インタビュー
» 2008年01月17日 11時30分 UPDATE

水冷PCが奏でる“快適な音”:NECの水冷PCを支える「音の見える化」技術 (1/3)

2007年に復活を果たしたNECの水冷PC。そこには、2003年から続く連綿たる基礎研究の成果があった。その実態とは?

[青山祐介,ITmedia]

2008年で5周年を迎えるNECの水冷PC

ht_0801wa01.jpg 1月8日に発表された新しい水冷PC「VALUESTAR W」シリーズ

 2007年9月にリリースされた秋モデルで復活を果たしたNECの水冷PC。静音性に重点を置いた水冷システム「ウォーターサイレンス」を内蔵し、HD DVD-ROMの再生機能を備えたBlu-ray Discドライブの搭載や地上デジタル放送の対応と、AV機能を重視した液晶一体型PC「VALUESTAR W」シリーズに生まれ変わった。

 年を改めた2008年1月8日、新たに春モデルとして発表された新VALUESTAR Wシリーズの4モデルでも引き続き日立製作所と共同開発した「ウォーターサイレンス」を採用している。詳細はこちらの記事に譲るが、奥行き253ミリというコンパクトなボディを従来モデルから引き継ぎつつ、全モデルでCPUをCore 2 Duo E4500(2.2GHz)に引き上げ、メモリ容量も2Gバイトに倍増。22インチワイド液晶ディスプレイを登載した上位2モデルに、液晶一体型PCでは珍しく外付けGPU(NVIDIA GeForce 8400M GT)を実装するほか、エントリーを除く3モデルで地上デジタル放送のデジタル長時間モードで従来比約2倍の録画が可能になり、将来的にはダビング10にも対応する予定となっている。

ht_0801wa02.jpght_0801wa03.jpg 第4世代水冷システム「ウォーターサイレンス」(写真=左)と水冷システムの概要図(写真=右)

 このように大幅なベースアップを図った新VALUESTAR Wシリーズだが、ここに搭載される第4世代の水冷システムは、AV機能を静かな環境で楽しむべく静音性を追求している。この静音性を支えるのが、NECの中央研究所が生み出した「音の見える化」技術だ。

 今回は水冷PCの開発にかかわった、NECパーソナルプロダクツ PC事業本部 商品企画本部 商品技術部 主任の石井宏幸氏、日本電気 中央研究所 システム実装研究所 実装設計TG 主任研究員の酒井浩氏と佐々木康弘氏に話を聞いた。

「ストレスフリー」なPCを目指して

ht_0801wa04.jpg NECパーソナルプロダクツ PC事業本部 商品企画本部 商品技術部 主任 石井宏幸氏

 水冷システムや新モデルの詳細は上記の関連記事を参照してもらうとして、まずは2007年に投入した水冷PCの反響はどうだったのだろうか。

石井 NECは2003年から水冷PCを手がけていますが、これまでのモデルはディスプレイが別になったセパレート型でした。CPUの発熱が増大する中で、どちらかというとパワーユーザーに人気があり、特に静音性を高く評価していただいていました。このよさをもっと一般ユーザーに伝えていくべく、現在のデスクトップPCで主流となっている液晶一体型のVALUESTAR Wシリーズを投入したのです。

 コンシューマー向けPCとしては(法人向けでは日立製作所が先に投入)いち早く水冷システムに取り組み、着実に進化を果たしてきたのがNECの水冷PCだ。

石井 お客様から寄せられる声には、PCの騒音に関するものが必ず一定の割合で含まれています。従来の機種では、こんなにもPCがうるさいものだとは思わなかった、という声もありました。それだけに、PCでAVを楽しむならただの水冷ではなく、静音でなければダメだというお客様もいらっしゃいます。そのため、最近では水冷PCの指名買いも多いようです。

 石井氏によると、昨秋の液晶一体型PCのリリースによって、「NECの静音水冷PCブランド」はゆっくりとだが着実に定着してきているという。これまでとは異なる層にアピールしつつある水冷PCだが、それだけに“PCの中に水が入っている”ということに対するユーザーからの反応にはきちんと対応してきた。

ht_0801wa05.jpght_0801wa06.jpg 2006年に発売されたVALUESTAR G タイプX(写真=左)。当時は3.2GHzで駆動するTDP130ワットのCPU(Pentium D 840)を搭載していた。液晶一体型水冷PCの開発は、当初からHDDレコーダーと同等以上の静かさが目標だった(写真=右)

ht_0801wa07.jpg 日本電気 中央研究所 システム実装研究所 実装設計TG 主任研究員 酒井浩氏

酒井 確かに、「PCの中に液体が入っている」点については、違和感を覚える方がいらっしゃいます。ただ、これまでNECの水冷システムは信頼性を最重視して商品化してきただけに、お客様にもこのシステムを説明するときには、水冷システムに関して蓄積したノウハウと、液漏れや液の補充といったところを気にかけなくて済む、メインテナンスフリーだということをご理解いただくように努力しています。それだけに水冷システムの品質はとても重視していて、正直言って多少オーバースペックな部分もあります。だからこそ、これまで熱についてのクレームは一切ありません。そういった意味でNECの水冷システムは技術的な魅力が多く、販売店でも売りやすいと聞いています。

 さらに酒井氏は、この水冷システムを搭載する水冷PCは、かなり「家電」を意識したという。特にVALUESTAR Wの競合と想定するAV機器、HDDレコーダーなどの静音性と比較して開発が進められた。その結果、一般的な空冷PCではCPUなどの稼働率に応じてファンの回転数が変化するが、水冷PCでは高負荷時でもファンの回転数が常に一定に保たれ、騒音の変化が少ないのがユーザーメリットだという。

酒井 深夜、寝静まったところでPCが自動的に起動してTVの録画を始めるとCPUの負荷が大きくなり、ファンの音が大きくなります。人間はある程度までは騒音に慣れることができますが、その音が変化するのには敏感です。もちろん、騒音が大きければ大きいほど、ストレスの元にもなります。そういう意味で我々の目指すのは、お客様にストレスを感じさせない「ストレスフリー」な製品なのです。

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