今回のOffice 2008 for Macのリリースに備えて、マイクロソフトのMacintosh Business Unit(通称、Mac BU)は、開発者ブログの「Mac mojo」や、ティーザーブログの「OfficeForMac.com」、Microsoft Office for Macを使ったアート作品を集めたWebサイト「art of office」などを次々と立ち上げて、Webコミュニティを盛り上げ続けた。
「Mac BUはOffice 2008 for Macの機能を、1年前のMacworld Expoですでにプレスに公開していた。これは大きな話題を呼んだが、その一方で、一時的な話題として忘れ去られてしまう危険もあった。発売までの1年近いあいだ、どうやってユーザーの関心を保ち続ければいいのか。その答えがWebを使った“バズ”作りだった」――Mac BUのグループマーケティングマネージャー、シェリダン・ジョーンズ氏は、一連のWebコミュニティ作りの経緯をこのように振り返る。
Office 2008 for Macのリリースを受けて、Mac mojoなどのWebサイトはURLも新たに仕切り直しているところのようだが、これからのMac BUは広告展開に力を入れるという。
「“Simplify your work.”というキャッチフレーズを使った広告を、全世界同時で積極的に展開していく予定です」とジョーンズ氏は語る。
実際、「Office 2008 for Mac」ではその広告コピー通り、作業のシンプル化に力を入れてきた。
「新しいOfficeでは、最終的な成果(プレゼンテーションのスライドや印刷する書類)を美しく仕上げることと、書類に加えるほとんどの要素を1クリックで呼び出せることに力を注いだ」とジョーンズ氏は語る。
プロダクトユニットマネージャのジェフ・プライス氏によれば、今回のOfficeを開発するにあたって苦労したことは2つあるという。
1つはUniversal Binary化(PowerPCとIntelへの同時最適化)と、OpenXMLファイルフォーマットのサポート。Universal Binary化では、アプリケーションのソースコードそのものを見直し、書類のOpenXML化では作成する書類データを細かく見直すことになった。このUniversal Binary化で、Office for Macの動作速度は約30%向上したという。Intel MacのRosettaを使った動作との比較では、2倍から3倍のスピードアップが見込める。
そしてもう1つは、ユーザーインタフェースの改良だ。「これまでのOfficeは、機能がたくさんあるにも関わらず、多くのユーザーは自分がやりたい作業をどうやって実現すればいいのか分からず、その目的に必要な機能があるのかどうかさえ分からなかった。今回のOffice for Macでは、ユーザーに必要とされている機能を見つけやすくすることに力を入れた」とジョーンズ氏は言う。
もちろん、必要とされる機能や頻繁に使う機能は人によって違う。このため、新しいOffice for Macでは、使わない機能をパレットやメニューから外す形で、カスタマイズができるようになっている。
こうした成果が評価されてか、Office 2008 for Macは飛ぶように売れており、米国amazonのソフトウェア売り上げランキングでも1位に輝いている。
なお、マイクロソフトのブースでは、オーディオやビデオに対応したMac版Messenger 7も2008年後半に登場予定として簡単に紹介されていた。ただし、こちらはアプリケーションの開発以前に、Windows Live Messenger環境の整備など、インフラ側の準備も必要なため、リリースにはまだしばらく時間がかかるということだった。
日本国内向けの情報として1つ付け加えておくと、マイクロソフトは1月19日から全国のApple Storeで、Office 2008 for Macのイベントを開催する。また、2月1日には完全招待制のパーティ「Office 2008発売記念プレミアム・セッション」を行う予定だ。
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