AMDがRadeon HD 4800シリーズで導入する“新しい”設計思想(2/2 ページ)

» 2008年06月20日 11時45分 公開
[笠原一輝,ITmedia]
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「Radeon HD 4800シリーズはRadeon 9700シリーズの再来になる」

 バーグマン氏は「我々のRV770は55ナノメートルプロセスルールで製造される。65ナノメートルで製造されるNVIDIAのGeForce GTX 200シリーズと比較してダイサイズは半分になる。それなのに、GeForce GTX 200シリーズではサポートされていないGDDR5やDirect3D 10.1に対応しているなどのアドバンテージがあるだけでなく、Radeon HD 4850の消費電力は110ワットでシングルスロットサイズのカードに収まっている。そして演算性能では彼らを超える1TFLOPSを実現する。ワット性能で1.95倍、ダイサイズあたりの性能で2.8倍になる」と、Radeon HD 4800シリーズが、NVIDIAのGeForce GTX 200シリーズをワット性能や効率などで大きく上回っていると自信を示した。

  RV770 GT200
プロセス技術 55ナノメートル 65ナノメートル
メモリ技術 GDDR5 GDDR3
アーキテクチャ Direct3D 10.1 Direct3D 10
ワット性能 1.95X 1X
ダイサイズあたりの性能 2.8X 1X

 加えて、バーグマン氏は価格に関しても言及し、Radeon HD 4850は200ドル前後の価格設定になるという。なお、Radeon HD 4870はGeForce 9800 GTX対抗と位置づけていることを明らかにしているので、こちらの価格は300ドル前後に設定される可能性が高い。また、Radeon HD 4870は2スロット厚のカードになるとのことだ。

バーグマン氏が公開したRadeon HD 4850搭載グラフィックスカードの写真。ヒートシンクは1スロット厚となっている

 バーグマン氏は開発コード名で「R700」と呼ぶ、ハイエンドモデルに関しても、今後8週間程度で出荷することを明らかにした。R700はGeForce GTX 280やGeForce 9800 GX2に対抗する製品とだけ説明されており、価格は700ドル近くと予想されている。バーグマン氏は、COMPUTEX TAIPEI 2008で「R700では2つのチップを搭載する」と説明しているので、何らかの形でRV770を2つ搭載する、Radeon HD 3870 X2のようなグラフィックスカードになるものと考えられる。バーグマン氏によれば、R700も2スロット厚のサイズになるということだ。

 この記事を執筆している時点において、RV770、R700に関してAMDが明らかにしているのは以上で、各モデルの搭載する統合型シェーダユニットの数やコアクロック、メモリクロック、パフォーマンスに関してはいまだ公開されていない。

 バーグマン氏は「Radeon HD 4850が実現する1TFLOPSという性能は、前世代のRadeon HD 3870に比べて倍の処理能力になる。われわれは2001年にリリースしたRADEON 9700 PROで起こしたような新しいゲームの変革が、このRadeon HD 4800シリーズで起こせると考えている」と、ATI TechnologiesがNVIDIAから市場シェアを奪い取るきっかけとなったGPUを例に挙げ、Radeon HD 4800シリーズがそのときと同じような“嵐”を市場に起こすことができると述べているように、Radeon HD 4800シリーズの成功を信じて疑わない。

 それが虚勢なのか、それとも本当にワット性能や効率でGeForce GTX 200シリーズを上回るものなのか、そのすべては6月25日に明らかになるだろう。

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