小尾氏は続いて、電子ペンの性能を表す指標の1つである「動特性」と「静特性」について説明した。電子ペンの追従性を示す動特性では、電子ペンを高速で回転させて、その軌跡が描く円の半径が小さくなる回転数を性能の指標として利用しているが、小尾氏はその値の基準として「人間の筋肉が運動できる最大である12Hz」を示している。
また、電子ペンを固定した状態で検知される座標の“ブレ”を示す「静特性」では、デジタイザが組み込まれた機器に実装されているパーツ(例えば液晶パネルのバックライトに使われるインバータなど)から発生するノイズが影響する。ワコムでは、クライアントからデジタイザの組み込みを依頼された機器に実際に搭載した状態で静特性の評価作業を行い、そこで測定されたブレ(これを「ジッタ」と呼ぶ)の分布を補正するプログラムを導入することで静特性をチューニングするという。
説明会では、電子ペンが検知する筆圧カーブのデータも示された。ワコム製の電子ペンはなめらかなカーブを描き、30グラムの筆圧から検知して500グラムで最大筆圧となるのに対して、競合する製品では、カーブが段を描くほか、筆圧検知が60グラムから可能になって1キロで最大筆圧になるなど、細かい筆圧の変化を捉えられないという。この違いができる原因として小尾氏は電子ペンに搭載するバリアブルコンデンサの品質が大きく影響していると説明する。
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