iSCSI対応ネットワークストレージ「TeraStation IS」の魅力(2/2 ページ)

» 2008年03月17日 10時00分 公開
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複数のマシンから利用するには

 iSCSIはNASとは異なり、複数のマシンから同一ボリュームを共有することはできないと前述した。しかし、TeraStation ISはディスクあるいはRAID構成されたRAIDアレイを複数のボリュームに分割して管理、提供することができる。それぞれのボリュームは異なるiSCSIイニシエータに接続できるため、複数のPC/サーバに対して1台のTeraStation ISでストレージを提供することが可能だ。ちなみに、同時接続可能なイニシエータ数は10となっている。

 1つのディスクあるいはRAIDアレイを複数のボリュームに分割するには、論理ボリュームマネージャ(LVM)を有効にする必要がある。LVMはほかにもボリュームの拡張を提供し、より高度な運用を可能にしてくれるが、LVMの有効/無効を切り替えると既存のデータはすべて削除されてしまうため、導入時に決定することが望ましい。パフォーマンス的にはLVMを使用しないほうが有利なので、利用状況を考慮して検討すべきだ。

LVMはディスクあるいはRAIDアレイ単位で有効/無効を設定できる(画面=左)。LVMを有効にするとボリュームの追加画面でサイズの指定が可能になる(画面=中央)。ディスクとボリュームの関係図。通常、iSCSIターゲットの単位となるボリュームは複数のディスクをまとめたRAIDアレイに対応するが、LVMを有効にすると1つのRAIDアレイに複数のボリュームを作成できる(画面=右)

TeraStationゆずりの機能は健在

 TeraStation ISのiSCSIボリュームは、デフォルトの状態では認証がなく、どの機器からでも接続できるが、ボリュームごとにパスワード、IPアドレスの制限を設定することができる。また、それと同時にiSCSIイニシエータ側にもパスワードを設定し、双方向で認証を行う相互認証を利用すればより安全なデータ運用が行える。もちろん、メンテナンスなどについては実績あるTeraStation PROシリーズと同様のものを備えている。

アクセス制限の設定画面。ボリューム個別のほか、システム全体でも設定できる(画面=左)。相互認証を利用する場合はiSCSIイニシエータに「CHAPシークレット」を設定し、同じものをTeraStation ISの「パスワード(相互認証)」に指定する(画面=中央)。異常時の連絡だけでなく、定期報告もメールで通知することができる(画面=右)

サーバ用途では必須ともいえるUPS設定機能。APC製とオムロン製に対応している(画面=左)。RAIDの全データ読み取りチェックとエラー検出時の自動修復を行うRAIDメンテナンス機能も搭載されている(画面=中央)。ログ情報の出力と蓄積にはsyslogサーバが利用可能だ(画面=右)

TeraStation ISの性能を検証――専用ネットワークでさらなる高速化も

ラックマウント型のTS-RIGL/R5シリーズ

 TeraStation ISにはラックマウント型も用意されており、サーバのバックアップ用ストレージとして非常に低価格で導入できる。また、使用されているテクノロジーはTCP/IPネットワークと基本的なローカルドライブであり、ハードウェアとしても特別な機器を必要としない。「iSCSIは初めて」という人であっても、概念さえ理解すれば既存技術の知識で十分対応可能だ。

 これはつまり、iSCSIのチューニングにはTCP/IPネットワークのチューニング知識が有効だということを意味している。最もシンプルかつ効果的な例としては、iSCSI機器専用のネットワークを別に構築することが挙げられる。PCサーバのほとんどは2つ以上のLANアダプタを搭載しているし、増設用の1000BASE-Tネットワークアダプタも比較的安価に購入可能だ。もし、iSCSI機器をホストPCと1対1で接続するのであればPCと直結することでさらに遅延要素を排除できる。

 実際に専用ネットワークを構築してTeraStation ISの性能を検証したところ、RAID 5、RAID 10において40Mバイト/秒以上の読み出し速度をコンスタントに出しており、一般的なUSB外付けHDDよりも転送速度で有利なことが見てとれる。ドラッグ&ドロップによるファイルコピーでも4Gバイトの巨大ファイルを1分40秒程度で読み出しており、実用面で十分な性能と言える。

5096ファイル/合計1Gバイトと、1ファイル/約4Gバイトのコピーにかかる時間を手動で計測した。半透明のグラフはサーバ機器と同じネットワークを使用した場合。その下は専用ネットワークを使用している。ネットワークの状況によって違いはあるものの、特にiSCSIドライブからの読み出しではボトルネックはネットワークにあることが分かる(画面=左)。こちらのグラフは、CrystalDiskMark 2.1.0の結果。RAID 5の書き込みはやはり負荷が高く、ネットワークの状況にあまり左右されないが、RAID 5の読み出し、RAID 10の読み書きはネットワークのチューニング次第で高速化が可能だ。混在環境には一般的な公開サーバセグメントを想定し、1万通/日程度の受信を行うメールサーバを設置したトラフィック量の多い環境のため、顕著に差が出ていると思われる。なお、測定環境はCPU:Core 2 Duo E6600、メモリ:3Gバイト、OS:Windows Vista Ultimate 32ビット、LANアダプタ:Intel PRO/1000 PT Desktop Adapter、イニシエータ:Microsoftイニシエータ(Windows Vista標準搭載)、ジャンボフレーム使用せず、LVMの使用なし

