ソフトウェアは従来のSateraシリーズ同様、目的のボタンをクリックして各種作業ウィンドウを呼び出して実行できる一元管理ツール「MF Toolbox」が付属する。スキャン画像の保存、スキャン画像のメール添付、OCRによる文書のテキスト化、PDFファイルの作成など、目的に応じた機能を手軽に扱うことが可能だ。
プリンタドライバは「CARPS2」(Canon Advanced Raster Printing System 2)で、Sateraシリーズではすでにおなじみのものだ。印刷処理はPC側のCPUでラスタライズ処理(プリントデータの展開)を行ってから、そのデータをプリンタに出力するので少ない内蔵メモリでも問題なく印刷できるようになっている。プリンタ設定は、「ページ設定」「仕上げ」「印刷品質」という3つのタブを切り替えて行う。基本的な印刷設定は「ページ設定」タブにまとまっており、原稿サイズや用紙種別、ページレイアウト、印刷部数、印刷の向きなどが指定可能だ。両面印刷や印刷のとじ方向は「仕上げ」タブで指定する。「印刷品質」タブには、一般、DTP、写真など目的別の画質設定があらかじめ用意されている。
本機でスキャナ機能を利用できるのはUSB接続時になるが、用意されているTWAINドライバの「ScanGear MF」以外にWindows XP/Vistaが標準で持つWIAも利用可能だ。ScanGear MFは、必要最低限の設定が手早く行える「基本モード」と詳細な設定が可能な「拡張モード」の2種類が選択でき、拡張モードではさまざまな画質調整に加えて、ソフトウェア処理によるモアレやゴミ、キズの低減、退色補正といった画質改善機能も用意されている。
そのほかにファイル管理用ソフトウェアとして、パナソニック ソリューションテクノロジーの「ファイル管理革命 Lite」、日本語OCRとして同じくパナソニック ソリューションテクノロジーの「読取革命 Lite」も付属している。対応OSはWindows 2000/XP/Vista、Windows Server 2003となっており、添付ソフトウェアもWindows Vista対応なので複数のOSが混在する環境でも力を発揮してくれる。
では、本機の印刷スピードはどうなのだろうか。ここでは、20ppm/cpmという高速エンジンを検証するためにベンチマークテストを行なった。テストはストップウォッチによる手動計測で、各テストを5回実施し、その中間値を採用している。
プリントテストは、Word 2007(JEITA J1印刷)の印刷画面で「OK」をクリックした瞬間から計測を開始し、最後の用紙が排出された瞬間までの時間だ。ドライバ設定は、ソートや拡大/縮小の機能がオフ、両面印刷以外の機能は標準のままである。コピーのテストは、プリントテストで利用したJEITA J1をそのままコピー原稿に利用した。計測時間は、本体のスタートボタンを押した瞬間から最後の用紙が排出された瞬間までだ。
結果は下の表に示した通りだが、その高速性は掛け値なしと言える。ファーストプリントとファーストコピー(原稿台使用)の速度はメーカー公称値の9秒を切っているし、ファーストプリントとファーストコピーの時間を含めないプリント/コピーエンジン本来の速度を示すプリント20部およびコピー20部の速度は58〜59秒台と、公称値の20ppm/cpmを上回っている。両面印刷に関しては、5ppm/cpmというメーカー公称値で20ページ(両面印刷で10枚)を出力すると120秒という計算になるが、テストでは120秒を大幅に下回る速度が出ており、その高速性がだてではないことが分かるだろう。この速度であれば、プリントでもコピーでもストレスを感じないで利用できるはずだ。
高速印刷ゆえ、印刷の品質が犠牲になったのでは元も子もないが、本機の場合はそのような心配は取り越し苦労だ。本機の印刷品質に関しては、文字や図版の輪郭部がギザギザにならないようスムージング処理を行う「スーパー・スムージング・テクノロジー」(SST)によって、小さな文字でもかすれや文字がつぶれないように十分なクオリティを維持している。なおかつ20ppm/cpmの高速な出力でこの印刷品質を確保しているのだから十分に満足できる。
ここまでMF4270を紹介したが、コピー、プリンタ、ファクスという“オフィス三種の神器”を1台にまとめ、しかも高速プリントと軽量&コンパクトなボディを実現した。レーザー出力なのでプリント品質が高く、水やマーカーにも強い。さらにネットワーク機能を標準搭載することにより、個人店舗や自営業といった数人で使うようなSOHO環境では、文句なしでお勧めできる製品に仕上がっている。環境対策にも抜かりはなく、個人ユースを考えた場合でも、ファクスの送受信と高速出力を求めるユーザーには非常に魅力的な製品となってくれるはずだ。
なお、本機には標準で1年間の無償修理サービスが適用されるが(宅配料金や手数料は除く)、有償でエンジニアが訪問して定期点検や修理などを行うキヤノンサービスパック(CSP)やキヤノンケアギャランティ(CCG)、スポットサービスが提供されている。購入時は、必要に応じてこれらのサポートやサービスの導入を検討するとよいだろう。
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企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2008年3月17日