Macを新時代へといざなうOS――「Leopard」が変える未来林信行の「Leopard」に続く道 第7回(4/4 ページ)

» 2007年12月29日 13時45分 公開
[林信行,ITmedia]
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Leopardではアイコンの形状を見ただけで、ページフォーマットされた書類なのか、スクロールして読むタイプなのかが区別できる

 Leopardでもう1つすばらしいのは、ただ検索機能だけを充実させるのではなく、書類の中身を、アプリケーションを起動せずに閲覧できるようにしたQuick Look機能を搭載したことだ(関連記事:動画で見る「Mac OS X Leopard」)。

 例えば、あなたがSpotlightで古いプロジェクトの書類を探したら、同じような日付の書類が10個出てきたとしよう。そういえば、同じ書類を顧客ターゲットにあわせて、10バージョン用意したのを思い出した。しかし、書類名はまったく同じで、どれがどれだか区別がつかない。こんなとき、Leopardでは2段階のサポートがある。

 まず1つは書類のサムネイル表示だ。Microsoft Officeの書類やPDF、JPEG、TEXTなどの汎用フォーマットの書類、それに適切なプラグインが提供されている書類であれば、自動的に書類の印刷時サムネールが生成され、アイコン代わりに表示される。

PDF形式の書類は、サムネイルでもページ送りが可能

 LeopardのFinderでは、アイコンを「アイコン表示モード」時で最大128×128ドット、「カバーフロー表示モード」では512×512ドット程度まで拡大できるので、ちょっとしたテキストデータの中味でもFinder上から簡単に区別が可能だ。そして書類がPDFの場合には、カバーフロー表示状態でページ送りもできる。

 さらにすごいのがQuick Lookという機能だ。気になった書類を選んだ状態で、スペースを押すと、その書類がズーム表示される。その状態でページをめくったり、テキストをスクロールさせたり、動画や静止画であれば画面いっぱいに広げてみたりといったことができる。

 Leopardではアプリケーションを何もインストールしていない状態でも、このQuick Lookのおかげで、Office書類やPDF書類を簡単にのぞき見できる(今後、プラグインが増えればそのほかの形式にも対応する)。アプリケーションというのは書類を編集するための道具であり、閲覧するだけなら基本的にアプリケーションは不要となっているのだ。

書類の中身を表示するQuick Look機能。Office書類、iWorkの書類、PDF、ムービーなど、ほとんどの汎用書類に対応する。サポートしていない書類タイプでも、プラグインが用意されれば対応できる。書類の中身は滑らかなアニメーションで、画面中央に拡大表示される。全画面表示も可能だ

過去に削除した情報も検索対象

 これだけでも十分すごいLeopardだが、実はさらに時間をさかのぼって検索することも可能になっている。過去に捨て去ってしまったファイルや、編集して上書き保存してしまった元のデータをSpotlightで検索できるのだ。これぞLeopardの目玉機能の1つと言われていた「Time Machine」機能だ。

 Time Machineは、「自動バックアップ機能」などと呼ばれることも多いが、この機能の最大の特徴は、復元したいファイルを瞬時に見つけ出せる検索機能、つまりSpotlight検索とうまく融合したことにある。

 例えば、最近引っ越しをした友人がいたとしよう。あなたは新しい住所を聞いて、すぐにアドレス帳の情報を書き換えてしまった。しかし、その後、友人と話すと新居でトラブルがあり、まだ旧住所に住んでいるという。そんな場合でも、SpotlightとTime Machineを組み合わせれば、旧住所を検索できる。

 まず、アドレスブックを起動して、友人の名前と旧住所の一部で検索をかける。おそらく検索結果は0件になるだろう。この状態で、Time Machine機能を起動し、時間をあるところまでさかのぼると、該当項目が表示されるようになる。この状態でそのデータを復活させれば、旧住所のデータを取り戻すことができる。

 もちろん、こうした検索インタフェースの時代に入ると、プライバシーの問題も重要になってくるだろう。そのためMac OS Xでは、個々のユーザーの情報は、すべてホームフォルダの中に納められており、これをほかのユーザーアカウントから見ることはできない(不安な人はホームフォルダを丸ごと暗号化することも可能だ)。

 これに加えて、「システム環境設定」の「Spotlight」に用意された「プライバシー」欄に登録したフォルダの中身は、Spotlight検索の対象外となる。また、標準WebブラウザのSafariを使ったWebブラウジングについても、履歴を残さず利用できるプライベートブラウジングというモードが用意されている。

 Leopardの時代、どこで情報を入手したかは覚えている必要がないが、いま自分が行っている操作が、パブリックなものか、プライベートなものかは常に意識したほうがいいかもしれない。

ユーザーアカウントを切り替えて、プライバシーを守る。人に自分のマシンを貸すときは、ゲスト用のアカウントを使わせるといい。ファーストユーザースイッチ機能を使えば、一瞬で切り替えられる(画面=左)。システム環境設定「Spotlight」には「プライバシー」という設定がある。検索対象外にしたいフォルダはここに登録しよう(画面=右)


 Mac OS X “Leopard”は、Macユーザーを新時代へといざなうオペレーティングシステムだ。今回はSpotlightを中心とした検索ユーザーインタフェースについて紹介した。

 これだけたっぷり語ったようでいて、実はネットワーク検索に対応したことやMac OS X Server 10.5 “Leopard”でサーバ索引機能がついたことなど、まだ触れていないこともたくさんあるが、同OSの登場で日常のちょっとした操作(例えばアプリケーションの起動や簡単な意味調べ)にも、変化が起き始めていることに気が付いてもらえればと思う。

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