 このほか、iSCSI機器ネットワーク側はWeb管理画面用のHTTPプロトコル、iSCSIプロトコルなど非常に限定的な通信でよいため、ファイル共有などブロードキャストをともなう不要なサービスの通信を止める、ルーティングを行わないなど、比較的大胆なチューニングが可能だ。もちろん、TeraStation ISは9694バイトまでのJumbo Frameに対応しており、ギガビットネットワークの効果をさらに高めることができる。

ダイナミックディスクでRAIDを多段階に構成

 ほかにもTeraStation ISで信頼性の高いデータ保護とパフォーマンスを両立する運用法がある。TeraStation ISの1つのボリュームが、PCから1つのローカルディスクとして見えることを利用し、RAIDを多段的に構築する方法だ。

 Windowsではダイナミックディスクという名称でソフトウェアRAIDがサポートされている。Windows Server 2003やWindows XP Professionalなど、iSCSIイニシエータを標準搭載していないOSでは正式にサポートされていないものの、近々登場するWindows Server 2008ではiSCSIイニシエータを標準搭載しており、TeraStation ISをダイナミックディスクに変換してソフトウェアRAIDを利用することができるのだ。

 RAIDを多段構築する際は目的の異なるRAID構成を組み合わせるが、通常はTeraStation ISでRAID 1またはRAID 5でデータ保護を、ダイナミックディスクのストライプ(RAID 0)で高速化を図ったり、スパンで容量を増加させる。これは複数ディスクの同時故障時の安全性を高めるために、なるべく下の段階でデータ保護を行うことと、PCのパフォーマンスを低下させないためにソフトウェアRAIDであるダイナミックディスクでは比較的負荷の軽い処理を行うことを考慮している。ちなみに、Windows Vista Ultimate/Enterpriseでもスパニングとストライピングに限り、iSCSIでダイナミックディスクを利用可能だ。

TeraStation ISをダイナミックディスクに変換する(画面=左)。ダイナミックディスク上に新しいボリュームを追加(画面=中央)。ダイナミックディスクにはシンプル(通常)、スパン(複数のディスクを1つのボリュームにまとめる)、ストライプ(RAID 0)、ミラー(RAID 1)、RAID 5が作成できる(画面=右)

ストライプで構築したところ。1つのドライブにディスク1、ディスク2が割り当てられ、容量が1.32Tバイトとなっている(画面=左)。スパンで構築したところ。ストライプと異なり高速化の効果はないが、データを保持したまま容量を増やせるのが利点だ(画面=中央)。なお、Windows Vista Ultmate/EnterpriseではミラーリングとRAID 5は利用できない(画面=右)

iSCSI規格に対応した低価格ストレージで広がる可能性

1台のTeraStation ISを複数ユーザーで分割利用すれば、USB外付けHDDに比べてコストや設置性でもメリットがある。HDD交換などを工具なしで行えるメンテナンス性の高さも特徴だ

 TeraStation ISは、大企業の部門サーバといった用途だけでなく、SOHOでの利用にもメリットがある。例えば、数人のスタッフがいるオフィスで、各PCのバックアップをとると考えてみよう。最も手軽なソリューションは、USBなどの外付けHDDをひとり1台ずつ用意することだが、ここでRAID 5で運用するTeraStation ISを導入し、1台を複数ボリュームに分割してそれぞれのPCに接続すれば、さらに快適かつ信頼性の高い環境を構築できる。また、ネットワーク経由で利用できるため、設置性の面でも有利だ。

 RAIDのデメリットはRAID 1でも2台、RAID 5なら3台以上、RAID 10では4台のHDDが必要になるということ。例えば、3人のユーザーのバックアップ用に250GバイトずつRAID 5構成のHDDを使用する場合には、125GバイトのHDDを各3台ずつ、最低12台が必要となる。これに対して、TeraStation IS(250Gバイト×HDD4台の1Tバイトモデル)を導入すれば1台ですべてをまかなうことができる。

 実際には、1人につき50Gバイト程度の容量があれば通常利用には十分であるから、1人あたり1万4000円弱のコストで、きちんとデータ保護されたバックアップ環境を提供できる計算だ。これはUSB外付けHDDと比較してもかなり安価なソリューションだし、ランニングコスト(消費電力)も小さい。そのうえ、転送速度の面ではNASに比べて高いパフォーマンスを発揮できるため、バックアップ用途以外にも、通常利用するデータドライブとして使うことができる。

 このように、TeraStation ISを各個人用の外付けHDDの集合体として考えると、さまざまな利用価値が見出せるだろう。デスクトップPC1台程度のコストで導入できるTeraStation ISは、サーバ用増設ストレージの“第3の選択肢”として、ハイパフォーマンスかつ信頼性の高い環境を手軽に実現できる要注目の製品だ。

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提供:株式会社バッファロー
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2008年3月31日