レビュー
» 2008年03月11日 19時08分 UPDATE

前衛的な前傾PC:アニキより派手な弟分──XPS 630の「デコトラスタイル」を楽しむ

過激な前傾PC「XPS 720」をお手ごろな価格にして、もっと多くのゲームユーザーに使ってもらおう、というエントリークラスのゲーミングPCが登場した。しかし、その見た目は“アニキ”以上に過激だ。

[長浜和也,ITmedia]

過激なXPSをもっと多くのゲームユーザーに

kn_xps630t1_01.jpg XPS 720譲りの前傾姿勢を受け継いだXPS 630は、手ごろな価格で高いパフォーマンスを提供するゲーミングPCとして企画された

 XPSといえば、ゲームに音楽に映画にと、「遊び」にフォーカスをあてたデルのホームユースPCのブランドとして、日本でもようやく定着してきた感がある。米国では以前から積極的にラインアップを展開してきたXPSだが、日本でも、「前のめりのデカイヤツ」の筐体イメージが印象的な「XPS 700」シリーズと、20インワイドという巨大な液晶ディスプレイを搭載したノートPC「XPS M2010」が日本市場に投入されたことで、それまで、比較的地味だったデルの「高付加価値ホームユースPC」の存在が広くユーザーに知られるようになった。2007年に発表されたXPS Oneの登場が、ハイエンドPCを好むパワーユーザー以外の“一般の人々”にXPSプランドを認知させたことは記憶に新しい。

 XPS 700は、その後、パーツ構成を強化した「XPS 710」「XPS 720」シリーズへと発展する。そのスペシャルバージョンとして登場した「H2C Edition」には、水冷と空冷の大型ハイブリッドクーラーユニット「Hybrid two-stage Coolingユニット」を搭載したことと、その強力なクーラーユニットの能力によって可能になった「インテルプラットフォームにおけるオーバークロック設定の公式サポート」などで、パワーユーザーの注目を集めた。

 このように、国内PCメーカーのラインアップでは絶滅して久しい「超ハイエンドのタワー型デスクトップPC」としてユニークなオーラを放っていたXPS 700ファミリーだが、その一方で、巨大な筐体とハイエンドなスペック構成の副作用である破壊的な価格が災いしてか、「欲しいけれど現実的に手が届かない」という意見も多々聞こえてきたとデルは語っている。

 そういう「XPS 720のコンセプトは支持するけれど、日本の住宅事情と自分の収入を考えると手が出せない」ミドルレンジユーザーのために、デルはXPS 720のエントリーモデル「XPS 630」を投入した。

 XPSのデスクトップPCとしては、先日登場した「XPS 420」がある。先日掲載したレビューでも紹介したように、筐体のデザイン、その筐体に組み込まれたギミック(筐体正面に設けられたミニ・ビュー、筐体上面に設けられたチャージステーション)、BTOで選べる内部構成(PCI Express x16スロットを1つしか持たないため、グラフィックスカードは1枚しか組み込めない)など、その製品コンセプトは、「ゲームもできるけど、どちらかといえば、コンテンツを十二分に使いこなしたいユーザー向け」という汎用的なホームユースPCを目指していた。そういう意味で、XPS 630は、XPS 720の「ゲーミングPC」の系譜を正しく継承したエントリークラスのラインアップといえる。

kn_xps630t1_02.jpg 筐体は、199(幅)×491(高さ)×560(奥行き)ミリとXPS 720から一回り小ぶりになり、5インチのオープンベイがXPS 720の3基から2基に減った。しかし、見た目の印象は小さくなったことをさほど感じさせない
kn_xps630t1_03.jpg 前傾姿勢を受け継いだものの、見た目のインパクトはXPS 720を上回るかもしれない。色が変わるイルミネーション用LEDは上部の横に並んだ3つと下段両端の2つ。加えて、電源ボタンとHDDアクセスインジケータも高輝度の白色LEDを使ってサーチライトのように“照射”する

