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» 2008年03月21日 11時00分 UPDATE

イマドキのイタモノ:「1×4」か「2×2」か──ようやく実現した「4-GPU CrossFireX」を検証する (1/3)

「発表先行、実物後送」はATIおなじみの「Radeon進行」だが、「4-GPUでCrossFireX」も、ようやくドライバが公開。待たされたかいは、あったのかなかったのか?

[長浜和也,ITmedia]

迫力の「1×4」枚差し。現実的な「2×2」枚差し

 AMD(ATI Technologies)が、4つのGPUを連動させるマルチGPU技術「CrossFireX」を発表してから、すでに4カ月がたとうとする3月半ばに、ようやくAMDは、4GPU対応の「Catalyst 8.3」を公開した。2007年の11月に、Radeon HD 3870の発表と同時に紹介されたCrossFireXは、従来のマルチGPU技術「CrossFire」の拡張版で、それまで2つのGPUまで対応していたものを、3GPU、4GPUへと発展させたのが特徴だ。そのときにAMDが示した検証データによると、2GPU構成で1.5倍超え、3GPU構成で2.5倍強、そして、4GPU構成では3倍強に性能が向上することになっていた。AMDから示されたデータでは、その検証に用いられたベンチマークテストの名称をはじめ、CPUやGPU、マザーボードに搭載されているチップセットなどの検証機材の構成などが明らかにされていないので、どのような状況において「4GPU構成で3倍速い」となったのかは定かでない。

 CrossFireXへの対応を主要な特徴として訴求(もちろん、低消費電力を高く評価するユーザーも多かったし、その有効性が現時点では評価できないDirectX 10.1への対応もAMDは全面に押し出していた)したRadeon HD 3000シリーズが出荷され、AMD(ATI Technologies)の新世代チップセットであるAMD 790FX(これと、Radeon HD 3000シリーズ、AMDのマルチコアCPUで“Spider”プラットフォームを構成する)、AMD 780シリーズ(AMD 780Gと動作クロック1.9GHz以上のAMD製マルチコアCPU、Radeon HD 3200を含む3000シリーズ、または、同2000シリーズがそろうと、先日発表された“AMD HD! Experience”ロゴがつけられる)など、新しいラインアップがそろうなか、3GPU、4GPU構成によるCrossFireXを利用できる環境だけが、AMDからなかなか供給されない状況にあった。

 先日配布が開始されたCatalyst 8.3によって、ようやく2枚構成を超えるマルチGPUのパワーをRadeonユーザーも利用できるようなった。すでに、このCatalystを利用した4GPU構成のパフォーマンスを紹介する記事が各媒体で掲載されているが、動作が不安定であることと、4GPU構成におけるパフォーマンスが思わしくないことなど、あまりいい話が聞こえてこない。実際のところどうなのだろうか。AMD(ATI)のWebサイトからダウンロードしたCatalyst 8.3と、4枚のRadeon HD 3870、そして、2枚のRadeon HD 3870 X2、そして、AMDが提唱するSpiderプラットフォームブランドの中核をなす「AMD 790FXチップセット」搭載マザーという、AMDが考える「理想的な」構成で、その挙動とパフォーマンスを調べてみた。

kn_4gpu_32.jpgkn_4gpu_33.jpg Catalyst 8.3では、シングルGPUのグラフィックスカードを差していくと、このように連結するGPUの数を指定するリストボックスが現れる。デュアルGPUのRadeon HD 3870 X2を差したときはこのリストボックスは有効にならない

 4枚のグラフィックスカードを組み込もうとした場合、PCI Express x16のスロットが必要になる。できれば4本とも16レーン使えるといいが、現在では、AMDの最上位モデルのAMD 790FXでも8レーン×4という構成にとどまる。4本のスロットを持っているマザーも少ないながら存在するが、Radeon HD 3850などのワンスロット厚タイプを4枚組み込むならば、まだ選択の幅があるかもしれないが、Radeon HD 3870を4枚差そうとすると、かなり絞られてしまうだろう。その数少ない1枚が、今回評価作業で用いたMSIの「K9A2 Platinum」だ。

