止まらない!NVIDIAラッシュ──今度は単体GPUのハイエンド「GeForce 9800 GTX」をぶん回せイマドキのイタモノ(1/2 ページ)

» 2008年04月02日 04時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

8800 GTXの正統後継というよりG92のOC版

GPU-Z 0.1.7で表示したGeForce 9800 GTXの仕様。一部表示できていない項目もあるが、コアクロック、メモリクロック、シェーダクロックなどはリファレンスデザインの値が表示されている

 NVIDIAは、4月1日に、単体ベースのGPUとしては最上位モデルとなる「GeForce 9800 GTX」を発表した。65ナノプロセスルールを採用したG92世代のGPUで、構成トランジスタ数は7億5400万個と、その素性はすでに登場しているGeForce 8800 GTやGeForce 8800 GTS 512Mとほぼ共通する。

 基本的な構成は、G80世代のGeForce 8800 GTXを拡張しており、統合型シェーダユニットを搭載したDirectX 10、SM 4.0対応モデルとなる。AMD(ATI Technologies)が先行しているDirectX 10.1への対応は、今回も見送られた。AMDからは、DirectX 10.1で実装された視覚効果を体験できるデモプログラムの配布が始まっているが、市販ゲームタイトルでサポートされていない状況を考えると(2〜3年先を考えなければだが)現時点において、DirectX 10.1へ対応していないことはそれほど不利でない。

 NVIDIAが製品資料で示している、「リファレンスデザインのグラフィックスカードにおける仕様」(最近のNVIDIAは“定格”という言葉を使わない)に示されている主要スペックは、コアクロック675MHz、メモリクロック1100MHz(DDRのデータ転送レートで2.2GHz)、シェーダユニットクロック1688MHzとされている。実装する統合型シェーダユニットの数は128個と、こちらはGeForce 8800 GTS 512Mと同じだ。主要スペックを比べてみると、パフォーマンスに影響する部分はGeForce 8800 GTSのオーバークロック版とみなすことができる。

GeForce 9800 GTX(G92) GeForce 8800 GTS(G92) GeForce 8800 GT(G92) GeForce 8800 GTX(G80)
コアクロック 675MHz 650MHz 600MHz 575MHz
メモリクロック 1100MHz 970MHz 800MHz 900MHz
メモリバス幅 256ビット 256ビット 256ビット 384ビット
シェーダユニット 128 128 112 128
グラフィックスメモリ 512Mバイト 512Mバイト 512Mバイト 768Mバイト
PureVideo 第2世代 第2世代 第2世代 第1世代
プロセスルール 65ナノメートル 65ナノメートル 65ナノメートル 80ナノメートル

 型番的にはGeForce 8800 GTXの後継と思いたいところだが、例えばメモリバス幅はGeForce 8800 GTXの384ビットから256ビットと少なくなっているし、リファレンスカードのグラフィックスメモリ容量も同様に768Mバイトから512Mバイトと減っている。PCパーツベンダーの独自仕様で1Gバイトクラスのグラフィックスメモリ搭載モデルが出現する可能性はあるが、リファレンスカードの512Mバイトでは、GeForce 9800 GTXが想定しているX-HDゲーミング環境で求められる2560×1600ドットという超高解像度で急激にパフォーマンスが低下する例がこれまでも確認されている。

 PureVideo HDに関しては、G92世代で採用されてた最新世代のエンジンを実装する。これは、GeForce 9600 GTのレビュー記事でも紹介したように、ForceWare 174.xxを適用することで「Dynamic Contrast Enhancement」という新しい機能が使えるもので、コントラストの強調や、色の発色を鮮やかにし、人肌の表現が自然になるように色味を調整してくれる。

メモリ周りのスペックを高クロックでカバーできるか

 繰り返しになるが、スペック的には単体GPUモデルとしては依然として最高峰にあるGeForce 8800 GTXの後継というより、G92世代のGeForce 8800 GTS 512Mのオーバークロックバージョンという性格を見せているGeForce 9800 GTXだが、メモリバス幅やメモリ容量がGeForce 8800 GTXを下回る代わりに、コアクロック、メモリクロックはGeForce 8800 GTXをはるかに上回る。プロセスルールの微細化で可能になった高クロック設定が、メモリ周りのスペックをカバーして、GeForce 8800 GTXのベンチマークテスト結果にどれだけ迫り、または上回ることができるのかが、新ハイエンドGPUの評価に大きく影響するだろう。

 今回のベンチマークテストでは、GeForce 9800 GTXの比較対象として、GeForce 8800 GTX、G92世代のGeForce 8800 GTS 512M、そして、AMD(ATI Technologies)のハイエンドGPUとして、Radeon HD 3870を用意した。ハイエンドGPUラインアップとしては、GeForce 9800 GX2やRadeon HD 3870 X2も存在するが、今回は単体GPUでまずは比較している。

 評価システムは、一連のレビューにおけるベンチマークテストの結果と整合するように、Core 2 Extreme QX6700とnForce 680i SLIを基幹とする構成を用いた。グラフィックスドライバは、GeForce 9800 GTXに評価用としてNVIDIAが配布したForceWare 174.53を適用したが、GeForce 8800 GTXではこのバージョンが認識されなかったため、Webで公開されている最新のForceWare 169.25を使用した。また、GeForce 8800 GTSのベンチマークテストの結果は、以前掲載したレビューで測定したデータを、Radeon HD 3870については、こちらのレビュー記事で測定した値をそれぞれ流用している。

GeForce 9800 GTX搭載グラフィックスカードのリファレンスデザイン。フードの形状は曲線を多用するなど、なにか「ぬるん」とした感じが、この手のパーツとしては珍しい
裏側から見ると、GPUを中心にグラフィックスメモリが配置された基板レイアウトがうかがい知れる。NVIDIA SLI用のブリッジチップコネクタが2本用意されており、3-way NVIDIA SLIに対応する
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