6万円台のミニノート「SA5SX04A」は、Eee PCに対抗できるか“黒船”に反撃(1/2 ページ)

» 2008年01月25日 17時00分 公開
[後藤治,ITmedia]

Eee PCが発売されたわけですが

SA5SX04AをEee PCの上に載せてみた

 圧倒的な価格競争力で注目を集めるモバイルPC「Eee PC 4G-X」(以下、Eee PC)だが、その日本版が発売される直前のタイミングで、国内メーカーから競合製品が登場した。工人舎「SA」シリーズの最新モデルである。

 SAシリーズの初代機「SA1F00A」がリリースされたのは、2006年11月。当時SA1F00Aは、「9万円を切るモバイルPC」として脚光を浴び、それまで記憶の片隅に埋もれていた“工人舎”の名を再び押し上げたモデルとしても知られる(もともと“工人舎”とはソーテックの前身だった会社の名前で、現工人舎はソーテックから離れた開発部隊を中心に構成されている)。

 その後同社は、SAに続くモバイルPCのラインアップとして、SHシリーズSRシリーズなどを投入しているが、こちらはインテルプラットフォームの採用や、ワンセグチューナー、Webカメラの内蔵など、高性能・高機能化を図ったものであり、“低価格”という点とはやや別の方向に進化していた。

 2007年4月に発売された「SA1F00K/R」にしても、価格は9万9800円と、Eee PCに比べれば2倍ほどの差がある。タブレットPCにもなるコンパチ仕様とはいえ、いまとなっては価格面で魅力に欠けるのも確かだ。同社がこのタイミングでSAシリーズに6万9800円の「SA5SX04A」を用意してきたのは、Eee PCを強烈に意識したためと見て間違いないだろう。ここではそのEee PCと比較しつつ、6万円台の新生SAシリーズを検証していく。

1024×600ドット表示に対応した液晶ディスプレイ

 SAシリーズは、7インチタッチパネル液晶を搭載したA5クラスのモバイルPCだ。AMDの統合型CPU、Geode LX800(500MHz)の採用や、液晶ヒンジ部分が回転する機構は従来モデルを踏襲しており、ABS樹脂製の黒い外装にも変更はない(今回のラインアップにはプラチナシルバーカラーのモデルは用意されていない)。従来モデルを知る人には、一見して「ただ価格を下げただけ」のようにも思えるが、実は2つの重要な改良が施されている。

 1つは液晶パネルだ。今回のモデルでは、表示解像度が従来の800×480ドットから1024×600ドットに向上しており、これはそのままEee PCに対するアドバンテージにもなっている(従来のSAシリーズも、プレビューモードによる1024×600ドット表示は可能だったが、これはテキストの表示がつぶれて実用に耐えないものだった)。Webブラウザやオフィスソフトを利用する際には、使い勝手にはっきりと差が出る部分だろう。

 また、パネル表面には従来同様に光沢処理が施されているため、ノングレア液晶を搭載するEee PCに比べると静止画を表示したときの見栄えがいい。視野角や明るさも十分なレベルで、モバイルPCをフォトストレージ兼ビューワとして利用したいと考える人にはうってつけだ。ただし、本機の光沢パネルは光源の映り込みが激しく、設置場所などを工夫する必要がある。価格相応と言える部分かもしれないが、できればきちんと低反射処理をしてほしいところだ。

1024×600ドット表示対応した液晶ディスプレイを備える(写真=左)。Eee PCに比べて1.6倍の表示領域を持つため、Webブラウジングなどで差が出やすい。リニューアルされたばかりのITmediaのトップページを表示してみた(写真=中央)。ディスプレイは回転してタブレットポジションでも利用できる。このため、ディスプレイの両側にはスティックポインタやマウスボタンも搭載されている。なお、スピーカーが液晶下部にあるが、音質はEee PCのほうが数段上だ

打ちやすくなったキーボード

キーピッチが16.8ミリ、キーストロークが1.5ミリの日本語77キーボードを搭載。SHシリーズと同じパンタグラフ式のキーボードが採用された。ただし、キーレイアウトは従来通りで、日本語84キーボードのEee PCに比べると配列はかなり変則的だ

 改良点の2つめは、ボディの幅をいっぱいに使った日本語77キーボードだ。従来シリーズではキートップのぐらつきが目立ち、キーをまっすぐ押下できずにタイプミスを誘発していたが、新たにパンタグラフ式のキーボードを採用することでその弱点を克服している。実際、慣れればタッチタイプもできるし、やや固めの小気味よいタイプ感は好印象だ。SAシリーズのキーボードは、自ら改造するユーザーがいたくらい評判が悪かっただけに、今回の改良は大きな意味があるだろう。

 もっとも、これは主要キーのピッチを16.8ミリでそろえたローマ字入力の話で、カナ入力にはかなり無理がある配列となっている。例えば、「む」「ろ」「へ」はファンクションキーと同じ並びにあるし、「け」は上方向キーの右に置かれている。キー配列自体は変わっていないので、カナ入力ユーザーが使いこなすのは難しいかもしれない。

クリックボタンは左側が長い

 2ボタン式のタッチパッドは、面積が40(横)×23(縦)ミリと、Eee PCよりもさらに狭い(Eee PCには、狭いタッチパッドを補完する意味でマウスも付属していたが、本機にはこれもない)。ドライバはSynaptics製(Synaptics TouchPad V6.3)で、右端を使ったスクロール操作にも対応している。

 このほか、タブレットポジション用として、液晶ディスプレイの左右にスティックポインタやマウスボタン、スクロールボタンなどを備えているのがユニークだ。文字入力の必要がない単純なWebブラウズ程度なら、液晶を折りたたみ、寝ころんでいても操作できるのがうれしい。

 ちなみに、TDPの低いGeodeを搭載する本機はファンレス仕様となっているが、起動してしばらくたつとタッチパッド周辺が暖かくなる(非接触温度計で測定したところ、アイドル状態でもクリックボタンの温度は43度を超えた)。また、本体左右側面に放熱スリットがあるものの、基本的にボディ全体で放熱を行っているため、液晶ディスプレイを反対側に閉じたタブレットポジションでは、熱を帯びやすいようだ。

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