 マルチGPUの構成となると、組み合わせる電源ユニットも問題になる。Radeon HD 3000シリーズは省電力化が進んだおかげで、ハイエンドGPUを4つ駆動する環境においても、従来のRadeon HD 2900シリーズのように、外部電源が「8ピン+6ピン」だったりGeForce 8800 GTXなどのように「6ピン+6ピン」だったりではなく、Radeon HD 3870では6ピンが1つ、Radeon HD 3870 X2でも6ピン+6ピンでまかなえる。以前紹介した「3-way NVIDIA SLI」の評価作業では、「(6ピン+6ピン)×3=6本の6ピン対応電源ケーブル」の確保に苦労したが、今回は、4枚のRadeon HD 3870にしても2枚のRadeon HD X2にしても、必要になる外部電源は4本の6ピンケーブルで済む。とはいえ、ピーク時でどれだけの電力を必要とするか分からないところもあるため、容量に余裕を持たせるのに超したことはない。そこで、今回の評価作業では、TOPOWERの1100ワット級モデル「TOP-1100W-P10」を使った。

ベンチマークテストのシステム環境 採用したパーツ
CPU AMD Phenom(動作クロック2.6GHz)
マザーボード MSI「K9A2 Platinum」(AMD 790FX)
メモリ DDR2-800MHz/1Gバイト×2ch
HDD ST3160812AS (160Gバイト)
OS Windows Vista Ultimate 32ビット版

kn_4gpu_30.jpg 今回の評価作業で調達した「Radeon HD 3870」グラフィックスカード連合。理想をいえば、同一型番でそろえるべきなのだろうが、さすがに「4枚の3870」を備蓄しているベンダーはなかったため、このようなにぎやかな構成となった
kn_4gpu_04.jpg 評価用システムのマザーボードとして使用したのは、2スロット厚のグラフィックスカードを4枚差せる数少ない製品、MSIの「K9A2 Platinum」だ。AMD 790FXチップセットを搭載する「AM2対応」マザーは、「4枚差せる」拡張性以外にも、冷却効果を高めるためにループ形状を持たせたクーラーユニット「CIRCU-PIPE」などユニークなスペックを多く備える

kn_4gpu_01.jpg まずは、AMDから調達したRadeon HD 3870搭載のリファレンスカード。ほかのベンダーも基本的にこのボードレイアウトを踏襲する。コアクロック、メモリクロック、シェーダユニットクロックとすべて定格で動作する
kn_4gpu_02.jpg SAPPHIRE「HD3870 512MB GDDR4 PCI-E」。SAPPHIREではRadeon HD 3870搭載カードとしてファンレスの「Radeon HD 3870 512MB GDDR4 PCIE ULTIMATE」とクーラーユニットを変えた「Radeon HD 3870 512MB GDDR4 PCIE dual slot cooler」、ワンスロット厚のクーラーユニットを搭載する「Radeon HD 3870 TOXIC 512MB GDDR4 PCIE」も存在するが、こちらはリファレンスデザインに準じた2スロットタイプのもの。クロックは定格設定となる

kn_4gpu_03.jpg MSIの「RX3870-T2D512E/D4」はGDDR4を512Mバイト搭載するリファレンスカードに準じるレイアウトを採用する。なにかと“アグレッシブ”なMSIにしては珍しく、コアクロック、メモリクロックもともに定格設定となっている
kn_4gpu_31.jpg 今回“集結”したRadeon HD 3870カードの中で最もユニークだったのがASUSの「EAH3870 TOP/G/HTDI/512M」だ。コアクロック850MHz、メモリクロック1140MHzのオーバークロック設定が施されたモデル。静音性能を考慮したオリジナルクーラーユニットが目を引くが、ボードレイアウトもリファレンスカードと異なる部分が見られる

kn_4gpu_29.jpg 電源ユニットは台湾メーカー「TOPOWER」の1100ワットモデル「TOP-1100W-P10」を使用した。日本向けの高品位ラインアップ「Silent Black JAPAN」の最上位モデルで、日本では九十九電機が扱う。日本製105度電解コンデンサと固体コンデンサの採用により安定性を高めているのが特徴
kn_4gpu_05.jpg TOP-1100W-P10は、PCI Express 12ボルト出力のコードを4本持つ。その内訳は8ピン6ピン兼用が2つに6ピン専用が2本。すべて20アンペア供給が可能だ

kn_4gpu_06.jpg 3GPU以上を用いたCrossFireXを構築する場合、ブリッジの接続をどうすればいいのかAMDに確認したところ、このように、「隣接する」カードを「1本の」ブリッジで接続するようにするとの回答を得た。ちなみに、画像では「 ̄」「_」「 ̄」の組み合わせだが、これを「_」「 ̄」「_」としてもベンチマークテストの結果には影響しなかった

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