サイズは確かに小さくなったが、見た目のインパクトは強烈

kn_xps630t1_04.jpg 色が赤、青、緑、紫と変えられるLEDだが、フロントパネルのカラーリングを考えるとここは「赤」で輝かせたい。ほら、もうあの「大佐殿」(一年戦役における最終階級)の専用マシン以外に見えないはずだ

 XPS 630の筐体サイズは、199(幅)×491(高さ)×560(奥行き)ミリとXPS 720シリーズの218×572×616ミリより小ぶりとなっている……、ハズだがその姿から受ける印象はそれほど小さくはない。筐体形状は相変わらず「前のめり」であるが、そのイメージはXPS 720から大きく変わった。

 その理由は筐体のカラーリングにある。漆黒だったXPS 720から、フロントパネルが赤と黒のツートンカラーに、サイドパネルとトップパネルは全面シルバーという、機械的なテイストを押し出すことで、「ゲーミングPC!!!!」という存在感をアピールしている。欧州やアジア地区(除く日本)で盛り上がっている「LAN Party」(PCゲームユーザーが、自分の“デスクトップPC”を持ち寄って集まり、その場でネットワークを構築してオンラインプレイに興じる風習。PCケースの派手なデコレーションで自分の強さをアピールする傾向があるという)でも、相手に強烈なインパクトを与えることができるだろう。

 フロントパネルを彩るLEDイルミネーションはXPS 720シリーズ同様、XPS 630でも採り入れられている。筐体の上下段に横一列でずらりと並んでいたXPS 720と異なり、XPS 630では設置するLEDの数こそ少なくなったものの、「格好よく見える場所」へ効果的に配置されているため、見た目はXPS 720をも上回るといっていい。特に赤いLEDを輝かせたXPS 630の姿は、何の根拠ないけれど「ぬおぉぉぉ、3倍 速いヤツがきた」と恐れおののいてしまうほどだ。

kn_xps630t1_05.jpg 評価機材はGeForce 8800 GTXを1枚、物理演算エンジンカードの「PhysX」、サウンドカードの「Sound Blaster X-Fi Xtreme Music」を組み込んでいた
kn_xps630t1_06.jpg 背面左下のインタフェース部分もイルミネーション用のLEDが用意されているが、評価作業ではケーブルの抜き差しで重宝した

ATXフォームファクタながら冷却手法はBTX

 BTXを採用していたXPS 720と異なり、XPS 630はATXフォームファクタを採用している。その冷却機構はフロントパネルに接して取り付けられた大口径ファンから外気を取り入れ、CPUクーラーユニットのファンで筐体奥に導いたのちに背面から排出されるもので、XPS 720 H2C Editionで導入されていた水冷/空冷のハイブリッドクーラーユニットではなく、空冷のみとなっている。

 フロントに大口径のファンが取り付けれているため、その発する音が気になるところだ。確かに、起動時こそ大きな音がでるものの、OSが起動してアイドル状態に落ち着くと、XPS 630はいたって静かになる。ただ、後述するパフォーマンス評価作業において、ベンチマークテストを走らせていると、負荷にあわせて回転数が可変するファンの音はそれほど気にならないが、筐体全体が「ムーン」と低く静かにうなっているような振動しているような、そういう「気」を感じたのは否定できない。


 以上のように、XPS 630の強烈な外観をまずは検分してみた。「価格を抑えてXPS 720の性能を多くのユーザーに」というコンセプトで登場したXPS 720の弟分だが、見た目インパクトは、アニキを十分上回っている。では、その実力はどうなのだろうか。内部の構成と、BTOで選択できるバーツのリスト、そして、ベンチマークテストの結果については、別記事にて紹介したい。

kn_xps630t1_07.jpg トップパネル後端にあるレバーでサイドパネルが外れる仕掛けはXPS 720と同じ。フォームファクタがBTXだったXPS 720と異なり、XPS 630はATXを採用する。しかし、マザーボードを天地逆に取り付けることで、フロントパネルのファンから外気を大量に取り入れて後ろにあるCPUクーラーユニット(ファンを内蔵する)に流すエアフローの手法はBTXと共通する

(次回に続く)

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