミリ(縦×横)、ファンクションキーは約12×15ミリ(縦×横)だ。付属のハンマーとマイナスドライバーをつかってジョイントパーツの中央と上下左右の計5カ所をたたく(写真=中央)。あまり力を入れすぎると木ートップが割れる可能性があるので注意したい。横幅があるキーについては底面に反発材(スポンジ)をはりつける(写真=右)

 次はスペースバーやBackSpace、Enter、Shiftキーといった長めのキーの裏面に反発材としてスポンジをはり付ける作業に移る。サンドペーパーで削った量によって微妙にサイズは違うが、長さはスペースバーが70ミリ、右Shiftが23ミリ、左ShiftとEnter、BackSpaceキーが27〜28ミリほどとなり、横長になっただけキーの反発力が減る分をスポンジで補強する形だ。

 スポンジにはあらかじめ両面テープがはられているため、はく離シールをはがすだけで簡単にはり付けられるのだが、キーの平行度やスポンジがほかのキー部分にはみ出さないように微調整しなければならず、なかなか骨が折れる。とはいえ、この工程までくると、ようやくキーボードらしくなってきた気がする。

切り離した木ートップと、ジョイントパーツやスポンジを取り付けたところ(写真=左と右)。この状態までになるまで、ゆうに4時間近くが経過している……

え、両面テープをはりまくるんですか!?

 これまでは地味でコツコツとした工程が続いたが、最後の難関(あるいは意外な伏兵)といえるのが、工程7の両面テープの張り付けだ。これはキーボードユニットにある各突起1つ1つに両面テープを切ってはることで、木ートップとジョイントパーツの接合を強化する目的で行う。

 しかし、両面テープを細かく切ったり、両面テープのはく離シートをはがす手間がなかなか侮れず、今まで以上にチマチマとした「言うは易く行うは難し」を地でいく工程であるのは間違いない。もっとも、これを乗り越えればあとは木ートップをキーボードユニットにはめ込むだけで終了だ。いや応にも期待が高まるのものの、両面テープを91回切って、はく離テープを91回はがすことを考えただけで、なぜか意識が薄れてしまった。

両面テープの幅は、キーボードユニットとトップ部分とほぼ同じ約1センチ。それだけに、はる位置がずれるとキーを押し込んだときにテープが底面のユニットにくっついてしまう。地味ながら細心の注意が必要だ(写真=左)。中央の写真は両面テープをほぼはり終えた図。テスト用に2つのキーを取り付けている。動作確認用のLEDランプはキーボード右上に3つ用意される(写真=右)

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