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» 2008年05月01日 11時45分 UPDATE

Adobe RGB比123%の広色域:“超Adobe RGB”液晶ディスプレイは“超高画質”なのか?――「SyncMaster XL24」 (1/3)

Adobe RGB比で123%という広大な色域とハードウェアキャリブレーションによってワンランク上の表示環境を提供する「SyncMaster XL24」の実力に迫る。

[林利明(リアクション),ITmedia]

第2世代へと進化したサムスンのカラーマネジメント液晶ディスプレイ

tm_0805xl01.jpg 「SyncMaster XL24」

 日本サムスンから、ハードウェアキャリブレーションに対応した広色域液晶ディスプレイ「SyncMaster XL」シリーズの新モデルが登場した。2007年に初めて発売された際は、製品ラインアップが20.1インチスクエアUXGA(1600×1200ドット)の「SyncMaster XL20」のみだったが、2008年春に登場した第2世代の製品群では、20.1インチスクエアUXGA(1600×1200ドット)の「SyncMaster XL20 Plus」、24.1インチワイドWUXGA(1920×1200ドット)の「SyncMaster XL24」、30インチワイドWQXGA(2560×1600ドット)の「SyncMaster XL30」という3モデルが用意された。

 今回はXL24の試作機に触れる機会を得たので、その実力をチェックしてみた。なお、今回入手したXL24は試作機ということもあり、細かい機能や画質などが製品版とは一部異なる可能性があることをあらかじめお断りしておく。

tm_0805xl02.jpg Adobe RGB比123%の広色域に対応し、より鮮やかな赤や緑を表現できるようになった。LEDバックライトは水銀やハロゲンなどの有害物質を使用しない点も利点だ

 SyncMaster XLシリーズの大きな特徴は2つある。1つめは、同社が“超Adobe RGB”と語る非常に広い色域の表示に対応していることだ。液晶パネルにVA系のS-PVAパネル(液晶セル構造をPVA方式の4ドメインから8ドメインに微細化し、視野角による色度変化を低減)を採用し、バックライト光源にRGB LED方式を組み合わせることで、Adobe RGB比の色域はXL20 Plusで119%、XL24とXL30で123%を実現している。

 Adobe RGB比で示されるパーセンテージは、Adobe RGB色域との体積比であり、実際はAdobe RGB色域とのわずかなズレも存在するが、現状の液晶ディスプレイ製品としては非常に広い色域を確保していることは事実だ。SyncMaster XLシリーズであれば、Adobe RGBの画像ファイルが持つ本来の発色をほぼ完全に再現できるほか、Adobe RGBを超える一部の色も表現可能だ。

 SyncMaster XLシリーズの第1世代であるXL20と、第2世代となる3モデルのおもな違いは、液晶パネルが新しくなったことだ。XL20は色域がAdobe RGB比114%だったが、新しい3モデルは上記のように一層の広色域をサポートし、画面サイズもより大型のワイドタイプが選べるようになった。また、カラーフィルターの改善で表示ムラも減ったという。

tm_0805xl03.jpg XL24にはi1 Display 2タイプのキャリブレーターが付属する

 2つめの特徴は、ハードウェアキャリブレーションに標準で対応していることだ。ハードウェアキャリブレーションとは、画面の発色をキャリブレーター(測色器)で測定し、その結果を液晶ディスプレイ内部の専用回路とPC側のOSが用いるICCプロファイルに反映させることで、目的に応じた正確な発色環境を得る仕組みをいう。

 ディスプレイのキャリブレーションには、ソフトウェア処理とハードウェア処理の2種類があり、ユーザーの手間や調整精度は大きく違ってくる。ソフトウェア処理は、グラフィックスカード側のドライバやキャリブレーション用ソフト側でRGBの出力レベルを調整する仕組みだが、ディスプレイのバックライト輝度や色度の調整ができず、中間階調の再現性が低下してしまう。ハードウェア処理では、ハードウェアのキャリブレーターでディスプレイの色を測定して調整するため、バックライト輝度や色度を調整でき、ディスプレイ内部の階調再現性を損なうこともない。

 特にハードウェアキャリブレーションは、色にこだわるプロやハイアマチュアのクリエイティブ用途で威力を発揮する機能だ。つまり、SyncMaster XLシリーズは、カラーマネジメント環境を前提とするデザイナーなどのプロの現場や、デジタル写真のハイアマチュアといったユーザー向けの液晶ディスプレイといえる。

 さらに、SyncMaster XLシリーズには、キャリブレーター(i1 Display 2タイプ)と専用キャリブレーションソフト、そして遮光フードが同梱される。これらを別途購入すると、そこそこ使える液晶ディスプレイがもう1台買えてしまう値段になってしまうので、追加投資が不要なのは大きな魅力に違いない。

主力となる24.1インチワイドモデルのSyncMaster XL24

 では、新しいSyncMaster XLシリーズの主力モデルとなるXL24の概要をまとめていこう。基本スペックは、輝度が250カンデラ/平方メートル、コントラスト比が1000:1、視野角が上下/左右とも178度、応答速度が中間階調で6ms(オーバードライブ回路搭載)となっている。液晶パネルの表面は、外光反射を押さえるノングレア処理だ。カラーマネジメント対応の液晶ディスプレイとして、基本スペックに不満はない。

 映像入力のインタフェースはDVI-DとDVI-Iの2系統だが、どちらも著作権保護技術のHDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)には対応していない。もっとも、XL24は広色域の静止画を扱う用途を想定した製品なので、実際の利用シーンで困ることは少ないと思われる。また、アップストリーム×1とダウンストリーム×4のUSB 2.0ハブ機能も内蔵している。

tm_0805xl04.jpgtm_0805xl05.jpg 液晶ディスプレイ部背面の下側に映像入力端子と電源端子を配置している(写真=左)。4つのUSB 2.0ダウンストリームポートはすべて左側面にあるので、アクセスしやすい(写真=右)

 本体サイズは563(幅)×250(奥行き)×462(高さ)ミリで、スタンドは上25度、下3度のチルト、左右175度のスイベル、100ミリの高さ調節が可能だ。チルト、スイベル、高さ調節ともスムーズに可動し、スタンド自体の安定性も高い。VESAのアームマウント規格にも対応するため、スタンドを取り外して市販のアーム類を装着することもできる。なお、XL24は画面を縦回転させる機能は持たず、SyncMaster XLシリーズの新モデルではXL20 Plusのみ縦画面表示機能を搭載している。

tm_0805xl06.jpgtm_0805xl07.jpg チルト、スイベル、高さ調整に対応したスタンドを備えている(写真=左)。背面はシンプルなデザインだ(写真=右)。200×100ミリのVESAアームマウント規格に対応している

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