2000年9月に登場した富士通の「FMV-BIBLO LOOX」シリーズは今年で8年目を迎える。小型軽量モバイルノートPCの一大勢力として市場に影響を与えてきたLOOXだが、その顔ともいうべきシリーズは「LOOX T」だった。光学ドライブと10インチ程度のワイド液晶ディスプレイを搭載した2スピンドル構成のボディは、使い勝手を損なわずに高い携帯性が得られることから、幅広いユーザーに愛用されている。
しかし、2008年春モデルでは1つの変化が訪れた。誕生以来LOOXブランドを支えてきたLOOX Tの新モデルが現れず、その代わりとして完全な新シリーズとなる「LOOX R」が投入されたのだ。LOOX Rは、LOOX Tから“光学ドライブ搭載の小型軽量ノート”というコンセプトを継承しつつ、ビジネスシーンでの利用を強く意識。店頭販売モデルのプリインストールOSをWindows Vista Home Premiumから同Businessに変更した。
また、液晶ディスプレイの大画面化や入力環境の快適化、より高性能なCPUへの対応、バッテリー駆動時間の延長など、強豪ひしめくビジネス向けモバイルノートPC市場でも勝負できるように、さまざまな面が見直されている。その半面、ボディは以前より大型化しており、これらの変更点が実際の運用にどのような影響を与えるか気になるところだ。
LOOX Rは2007年12月18日に発表されたが、発表時にはCPUやチップセットの詳細が明らかにされていなかった。そのため、昨年掲載したLOOX R試作機とLOOX Tとの比較記事では、パフォーマンスや使い勝手の検証を見送っている。スペックの全容は2008年1月16日にようやく公開され、製品は1月25日より販売中だ。今回はLOOX Rの店頭販売モデル「FMV-BIBLO LOOX R70Y」の製品版を入手したので、その実力に迫っていきたい。
富士通、モバイルノートPC「LOOX R」の仕様と提供時期を発表
12.1インチワイド液晶搭載で約1.27キロの新モバイルノート――「FMV-BIBLO LOOX R」
富士通、新モバイルノート「LOOX R」などPC春モデルを発表
まずはおさらいも兼ねて、外装からチェックしていこう。ボディは天板に光沢塗装のグロスブラック、本体に濃いシルバーをあしらった落ち着いたカラーリングだ。天板を横切る一筋のライン、鏡面仕上げのシルバーを用いた液晶ディスプレイのヒンジ部と4つのワンタッチボタン、そして使用時に白く光るLOOXのロゴがデザインにアクセントを加えている。ちなみに同社直販のWEB MART限定カスタムメイドモデルでは、ターコイズブルー、クリムゾン、ピンクゴールドの天板も選択可能だ。
本体サイズは274〜280(幅)×207(奥行き)×27.3〜37.4(高さ)ミリで、フットプリントはA4よりわずかに小さい程度だ。LOOX Tの2007年秋冬モデル「FMV-BIBLO LOOX T70X」は、本体サイズが272.9(幅)×200.9(奥行き)×27.1〜29.9(高さ)ミリだったが、LOOX R70Yでは液晶ディスプレイのサイズを10.6インチワイド(1280×768ドット表示)から12.1インチワイド(1280×800ドット)に大型化したにもかかわらず、液晶ディスプレイ左右のフレーム幅を約5.4ミリと狭くすることで、横幅の肥大化を抑えている。
12.1インチワイド液晶ディスプレイを搭載したノートPCとしては横幅が非常に短いLOOX R70Yだが、LOOX T70Xと比較すると分が悪い。横幅は最長部で5.1ミリ、奥行きは6.1ミリ、高さは最厚部で7.5ミリ増加しており、フットプリントはそれほど変わらないように見えるものの、厚みは増した印象だ。
実際に何日か携帯利用してみたところ、ボディが後方に向かって厚みを増す形状になっているうえ、最厚部が4センチ近くあるため、ブリーフケースのような細みのバッグに書類などと入れた場合はLOOX T70Xよりかさばるのが気になった。なお、付属のACアダプタはサイズが30(幅)×132(奥行き)×29(高さ)ミリ、重量が約248グラムのスティックタイプで、バッグへの収まりがよい。
その一方で特筆できるのは、ボディを大型化しながら軽量化を果たしたことだ。ボディに厚みをつけて強度と軽さを両立し、ガラス厚を薄くしたLEDバックライト方式の液晶パネルを採用するなどの工夫により、重量はLOOX T70Xの約1.31キロから約1.27キロへと軽くなっている(いずれも光学ドライブ装着時)。数値的にはほとんど同じだが、LOOX R70Yは見た目からイメージする重量より随分軽く、常にバッグに入れて持ち歩いても苦にならなかった。
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