レビュー
» 2008年05月27日 11時45分 UPDATE

ただのテラバイト級NASではない:ソニーが満を持して投入したホームサーバ――Liblog Station「HS1」の実力(前編) (1/3)

Liblog Station「HS1」は、VAIOブランドから登場したソニーのホームサーバ。単なるDLNA対応NASではなく、VAIOらしい味付けをしているのが魅力だ。

[都築航一,ITmedia]

円形VAIOの第3弾は大容量ホームサーバ

tm_0805hs1_01.jpg Liblog Station「HS1」。接続の対象機種は、Windows XP(SP2)/Vista搭載PC、DLNAガイドライン(DLNA HNv1準拠)対応製品となっている

 家庭内LAN環境とDLNA対応機器の普及につれ、ホームサーバ市場が徐々に盛り上がりを見せつつある中、これまで家庭内サーバの役割をPCに担わせる製品展開にこだわってきたソニーからも、ついに単体のホームサーバが発売された。それが5月17日に発売されたLiblog Station(ライブログ ステーション)「HS1」だ。

 HS1は、VAIOをはじめとするPCに保存したデジタルコンテンツの利用範囲を拡大すべく、2007年に立ち上げられた「Extension Line by VAIO」に連なる製品で、同ブランドではこれまでに円形のリビングPC「TP1」シリーズや、ネットワーク接続型デジタルTVチューナー「DT1」、無線LAN対応のオーディオプレーヤー「WA1」などが投入されてきた。そこへ今回、ネットワーク対応ストレージが加わった形だ。

 ラインアップは2モデルからなる。店頭では容量1TバイトのHDDを搭載した「VGF-HS1」(実売6万円前後)が販売中だが、直販サイトには1.5Tバイトとより大容量の「VGF-HS1S」(直販価格7万9800円)も用意。どちらも2台の3.5インチHDD(1ボリュームとして扱えるように設定済み)を内蔵したDLNA対応のNASである。

 とはいえ、1Tバイト級のNASといえば、RAID5対応の製品や手のひらサイズの小型モデルなど、先行製品がひしめきあい、量販店で実売4万円を切る低価格機も存在する激戦区だ。今回は、そこへあえて投入されたHS1(1Tバイトモデル)の、後発ならではの魅力についてチェックしてみたい。

 なお、Extension Line by VAIOとしては、デジタルフォトフレームのCanvas Online「CP1」(直販価格2万9800円)も同時に追加されているが、CP1の詳細についてはこちらのレビュー記事を参照していただくとして、本記事ではHS1との組み合わせによって実現できることを簡単に触れておくにとどめる。

NASとしては設置や設定が非常に簡単

 HS1は、製品を選択してから購入して使い始めるまでの導入部分に、まずは2つの大きな特徴がある。

 1つめは、これまでのNASとは一線を画す本体のデザインだ。直径270ミリの円形ボディは、HDDを2台搭載するタイプのNASにしてはやや大きめにも感じられるが、これはテレビサイドPC「TP1」シリーズやデジタルTVチューナー「DT1」とボディのデザインを統一した結果で、これらのユーザーであれば本体をきれいに重ねて設置することもできる。

 とはいえ、HS1単体としてみても、白を基調としたシンプルで落ち着きのある外見のため、サイズの割に存在感を主張しすぎることがなく、リビングにも設置しやすいだろう。後述するHS1の利用シーンをあわせて考えると、リビングに設置する際の抵抗感が少ないデザインであることは、NASが家庭に浸透するかどうかを決定づける重要なポイントといえるかもしれない。

tm_0805hs1_02.jpgtm_0805hs1_03.jpg 円の縁に沿うように電源ボタンや各種インジケータが配置されており、デザインのアクセントになっている(写真=左)。前面のカバーを開くと、状況表示用の有機ELディスプレイのほか、データを直接取り込むための各種メモリカードスロット、コピーボタン、1基のUSBポートなどが現れる(写真=右)

 リビングに持ち込むとなると動作音が気になるところだが、背面に2つ用意された冷却ファンの音は比較的小さく、特にHDD搭載のレコーダーが動作中の部屋では、ほとんど気にならないレベルだろう。ただ、省電力機能を搭載しているとはいえ、基本的には連続動作させる性質の製品で、排出される熱はそれなりに温かいこともあり、設置場所にはある程度の気配りが必要になる。

tm_0805hs1_04.jpgtm_0805hs1_05.jpg 背面にはマグネット式のカバーが装着され、後ろから見ても円形のデザインが維持されている(写真=左)。カバーの下には、2基のUSBポート、有線LAN、ACアダプタ接続用のDC入力などを配置している(写真=右)

 2つめの特徴は、設置する場所さえ確保できれば、設置の作業そのものは拍子抜けするほど簡単なことだ。ACアダプタとイーサネットケーブルを本体に接続し、電源をオンにすれば、HS1側で必要な作業は完了。あとはクライアントPCに、付属CD-ROMから専用ユーティリティソフトをインストールするだけだ(単にNASとして同一ネットワーク内で利用するだけなら、ユーティリティのインストールも必要ない)。仮にHS1のファームアップが必要になった場合も、HS1が自動でアップデート作業を行なう仕組みだ。

 しかも、HS1は家の外などの外部ネットワークからもファイルのやりとりを行なえる「ホームアクセス」機能を備えている(後編で紹介)。この機能を利用するための設定も、細かな作業はほとんど必要ない。従来の多くのNASで、家の外からアクセスするには、グローバルIPアドレスの取得や、ルータへのポートフォワーディングの設定といった作業が必須で、グローバルIPアドレスを配布していないISPを利用している場合には、ダイナミックDNSの登録を行なう必要もあった。ネットワークの知識や経験がないユーザーにはハードルの高いものだったわけだ。

tm_0805hs1_06.jpg 電源はACアダプタで供給する仕様だ

 ところがHS1では、本体底面にあるNETSERVERスイッチをオンにした後、イーサネットケーブルをルータへ接続して電源を投入するだけで、(UPnP対応ルータであれば)自動的にルータの設定やダイナミックDNSへの登録作業が完了してしまう。今回は「Yahoo! BB 無線LANパック」の環境で試用してみたが、ISPから提供されているレンタルモデム(トリオモデム3G Plus)のPC側ポートにHS1を接続するだけでホームアクセス機能を利用できるようになった。

 ちなみに、1000BASE-T対応の有線LAN以外に、PCと接続する手段はHS1には用意されない。無線LANで接続したい場合は、市販のイーサネットコンバータを利用することになるが、ハイビジョンの動画ファイルや高画素数のデジカメ画像を扱うことを考えると、無線LAN環境によっては満足なレスポンスが得られないこともあるだろう。

 一方で、ルータがUPnPに対応していない場合など、自動設定できない環境では、自分でルータの設定を行なう必要があるが、WebブラウザでアクセスするHS1の設定ページに用意されたオンラインヘルプにしか、設定方法が記載されていない項目も多い。自動設定できない場合、自力で解決するのが困難なユーザーもいるかもしれない。

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.