収録するシーンが確定したら、メニューのデザインを選択する。画面を「できあがりイメージの確認」タブに切り替えると、現在設定しているデザインでのメニュー画面が画面の右側にプレビュー表示される(メニュー画面の操作は不可)。
DVD-VideoやBDMVのディスクを作成する場合は、通常の静止画メニューのほか、背景に動画が自動再生されるモーションメニューも数多くのテンプレートが用意されており、一覧から選ぶだけで複雑な効果をつけたメニュー画面を簡単に作成することが可能だ。
海外製のオーサリングソフトに搭載されたメニューテンプレートは日本人の好みとズレているものも少なくないが、Click to Discはソニー製だけあって日本人が見てセンスがよいと感じられるようなテンプレートが提供されている。これは実際の利用において重要な違いだ。
ただし、BD-Jの場合は基本的なパターンとして用意されているメニューが1種類だけで、枠の色をいくつかの候補から選べる程度にとどまる。また、いずれの場合もテンプレートの細かなカスタマイズには対応せず、あくまで「一覧から選ぶだけで作れる」という点に絞り込んだ構成になっている。
メニュー画面も完成したら、いよいよ「ディスク作成開始」ボタンを押して、メニュー画面のエンコードとディスクへの書き込みを行う。ここでも、エンコードにかかわる詳細な設定画面は用意されず、キャプチャー時のコーデックが基本的にそのまま使われる(DV AVIファイルの場合は標準解像度のMPEG-2に変換される)。
このとき、作成済みのBD-JやBDAV、DVD-VRディスクをセットすると、追記するかどうかを尋ねるダイアログを経てから、追記モードでの書き込みに切り替わる。当然ながら、追記モードで書き込んだ場合は、カレンダーやプレイリストといったBD-J形式のメニューも追記した内容を含んだ形に変更される。
以下の動画は、BD-J形式で作成したBDディスクのメニュー動作の様子だ。DVD-VideoおよびBDMVのメニューテンプレートのうちのいくつかは、同社の製品紹介ページで確認できる。
Click to Disc Editorを用いず、Click to Discの「おまかせ転送」機能を使うと、編集などの作業を極力省いた形で、ビデオカメラの映像を自動でディスクに保存できる。映像を取り込むビデオカメラと転送先となるディスクの種類、メニューデザインを選んで、下の「開始」ボタンを押すだけで、すべての作業が自動で行われる仕組みだ。
Click to Disc Editorと同様に追記モードで書き込んだ場合は、素材が年月日で整理され、「カレンダービュー」や「シンクロ再生」にも自動的に反映される。したがって、BD-J形式でBDディスクに保存していく作業を「おまかせ転送」機能で行えば、ほとんど手間をかけずに、撮影した映像をどんどん追記してアーカイブしていけるというわけだ。
なお、従来のClick to DVD BDでは行えなかった、AVCHDビデオカメラの映像を自動でオーサリングする機能にも今回から対応している。
最後に、BD-J形式で書き込んだBDメディアの再生互換性が気になるところだが、前述の通り、BDドライブを搭載したVAIOと「プレイステーション 3」はソニーによる再生検証済みだ。今回試した限りでは、VGC-LT81DBに付属の「WinDVD BD for VAIO」で正しく再生できたほか(メニュー画面はマウスで操作できず、キーボードのカーソルキーかリモコンで操作する)、プレイステーション 3でもすべての機能を利用できた。
一方、別のPCと市販ソフトとの組み合わせでも試したところ、BD-J対応をうたう「WinDVD 9 Plus」ではポップアップメニューがうまく機能しなかったほか、同じくBD-J対応の「PowerDVD Ultra」では再生自体ができなかった。また、今回は試せなかったが、ソニー製BDレコーダーの一部では正しく再生できない場合もあるとのことで、市販のBDタイトルやBDMV形式のディスクに比べると、再生互換性はどうしても低くなってしまうようだ。
とはいえ、BD-J形式でのオーサリングは、これまでにないメニュー画面によるディスク作成を楽しめるというだけでなく、ビデオカメラで撮影した映像を手早く、しかも後から検索しやすい形で保存できるという点で、家庭でのディスクオーサリングの概念を変えてしまうだけのインパクトを持っている。単にHDDタイプのビデオカメラの映像をBDに保存するだけの用途で使っても、再生を楽しむごとにその便利さを実感できるだろう。
派手なモーションメニューを組み込んだDVD-VideoおよびBDMVのオーサリングも面白いが、ビデオカメラで撮りためた記録メディアを手早くアーカイブしたいと考えているのならば、Click to DiscによるBD-J形式でのBDオーサリングは、ぜひとも一度体験してもらいたい優れた映像管理・活用ソリューションといえる。
現状では高価な記録型BDドライブ搭載VAIOでしか試せないのが残念だが、今後BDドライブがメインストリームのモデルまで下りてきて多くのユーザーが手にできる段階になれば、他社に対する強力なアドバンテージを発揮するソフトになるはずだ。
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