EFIでは「EFI Shell」と呼ばれるDOSのような操作モードも用意され、接続されているデバイスの一覧などを表示できる。また、「dir」や「type」などのコマンドも備えており、ストレージデバイスにあるファイルにアクセスできる。ただし、EFI Shellで認識できるファイルフォーマットはFAT形式に限られてしまう。今回の評価作業では、Windows 2000がインストールされたFAT32の4Gバイトパーティションを使用したが、日本語のファイル名も正しく表示され、typeコマンドもコマンドプロンプトと同様の挙動をした。また、USBメモリ(FAT16、512Mバイト)もそのまま認識してこちらもファイルの内容を表示できている。
ただ、EFI Shellを使ってシステムに組み込まれたデバイスのチェックができるのは役に立つとして、やはり、FATに限られるストレージへのアクセス機能は、その利用場面が想定しにくい。NTFSなど新しいファイルフォーマットへ対応した上で、緊急避難的なファイル操作ができれば、ユーザーに対するアピールもしやすくなるのではないだろうか。
EFIを実装したマザーとして登場したP35 Neo3-EFINITYだが、ユーザーの間では「値ごろ感のあるIntel P35 Expressマザー」として人気がある。そのIntel P35 Expressとセットになるサウスブリッジは「ICH9」で、Parallel ATAとRAIDの制御にはJMicronのJMB363を利用する。拡張スロットは、ベースとなったNeo3-Fと同じく、PCI Express×2(x1とx16が各1本)、PCI×4という構成だ。ネットワークコントローラはRealtekのRTL8111Bを搭載しており、ギガビットLANに対応する。
発熱の多いノースブリッジとCPUの電源回路には、ヒートパイプを使用した大型のヒートシンクを装備している。P35 Neo3-Fではノースブリッジのヒートシンクのみだったため、P35 Neo3-EFINITYでは強化されたことになる。ただし、ハイエンドマザーのようにCPUソケットをヒートパイプがぐるりと囲んでしまうほどではなく、サーキュパイプも搭載していないため、外観はゴテゴテとしていないあっさりしたレイアウトになっている。
メモリは、DDR2の1066/800/667MHzに対応する。4本のメモリスロットを持ち、最大で4Gバイト搭載可能だ。
普通に使っている限りにおいて、BIOS設定は常に必要となるものではない。EFIでも行える設定項目はBIOSとさほど違わず、マウスが使えるようになったUIもその恩恵をうけるには利用できる操作が少ない。ゲームがOSなしで動くというのは、デモンストレーションとしては有効かもしれないが、エンドユーザーにはあまり関係ない機能だ。ただ、OSなしでバックアップとリカバリができる機能やシステムのデバイスを認識して表示する機能、そして、データストレージにアクセスできる機能といったあたりに、EFIの将来性を感じることができるかもしれない。
P35 Neo3 EFINITY自体は、実売価格が1万5000円程度と、Intel P35 Expressマザーとしてはかなり安価で購入できる。MSIの製品だけあってオーバークロックの設定も高い自由度を持っている。十分お買い得なモデルといえるだろう。PCIの拡張カードを多数利用するようなユーザーにもお勧めしたい。
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