インタビュー
» 2008年06月10日 22時51分 UPDATE

WWDC'08 インタビュー編:「iPhone 3Gは最良の体験をめざして進化した」――iPhone/MobileMe担当者インタビュー (4/5)

[林信行,ITmedia]

進む国際対応

――iPhone 3Gは非常に安価ですが、その秘密は何でしょう?

og_interview_008.jpg 基調講演でジョブズ氏が語った5つの課題

ボーチャーズ氏 スティーブ・ジョブズの講演でも触れていましたが、iPhone 3Gの開発にのぞんだとき、我々には5つの課題がありました。

 1つは3Gに対応させ、GPSも搭載すること。2つめは企業情報システムへの対応。3つめは他社製ネイティブアプリケーションの提供。4つめは、もっと多くの国で売ること。そして5つめは、さらに低価格で売ることでした。

 この5つめを果たすにあたり、我々は世界中の携帯キャリアと議論を重ね、我々が納得できる経済モデル、ビジネスモデルを実現していきました。低価格の実現は、そうした話し合いの結果、実現したものです。

――基調講演では手書き文字認識が中国語の入力方式として紹介されていましたが、これは日本語には使えないのでしょうか?

ボーチャーズ氏 iPhone 3Gでは2種類の日本語入力を用意しました。1つは「kana」で、もう1つは「QWERTY-J」です。ちょっと、お見せしましょう。

(注:ここでデモ……のはずが、筆者は見せてもらえなかった。その後マシンが回ってきたので実際に触ってみたのが冒頭のインプレッションだ。先にも述べたとおり、ボタンが押しやすくて使いやすかった)

――新iPhoneは何カ国語をサポートするのでしょう?

ボーチャーズ氏 いい質問ですが、ちょっと今は正確なことは覚えていません。18カ国だったと思いますが、そうした情報は公式Webページに載っているはずなので、よければ確認してみてください(注:後で確認したところ、確かに18カ国に対応している)。

ゲームプラットフォームとしての大きな可能性

林信行 iPhoneのアプリケーション開発者は、どんなアプリケーションでも開発していいのでしょうか?

ボーチャーズ氏 3月6日の発表で、いくつかのカテゴリのアプリケーションは受け付けないことを表明しました。例えば、Voice over IP(VoIP:IP電話機能)は、Wi-Fi接続を使って実現するぶんにはかまわないが、携帯電話網を使ったVoIPはダメということになっています。

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林信行 本日の基調講演の前半は、サードパーティによるiPhone用アプリケーションの紹介が続きましたが、その内容には驚かされました。

 これまでのiPhoneは、インターネット機能を備えた携帯電話という印象がありましたが、こうした豊富なアプリケーションの誕生で、ニンテンドーDSやPSPのライバルとしても頭角を現してきた印象を受けました。おそらくデモをした10社のうちの3社がゲームソフトを紹介していたことも、影響しているのでしょう。この紹介企業の選択は特別な意味があったのでしょうか。つまり、アップルとして特にゲーム分野を重視している、といった意味があるのか、ということです。

ボーチャーズ氏 特別ゲームを重視しているというわけではありません。ただ我々が多くのゲームアプリケーションを目にし、個人的にもそれらを楽しんでいるからに過ぎません。私個人としては、同じ講演で紹介された2種類のメディアカルアプリケーションにもおもしろい可能性を感じますし、最初に見たときにはこんな使い方もあるのかと驚かされました。

 iPhoneのゲームプラットフォームとしての可能性については、ぜひゲームソフトの開発者の方々に直接に聞いてみてください。我々が聞いている範囲のことをお伝えすると、彼らは、iPhoneのゲーム機としての使い勝手や性能に非常に驚かされ、好感触を持ったようです。

 例えば3月6日に行ったiPhone SDKの発表では、セガのスタッフが発表直前になって、iPhoneの性能が予想以上によく、もっときれいなグラフィックスでも処理できるという理由で、急きょセガの日本本社に当初の予定より高画質なグラフィックスを提供するように求めた、という逸話も残っています。

 さらに講演で最後に紹介したスペインのDIGITAL LEGEND ENTERTAINMENTもいい事例です。講演でも語ったように、彼らはあれだけの高いクオリティのデモを、開発開始からわずか2週間で作り上げてしまいました。

og_interview_010.jpgog_interview_011.jpgog_interview_012.jpg MODALITY(写真=左)とMMvista(写真=中央)の医療用データを表示するアプリケーション。スペインのDIGITAL LEGEND ENTERTAINMENTが開発した3Dゲーム(写真=右)

――iPhoneには近接センサが内蔵されていますが、これは何に使われているのでしょう。これもゲーム用でしょうか?

ボーチャーズ氏 近接センサは通話時に使われるものです。あなたがiPhoneを耳につけて通話をしているあいだは、画面表示は意味をなしません。そこで画面表示を消して節電をすると同時に、耳との接触で誤操作が起きないようにしているのです。つまり、タッチセンサーを無効化しているのです。

林信行 iPhoneが登場した後、GoogleもAndroidでWebKitの採用を発表しました。またNokiaも独自にWebKitを採用しています。これによって5大メーカーのうちの4社の携帯情報端末が同じ技術に基づくWebブラウザを採用したわけですが、これによってどのようなシナジー効果が期待できると考えていますか?

ボーチャーズ氏 Googleの計画については知りませんし、それについてはあまり語れることがありませんが、我々は我々自身で、iPhone上でのWebブラウジングの体験が最高のものとなるように最適化を図っています。

 ページ全体を簡単に見渡したり、ダブルタップで必要なところにズームできたり、こうした使い勝手の良さがあるからこそ、iPhoneの顧客の98%がWebブラウザの機能を使っているのではないかと思っています。

 もちろん、Webブラウザ機能がついた携帯が普及した日本では分かりませんが、米国市場においては、そんなにWebブラウジングが行われている携帯電話など、かつてありません。

 また80%の人がiPhoneの機能のうち10種類以上を使っているという調査結果も、iPhoneの使い勝手の良さを象徴するものだと思います。ほかの携帯電話では、人々は10種類の機能を呼び出そうとするだけでも四苦八苦しているのですから。

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