2007年5月にVAIOの国内販売10周年記念モデルとして登場したVAIO type T(TZ)は、1997年に発売された初代VAIOノート「PCG-505」のシリンダー型ヒンジを踏襲しつつ、新デザインのキーボードユニットを採用し、ワンセグチューナーやWebカメラを内蔵するなど、見た目にも中身にもこだわり抜いたホビーユースに最適なモバイルノートPCだ。Windows Vistaを起動せずにDVD/CDを再生できるため、ポータブルメディアプレーヤーとしても活用しやすい。
他社のモバイルノートPCがビジネス市場を視野に入れて、機能を絞り込んでいるのに対して、ソニーはVAIO type Gのようなビジネス特化型モデルを展開する一方で、VAIO type Tのような遊び心にあふれるモデルの投入も続けている。この辺りがソニーがソニーたるゆえんで、今後もぜひ継続していってほしい部分だ。
さて、最新モデルのVAIO type T VGN-TZ72Bだが、VAIO type G VGN-G2KANと同様、Intel 945GMS Expressチップセットと1.8インチHDDの採用がパフォーマンス面で足かせになっている。また、耐久テストの結果が数値として公開されていない点や、タイル状にキーが並ぶ特殊なデザインのキーボードに不満を感じるユーザーもいるだろう。
しかし、6台の中では色域が広く高精細(1366×768ドット)な11.1インチワイド液晶ディスプレイをはじめ、多彩な通信機能、静音性の高さ、バッテリー駆動時間の長さ、バッテリーオプションの豊富さ、ACアダプタの小ささなど、モバイルノートPCとして有利な点は非常に多い。道具としてだけではなく、自分らしさの演出としてモバイルノートPCを選びたい人にとって、強烈な魅力を放つ1台と言える。
なお、同社直販のVAIOオーナーメードモデルでは、カラーバリエーションや個性的な柄をあしらった「プレミアムデザイン」が選択できる。カラーやデザインにさりげなく流行を採り入れ、それがやぼったくならないのは、さすがVAIOといったところだ。
VAIO type T VGN-TZ72Bの検証結果 | ||
---|---|---|
項目 | 評価 | 説明 |
本体サイズ | ◎ | フットプリントが最も小さく、後方のバッテリー部以外がかなり薄い |
重量 | ○ | 約1.22キロで上から3番目に軽い |
ボディの頑丈さ | △ | ボディのたわみは少なくカッチリしているが、耐久テストの結果は非公開 |
光学ドライブ | ◎ | 9ミリ厚のDVD±R DL対応DVDスーパーマルチドライブ |
拡張端子 | ○ | USBポートは2基、メモリースティックPROスロット、IEEE1394を装備。PCカードスロットの代わりにExpressCard/34スロットを搭載 |
通信機能 | ◎ | 1000BASE-Tの有線LAN、IEEE802.11a/g/bの無線LAN、Bluetooth 2.0+EDR、FAXモデムを装備 |
付加機能 | ◎ | ワンセグチューナー、Webカメラを内蔵 |
セキュリティ&認証機能 | ◎ | 指紋センサ、FeliCaポート、セキュリティチップ(TPM)搭載 |
液晶ディスプレイ | ◎ | 1366×768ドット表示の11.1インチワイド液晶(光沢)を搭載。高解像度かつ広色域で、視野角も広い |
キーボード | △ | 配列は自然でたわみがなく、安定して入力できる。特殊な形状は好みが分かれるところ |
タッチパッド | ○ | 標準的なサイズで、ボタンが押しやすい |
ワンタッチボタン | ◎ | 6個のボタンを搭載(1個はプログラマブル) |
パフォーマンス | △ | Intel 945GMS Expressチップセットと1.8インチHDDの採用で控えめ |
メモリの拡張性 | ○ | スロットは1基で、2Gバイトのモジュールを標準搭載。これが最大容量となる |
発熱の少なさ | △ | キーボードの左上が温かくなる |
静音性 | ◎ | 6台の中では2番目に静かだった |
バッテリー駆動時間 | ◎ | 6台の中では2番目に長い |
バッテリーオプション | ◎ | 公称約5.5時間の軽量バッテリー、公称約16.5時間動作の大容量バッテリーを用意 |
ACアダプタの携帯性 | ◎ | VAIO type G VGN-G2KANと同様、6台の中では最もコンパクト |
