そこで、今回は12時間連続でTV番組の録画を行い、その間にDVD-Videoを連続で再生し、HDD周辺やCPU付近の表面温度がどのように変化するかチェックしてみた。
前述の通り、本機には地上デジタル/地上アナログ放送に対応したTVチューナーを内蔵しており、本来ならばすべてハイビジョン映像(約17Mbps)で録画したいところだ。しかし、標準で搭載される容量500GバイトのHDDをフルに使っても最大約57時間しか録画できず、NEC Directで選択可能な最大容量の750Gバイトを積んでも約89時間にとどまる。この時間では年末年始の番組に対応するのは心もとなく、また後々の編集作業を考えて、アナログ放送の高画質モード(MPEG2/約8Mbps)でテストを実施した。
結果は下の表にまとめたが、12時間に及ぶベンチマークテストの苦労が一切無駄だったことを示すものになった。室内温度は22度前後にキープしていたが、本機の電源を入れて水冷システムが稼働したあとは、18度台を持続し続けている。動画のエンコードは専用ハードウェアで処理され、DVD-Videoの負荷もたかがしれていることから当然ともいえるが、12時間経過後に排気口や液晶ディスプレイの周囲などの温度も測ったが、特に熱を持つ部分はなかった。静音という点でも全く不満はない。
連続12時間のTV録画とDVD-Video再生を実行 | ||
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経過時間 | 遮音Box付近 | CPU付近 |
電源投入時 | 20.4度 | 19.8度 |
3時間 | 18.6度 | 18.4度 |
6時間 | 18.6度 | 18.0度 |
9時間 | 18.3度 | 18.7度 |
12時間 | 18.4度 | 18.5度 |
この結果から、本機をテレパソとしてヘビーに使っても、第4世代水冷システムの限界を超えることはないと分かった。もちろん、システムに負荷をかける地上デジタル放送の録画や、3Dゲームをぶっ続けで楽んだ場合は発熱が増すものの、これだけ温度が低ければ温度の上昇もたかがしれている。あくまで“テレパソ”として使うなら、年末年始の酷使には余裕で耐えられるといえる。細かいところだが、本体前面にある画面消灯ボタンを押せばワンタッチで液晶のバックライトをオフにできるのも気が利いている。
一方で次期モデルに向けて注文もある。現行機では地上デジタル/地上アナログ放送の同時録画に対応せず、録画中は裏番組の視聴も行えない。地デジのみ対応のPCが増えているが、まだまだアナログ放送ならではの使い勝手も捨てがたい。また、地デジ放送のチャンネル切り替えに約6〜7秒かかるのもいただけないところだ。
欲をいえば、現状では1680×1050ドット表示の22インチワイド液晶ディスプレイは、24インチで1920×1080ドット以上のフルHD表示になってほしいし、CPUは現行のCore 2 Duo E4400(2.0GHz)から2次キャッシュを4Mバイトに倍増したE6000番台を搭載してほしい。グラフィックスチップも、NVIDIA GeForce 8400M GT(オンボードグラフィックスメモリは256Mバイト)からワンランク上のGPUを採用して、さらにGPUも水冷化してもらいたいところだ。と、欲望はふくらむばかりだが、それだけ期待したくなる製品であり、将来への“伸びしろ”を感じさせてくれる製品でもある。
VALUESTAR W/VALUESTAR G タイプWシリーズの水冷システムは、自作パーツのそれと違って組み込むケースやスペックがあらかじめ絞られているために、静音性や冷却性が最適なバランスになるように設計できたといえる。メーカー製PCならではの安心感も見逃せないところだ。
とりあえず、本機に1週間分の録画予約をばっちり設定すれば、あとは何も心配せず、故郷や海外でのんびり楽しめるのは間違いない。
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