それでは、CE1200Jのパフォーマンスはどうだろう。テストに使用したCE1200Jは、メインメモリが標準容量の512Mバイトのままだったが、Windows XPの起動はおおむね50秒程度だった。Webブラウザやベンチマークテストの都合でOffice XPをインストールしてみたところ、こちらの起動や動作も特にストレスを感じるようなことはなく、十分実用的な処理速度だ。
既に触れたが、GIGABYTEのM704やWibrainのB1といったUMPCと同じプラットホームになっているのは偶然ではなく、Windows XPを利用するうえで必要十分なパフォーマンスが得られるからでもあるのだろう。1.8インチHDDの読み書き速度もベンチマークテストで見ると決して高速ではないが、実際の利用では、大きく足を引っ張っているという印象は受けなかった。
携帯メディアプレーヤーとしての実用性も十分だ。さすがにHD映像の再生は無理があるものの、SD映像であれば高ビットレートのMPEG-2はもちろん、平均ビットレートが1.5Mbps程度と結構高めに設定されたDivXやWMVの再生もほぼ問題ない。YouTubeやニコニコ動画などのFLVでは、CPUの使用率が100%に達することも多かったが、動画として破綻することなく再生が可能だった。
バッテリーの動作時間もまずまずだ。液晶ディスプレイのバックライトをちょうど中間の明るさに設定し、満充電の状態からバッテリー残量が5%になるまでを計測したが、HDD上のWMVファイルで約137分、YouTubeの再生で約116分(無線LAN経由)と、おおむね2時間前後の動画再生が可能だった。
CE1200Jのバックライトはかなり明るく、屋内であればバックライト輝度を中間以下に設定しても十分なので、さらにバッテリー動作時間を延ばすこともできそうだ。ちなみに、輝度や音量の調整はFnキーとF8〜11キーの併用で行えるが、オンスクリーン表示がないため、状態が分からない点は気になった。
CloudBook CE1200Jは、UMPCとしては大きめだが、それだけにユーザーインタフェースへのしわ寄せが小さく、あくまで小型のノートPCとして扱いやすいのがポイントだ。30GバイトHDDを搭載しており、USB 2.0ポートやメモリカードスロットもしっかり備えるなど、セカンドPCとしても、ほぼ追加投資なしで使える仕様にまとまっている。ストレージ容量に余裕があるのは、ライバルのEee PCと比べて特に有利な部分だ。
ほぼ同時期に国内投入されたGIGABYTEのM704や、WibrainのB1などと見比べると、尖がった製品ではないが、スタンダードなノートPCのスタイルを踏襲している点に、魅力に感じる人も多いのではないだろうか。
ただし、液晶ディスプレイの縦方向の解像度が480ドットしかないのは、不便を強いられることが多い。多少価格が上がっても構わないので、1024×600ドット表示の液晶ディスプレイを備えた上位モデルもラインアップしてほしかったと思ってしまう。
また、日本語キーボードが少々扱いにくいので、これならば、英語キーボードのままで販売してくれればいいのに、と思う人もいるのではないだろうか。価格やサイズ的には結構幅広い層に受け入れられそうなだけに、この点は非常にもったいない。Eee PCがローカライズをしっかりしているだけに「低価格だから」という言い訳はもはや通らない気がする。マイナーチェンジなどの際には、ぜひキーボードの改善をお願いしたい。
少々厳しいことを書いてしまったが、それでも5万9800円というプライスはうれしい。この価格であれば、それほど頻度の高くないモバイル利用や、屋内でゴロゴロしながら使うセカンド/サードPC用として購入するのも悪くない。特に後者のような使い方だと、タッチパネル機能の存在は大きい。価格もサイズも手軽なPCが欲しいという人は、候補に加えるべき製品と言えるだろう。
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