本特集では、国内主要メーカーが技術の粋を結集した小型軽量モバイルノートPCに着目し、最新モデルを横並びで徹底検証している。前回は、液晶ディスプレイのサイズや表面処理の違い、表示の傾向、輝度の調整幅、屋内外での視認性などをチェックした。
今回は、各モデルが搭載しているキーボード、ポインティングデバイス、ワンタッチボタンの違いを比較していく。これらはユーザーがPCを操作する際に手で直接触れる部分なので、ノートPCの使い勝手を大きく左右する。いかに性能や機能が優れていても、ユーザーインタフェースが扱いにくかったら、魅力は半減してしまうだろう。
比較用に集めたモバイルノートPCは下表の6モデルで、いずれもDVDスーパーマルチドライブを搭載していながら、重量1.3キロを切る小型軽量かつ多機能なモバイルノートPCとなっている。「光学ドライブ搭載で小型軽量」というのが共通する特徴だ。
なお、LaVie J LJ750/LHとLet'snote LIGHT CF-W7は試作機での評価となるため、実際の製品と異なる可能性があることをあらかじめお断りしておく。
本特集で比較する6台のモバイルノートPC(実売価格は2008年3月10日現在) | ||||||
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製品名 | メーカー | 液晶ディスプレイ | CPU | HDD | 重量 | 実売価格 |
LaVie J LJ750/LH | NEC | 12.1インチワイド(1280×800ドット) | 超低電圧版Core 2 Duo U7600(1.2GHz) | 160GB(2.5インチSATA/5400rpm) | 約1.279キロ | 27万5000円前後 |
VAIO type G VGN-G2KAN | ソニー | 12.1インチ(1024×768ドット) | 超低電圧版Core 2 Duo U7600(1.2GHz) | 80GB(1.8インチUATA/4200rpm) | 約1.143キロ | 22万5000円前後 |
VAIO type T VGN-TZ72B | ソニー | 11.1インチワイド(1366×768ドット) | 超低電圧版Core 2 Duo U7600(1.2GHz) | 80GB(1.8インチUATA/4200rpm) | 約1.22キロ | 25万円前後 |
dynabook SS RX1/T7E | 東芝 | 12.1インチワイド(1280×800ドット) | 超低電圧版Core 2 Duo U7600(1.2GHz) | 80GB(2.5インチSATA/5400rpm) | 約1.059キロ | 22万5000円前後 |
Let'snote LIGHT CF-W7 | パナソニック | 12.1インチ(1024×768ドット) | 超低電圧版Core 2 Duo U7600(1.2GHz) | 80GB(2.5インチSATA/5400rpm) | 約1.249キロ | 25万円前後 |
FMV-BIBLO LOOX R70Y | 富士通 | 12.1インチワイド(1280×800ドット) | 低電圧版Core 2 Duo SL7100(1.2GHz) | 120GB(2.5インチSATA/5400rpm) | 約1.27キロ | 22万円前後 |
小型軽量モバイルノートPCのキーボードは、ボディサイズによって横幅が制限されることに加えて、重量も可能な限り削減することが求められる。そのため、サイズや重量の制約が少ない大型のノートPCと比較して狭いスペースに、どれだけ使いやすいキーボードを詰め込んでいるかがポイントだ。具体的には、主要なアルファベットキーのキーピッチを広く確保しつつ、一部のキーを小さくしたり、使用頻度の低いキーをFnキーとの組み合わせで入力する仕組みにして、使い勝手と小型化のバランスを取っている。ちなみに、キーボードの防滴性能については第2回を参照してほしい。
下表は、今回集めた6モデルの本体サイズと液晶ディスプレイ、キーボードの全長、パームレストの長さ、キーピッチ、キーストロークを比較したものだ(メーカーが公表していない寸法は実測)。基本的に本体の横幅は液晶ディスプレイのサイズで決まるため、画面が大きい製品のほうが、キーボードのサイズに余裕を持たせやすい。
キーピッチは18.5〜19ミリ程度あるのが理想的だが、横方向だけでなく、縦方向のピッチにも注目だ。横方向と比較して縦方向の長さが短いと、慣れないうちはミスタイプをしやすくなる。キーの打ちやすさを考えると、キーストロークは2.5ミリ以上欲しいところだが、実際に入力すると、同じストロークでもキーの反発力や底つき感(キーを押し切ったときに底へ当たる感触)などが異なるため、使い心地は数値と一致しない。パームレストは、基本的に広いほうがキー入力時に無理な体勢を取らなくて済む。
各モデルの本体サイズ、液晶、キーボード | |||||||
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製品名 | メーカー | 本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 液晶ディスプレイ | キーボード全長(横×縦) | パームレストの長さ | キーピッチ(横×縦) | キーストローク |
