なお、イーフロンティアは同日、Avatar Realityとの業務提携も発表した。Avatar Realityは2006年12月に設立され、オンライン上の仮想空間サービス「Blue Mars」を開発中だ。イーフロンティアは、Shade 10シリーズで作成した3DCGのデータをBlue Mars内で円滑に活用するためのデータコンバータや専用モジュールの開発を行う。また両社は、Shadeユーザーをはじめとする多くのCGクリエイターがBlue Mars内で活躍できるような、空間プロデュースを研究していくという。
Blue Marsは、「170年後に居住可能になった火星」が舞台の仮想空間体験サービス。独Crytekのゲームエンジン「Cryengine 2」や米Streambaseの株式市場分析向けストリーム型データベースなどを取り入れ、マルチプラットフォーム展開が可能な仮想世界を提供する予定だ。2008年末にオープンβを計画している。
Shade 10シリーズの発表会でBlue Marsの説明を行ったのは、Avatar Reality代表取締役社長の橋本和幸氏だ。同氏は、かつてスクウェア(現スクウェア・エニックス)で「ファイナルファンタジーVII」の3DCG開発を手がけ、米スクウェアの最高技術責任者を務めたことなどで知られる人物。現在はハワイのホノルルが拠点のAvatar Realityで、Blue Marsの開発を進めている。
同氏は、Blue Marsの特徴を「最新のハードウェア環境を生かした高品質なグラフィックスによるバーチャルワールドを提供できること」と述べ、Second Lifeとの違いについては「Second Lifeでは現実の仮想化を狙ったが、Blue Marsではエンターテインメント性を重視し、さまざまなゲームメーカーに働きかけている。そのうえで、クリエイターがShadeなどで作成した3DCGのアイテムを仮想空間内で売買できるような仕組みも設ける」と説明した。
ちなみに、デモに使われたPCはグラフィックスカードにGeForce 8800 GTXを用いたハイパフォーマンスなデスクトップ機で、1画面内に約500万トライアングルが描画され、フレームレートは20fpsだった。同氏はBlue Marsのプレイ環境に関して、「年末のオープンβの段階ではハイエンドのゲーマーがターゲットになるが、次には3DCGに興味を持っているユーザーが参加するようになり、2〜3年後に一般ユーザーが新しいPCを購入するころには、ハードウェアの進化と低価格化によって普通にプレイできる環境が整っているだろう」と述べた。
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