米国外での売り上げがデルの成長を牽引──UMPCの投入予定も

» 2008年03月05日 16時10分 公開
[ITmedia]

新興市場の飛躍がデルの成長を支える

デル 日本/アジア太平洋地域 統括責任者 ステーブ・フェリス氏

 事業説明会では冒頭、デル 日本/アジア太平洋地域 統括責任者 ステーブ・フェリス(Steve Felice)氏が2008年度(2007年2月〜2008年1月)のグローバルでの業績を報告した。詳細は下の表の通り好調だが、これを下支えしたのが直近の第4四半期で過去最高の実績を残した日本/アジア太平洋地域だ。コンシューマー事業が対前年同期比で出荷台数が72%増、同様に法人事業は36%増と、出荷台数、売り上げ、粗利、営業利益すべての面で予算を上回る好結果を記録した。めざましいのはBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の新興市場で、第4四半期の出荷台数が50%増、特にインドでは年間の出荷台数が80%増と飛躍的な成長を遂げたという。「まだ初期段階の成長だが、ブラジルやインド、ポーランドなどで拠点を設けるなど投資を進めており、積極的に製品投入を図っていく。米国外の地域のポテンシャルは高く、特に日本/アジア太平洋地域での伸びを期待している」と語った。

グローバルでの業績
項目 2007年度 2008年度 対前年度比伸び率
総売上 574億ドル 611億ドル 6%
営業利益 30.7億ドル 34.4億ドル 12%
純利益 25.8億ドル 29.4億ドル 14%
1株あたりの利益 1ドル14セント 1ドル31セント 15%

 ノートPCの伸びも顕著で、第4四半期の売り上げ成長率は24%を記録。「最終的にノートPCがデスクトップPCを上回ると思うが、現状ではデスクトップPCの出荷台数が多い」とフェリス氏は見解を述べた。また、中小企業向け(SMB)市場では、2007年に立ち上げたVostroシリーズが230万台を出荷し、顧客満足度も上昇(日本/アジア太平洋地域では90%)した。コンシューマー事業は「日本/アジア太平洋地域をはじめとして世界的で成長している分野であり、小売り販売で新しいユーザー層にリーチを広げており、全世界で伸ばしていきたい」と抱負を語った。

2008年度および第4四半期の業績(写真=左)。直近の第4四半期で過去最高の数字を記録した日本/アジア太平洋地域(写真=中央)。BRICsと呼ばれる新興市場で大きな成長を遂げた(写真=右)

法人向けノートPC市場では1位を記録したという(写真=左)。中小企業向けに特化したVostroシリーズは全世界で230万台を出荷(写真=中央)。コンシューマー市場でも堅調にシェアを伸ばしている(写真=右)

ウルトラモバイルPCの投入を示唆

デル代表取締役社長 ジム・メリット氏

 続いて、デル代表取締役社長のジム・メリット(Jim Merritt)氏が日本市場における業績と同社の取り組みについて述べた。

 まず日本市場の現状としては、「市場全体が成熟し、競争が厳しくなっているものの、成長の余地は十分にある。実際にノートPCは市場全体を上回るペースで好調を維持し、エンタープライズ市場もリプレース用途で需要が増えている」とし、「昨年だけで新規顧客が法人で14%、コンシューマーで22%も増加した」と日本での実績を報告。「日本では2007年に新製品の投入が顕著に行われ、日本市場向けのXPS Oneは評価が高く、将来的にも魅力的な新製品を投入する予定だ」とし、「まだ10カ月しか経過していないが、ビックカメラやソフマップ、さくらや、ベスト電器といった小売店との連携により、販売チャネルが大きく拡大し、特にノートPCは出荷台数が増加した。今後も積極的に展開していくつもりである」と述べた。

 2009年度の方針としては、引き続き「ITのシンプル化」を進めていき、「エンタープライズ、SMB、コンシューマーの各事業を柱としていくのはこれまでと変わりない。コンシューマー事業ではさらなる小売り事業を広げ、これまでデル製品を知らなかった人にアプローチしていく。また、ノートPC分野ではウルトラモバイルPCを投入する」とまとめた。

日本市場の現状(写真=左)。 営業利益は対前年比で50%も増え、ノートPCの出荷台数も急速に増加した(写真=中央)。ユーザーとの対話機会を増加させ、サービス/サポート体制の充実化に反映し、顧客満足度は平均で90%を獲得したという。西日本支社を大阪に開設したり、プロサポートの提供もその一環だ

2009年度の方針(写真=左と中央)と経営目標(写真=右)

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