LaVie J LJ750/LH | NEC | 292×214×29.8ミリ | 12.1インチワイド | 260×100ミリ | 72ミリ | 17.55×17.55ミリ | 2.5ミリ |
VAIO type G VGN-G2KAN | ソニー | 277×215×23.5〜25.5ミリ | 12.1インチ | 257×95ミリ | 53〜60ミリ | 17×16.5ミリ | 2ミリ |
VAIO type T VGN-TZ72B | ソニー | 277×198.4×22.5〜29.8ミリ | 11.1インチワイド | 253×93ミリ | 58〜66ミリ | 17×16.5ミリ | 1.7ミリ |
dynabook SS RX1/T7E | 東芝 | 283×215.8×19.5〜25.5ミリ | 12.1インチワイド | 278×100ミリ | 71〜76ミリ | 19×17.5ミリ | 2ミリ |
Let'snote LIGHT CF-W7 | パナソニック | 272×214.3×24.9〜45.3ミリ | 12.1インチ | 261×93ミリ | 89〜98ミリ | 19×16ミリ | 2.5ミリ |
FMV-BIBLO LOOX R70Y | 富士通 | 274〜280×207×27.3〜37.4ミリ | 12.1インチワイド | 265×92ミリ | 80〜88ミリ | 18×16ミリ | 2ミリ |
6台のキーボードを見てみると、やはり12.1インチワイド液晶を採用したdynabook SS RX1/T7Eが有利で、主要キーのキーピッチは19(横)×17.5(縦)ミリと広い。12.1インチスクエア液晶を用いたLet'snote LIGHT CF-W7も健闘しており、ボディの横幅ギリギリまでキーボードを敷き詰めることで、dynabook SS RX1/T7Eと同じ19ミリの横キーピッチを実現している(ただし、縦は17ミリ)。その次に大きいのは、12.1インチワイド液晶を搭載したFMV-BIBLO LOOX R70YとLaVie J LJ750/LHだ。VAIO type G VGN-G2KANとVAIO type T VGN-TZ72Bのキーボードは比較的小さくなっている。
キーボードの使いやすさは、各キーのサイズやレイアウトとも密接に関わっている。下表は、主要キーとファンクションキー、およびモバイルノートPCでは小さくなりがちなキーのサイズを計測したものだ。
各キーのサイズ(横×縦) | |||||||||
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製品名 | メーカー | 主要キー | F1〜12、Esc | スペース | Enter | Delete | BackSpace | 半角/全角 | カーソル |
LaVie J LJ750/LH | NEC | 17×17ミリ | 14.5×10.5ミリ | 65×17ミリ | 21〜26×34.5ミリ | 14.5×10.5ミリ | 17×17ミリ | 12.5×17ミリ | 上下:12.5×17ミリ、左右:16.5×17ミリ |
VAIO type G VGN-G2KAN | ソニー | 16.5×16ミリ | 14×11.5ミリ | 45×16ミリ | 21〜24.5×33ミリ | 14×11.5ミリ | 16.5×16ミリ | 16.5×16ミリ | 15×10.5ミリ |
VAIO type T VGN-TZ72B | ソニー | 13.5×13ミリ | 12×9ミリ | 42×13ミリ | 18〜22×29.5ミリ | 12×9ミリ | 13.5×13ミリ | 13.5×13ミリ | 13×10ミリ |
dynabook SS RX1/T7E | 東芝 | 18×17ミリ | 14.5×10.5ミリ | 52×17ミリ | 21〜25.5×34.5ミリ | 14.5×10.5ミリ | 21×17ミリ | 13×17ミリ | 16×10.5ミリ |
Let'snote LIGHT CF-W7 | パナソニック | 18×15ミリ | 14×12ミリ | 49×15ミリ | 18〜23×31ミリ | 14×12ミリ | 16×15ミリ | 14×12ミリ | 14×12ミリ |
FMV-BIBLO LOOX R70Y | 富士通 | 17×15ミリ | 15×12ミリ | 44×15ミリ | 22〜26×31ミリ | 15×12ミリ | 17×15ミリ | 13×15ミリ | 17×11ミリ |
各キーのサイズは、おおむねキーボードサイズと同じ傾向にある。数値上はVAIO type T VGN-TZ72Bのキーが極端に小さいが、これは特殊な設計のキーボードを採用するためだ。キーボードユニットと格子状のキーボードパネルを熱溶着し、パームレスト一体型のキーボードベゼルにはめ込む構造により、強度の向上と入力時のぐらつきを抑えつつ、カチャカチャという入力音を軽減したという。
次のページでは、写真を見ながら各モデルのキータッチをチェックする。
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