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2007年6月に登場したdynabook SS RX1シリーズは、薄さ、軽さ、長時間駆動の3点で世界一をうたう衝撃的な製品だった。今回取り上げたdynabook SS RX1/T7Eについても、画面サイズが12.1インチワイド(1280×800ドット表示)と大型にもかかわらず、6台の中で最薄かつ最軽量の地位を獲得している。
大型で配列にクセがない防滴キーボードや、2.5インチHDD、3基のUSBポート、IEEE802.11n(ドラフト2.0)a/g/bの無線LAN機能を備えるなど、単にスリムなだけでなく、使い勝手への配慮が見られるのも見事だ。6台の中で唯一、半透過型の液晶ディスプレイを採用している点は、屋外での利用が多いユーザーにとってアドバンテージになるだろう(屋内での視認性はイマイチだが)。
しかし、実際に使ってみると薄型化と軽量化のトレードオフも見られる。ボディ全体とキーボードユニットのたわみや、利用時の発熱、液晶ディスプレイのバックライト点灯時におけるバッテリー駆動時間の短さ、DVD±R DLの書き込みに対応しない7.5ミリ厚DVDスーパーマルチドライブといった部分だ。チップセットもIntel 945GMS Expressにとどまっている。
製品選びの段階では、こうしたデメリットも考慮する必要があるが、画面サイズ、キーボードの広さ、薄型軽量といったポイントを重視する人にとっては、dynabook SS RX1/T7Eが最有力候補になるはずだ。
なお、3月17日には世界初の128GバイトSSDを採用した最上位モデルと、KDDIのCDMA 1X WIN通信モジュールを内蔵したモデルも発表された。特に後者は、屋外でヘビーに使うことを想定したdynabook SS RX1シリーズにふさわしい装備だ。dynabook SS RX1/T7Eを購入する前に、合わせて検討してみるといいだろう。
dynabook SS RX1/T7Eの検証結果 | ||
---|---|---|
項目 | 評価 | 説明 |
本体サイズ | ◎ | 画面サイズが大きいため、フットプリントは大きいが、6モデルの中では最も薄い |
重量 | ◎ | 約1.059キロと最軽量 |
ボディの頑丈さ | ○ | 加圧試験100kgfをクリア。防滴キーボードを採用。ボディのたわみは大きい |
光学ドライブ | △ | 7ミリ厚のDVDスーパーマルチドライブ(DVD±R DLは読み込みのみ) |
拡張端子 | ◎ | USBポートは3基、IEEE1394を装備 |
通信機能 | ○ | 1000BASE-Tの有線LAN、IEEE802.11n(ドラフト2.0)a/g/bの無線LAN機能を装備 |
付加機能 | − | 特になし |
セキュリティ&認証機能 | ○ | 指紋センサ、セキュリティチップ(TPM)搭載 |
液晶ディスプレイ | ○ | 1280×800ドット表示の12.1インチワイド液晶(非光沢)を搭載。半透過型で屋外の視認性は非常に高い |
キーボード | ○ | 主要キーのキーピッチが最も広く、ミスタイプは少ない。全体的なたわみが使い心地を損ねている |
タッチパッド | △ | サイズは大きめだが、位置がボディ中央にあるため、キーボード操作時に誤って触れてしまいがち |
ワンタッチボタン | ○ | 2個のボタンを搭載(いずれもプログラマブル) |
パフォーマンス | △ | Intel 945GMS Expressチップセットの採用がネック。HDDは2.5インチタイプを装備 |
メモリの拡張性 | ○ | スロットは1基で、1Gバイトのモジュールを標準搭載。2Gバイトまで拡張可能 |
発熱の少なさ | △ | パームレスト左側がかなり熱くなる |
静音性 | △ | アイドル時でもファンがよく回る |
バッテリー駆動時間 | △ | 同条件でのテストでは最も駆動時間が短かった |
バッテリーオプション | − | 特になし |
ACアダプタの携帯性 | ○ | 6台の中では標準的なサイズ。ケーブルが長いため、総重量は重いほうだ |
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