どうにか3D酔いから回復したところで、次はいよいよ本命となる“次世代ゲーム機”のハイビジョン映像を表示させてみよう。
HD2452Wには、HDMI端子が2系統ついている。つまりHDMI出力が可能なXbox 360やPS3をHDMIでつなげば、最大1080pのフルHD映像をドットバイドットで表示してゲームがプレイできるのだ。これこそが、HD2452W本来の実力にふさわしいゲーム環境といえる。今回はHDMIを標準搭載した新型のXbox 360を接続し、ソフトは対戦格闘ゲームの超メジャータイトル「バーチャファイター5 Live Arina」(セガ)を選択した。
バーチャファイターは、1993年にアーケード版が登場した3D格闘ゲームの元祖だ。紙細工のようなポリゴンのキャラクターが、まるで生きているかのように滑らかに動く様子は、当時多くのユーザーに大きな衝撃を与えた。また、簡単な操作で派手な大技が繰り出せるのも、複雑化する格闘ゲームのコマンド入力に一石を投じたと記憶している(今のアキラなんかはコマンドが複雑だけど)。
バーチャファイターはその後、バージョンアップを重ねる度に新しいゲームシステムとグラフィックスエンジンを搭載し続け、2006年にアーケート版でデビューした最新のバーチャファイター5シリーズはPS3、Xbox 360でも展開されている。Xbox 360版のLive Arinaは自宅にいながらオンライン対戦ができるのもポイントだ。
同タイトルはゲームセンターで何度かやってるし、「バーチャファイター3」がはやったころには、人との対戦もよくやった。当時、多くのプレイヤーが集まる聖地とまでいわれた新宿の「ゲームスポット21」や、秋葉原の「クラブセガ秋葉原」でもプレイしたけど、あの辺はプレイヤーのレベルがめちゃめちゃ高かったので、勝率を上げるために渋谷とか神保町とかで乱入して、どうにか勝率2割前後をキープして……。
「あれ、結局2割に届いたんだっけ届かなかったんだっけ?」(ゲイムマン)
「いいから、とっととプレイしてください(勝率2割か……)」(編集T)
おっと、思い出に浸っている場合じゃなかった。ゲームを起動すると、HD2452Wの画面に出てきたグラフィックスは、まさにゲーセンで見た「バーチャファイター5」のクオリティだ。これまではSD画質のゲームを表示していたので分からなかったが、フルHDのドットバイドット表示はダテではない。こんなに細かいところまでグラフィックスが作られていたのかと素直に感心してしまう。
おまけに、HD2452Wはゲーム用の画質モードがあり、リモコンの「カラーモード」ボタンで手軽に「ゲーム」モードを選択できる。ゲームモードでは、暗いシーンでつぶれがちな影の部分が見えやすくなるので、明暗差の激しいシーンで役立ちそうだ。また、メリハリのきいたシャープな映像になるので、ゲーム全般に向いているんじゃないだろうか。
こうして画質をゲームモードに設定して、まずはゲーセンではなかなかじっくり見られない、オープニングデモとか、勝負が決したときのリプレイ画面を間近でじっくり眺めてみた。HD2452Wの映像美は申し分なく、特に対戦前に出てくるバトルフィールドの画面は秀逸。滝を流れ落ちる水しぶきの清らかさまで感じられるし、お寺の中で木の床が黒光りするのを見ると、ここまで磨き上げたお坊さんの修行の大変さ(実際はCGだけど)すら想像できるほどの質感が出ている。
さらに、戦っているところに桜が舞い散る演出は、ゲーム機の性能の進化を如実に感じさせるし、それを最大限まで表現できるHD2452Wはまさにベストマッチング。まるで、ファミコンからPCエンジンに移植されたときの「桃太郎伝説」の進化っぷりを見ているみたいだ。
「あれも“花咲かの村”で桜が咲いたとき、フィールド上に花びらがはらはらと舞ったんだよなあ」(ゲイムマン)
「なぜ最新ゲームの性能を、わざわざ古いゲームに例えるんですかっ」(編集T)
「……」(ゲイムマン)
閑話休題。いざプレイ。キャラクターはバーチャファイター1から使い慣れてる女性のマーシャルアーツ使い「サラ・ブライアント」を選択。ゲーム中もやっぱりフィールドの景色に見とれる。とりわけ、雄大な滝の眺めは、何回見ても飽きない。本当に何回も何回も繰り返し見ているうちに……。何かがおかしい。
「えー、ベネッサがどうしても倒せません」(ゲイムマン)
「知りません」(編集T)
気づいたら女性のバーリトゥードファイター「ベネッサ・ルイス」に負け続けていて、10回以上もコンティニューしていたのだ。そりゃあ、滝の景色を何回も見てるはずだ。そもそもゲーセンのレバーと違ってパッド型のコントローラーでプレイしているので、ボタンや方向キーの感覚が違って、技がなかなか思うとおりに出てくれない。慣れの問題だろうが、連続技に組み込みたい破壊力抜群のサマーソルトキックがなかなか出てくれないのが痛い。
行き詰まっているときに、ふと、HD2452Wに「スルーモード」というものがあることを思い出した。通常の液晶ディスプレイや液晶TVは、内部でさまざまな映像処理を行なうため、映像入力から表示までにわずかなタイムラグが発生し、それがゲームプレイ時の違和感になることがある。「さっき、直前で敵をよけたはずなのに、画面上のキャラは避けるのが遅くて当たってしまった」なんてシーンはよくあるが、これはこうしたタイムラグが原因の場合もあるのだ(もちろん、勘違いということもある)。
さて、スルーモードでは、さまざまな映像処理をスキップすることにより、このタイムラグを最大約2フレーム(約2/60秒)縮めることができる。これにより、表示の遅延を約1フレーム(約1/60秒)まで短縮することが可能だ。
たかが2/60秒とあなどるなかれ。相手の攻撃に対する高速な反応が求められる対戦格闘ゲームにおいて、この違いは大きい。特に1フレーム単位での攻防が繰り広げられることで有名なバーチャファイター5では、コンマ1秒の操作ミスが勝敗を分ける。調子が悪いのは、ひょっとしてスルーモードを使っていなかったからなのか? 試しに、リモコンの「スルー」と書かれたボタンを押して、スルーモードをオンにしてみた。
すると、おお、思うようなタイミングでサマーソルトキックやらフラミンゴ(片足立ちの構え)からの連携技が出るぞ。コマンド技が出るかどうかは、タイムラグとあんまり関係ないから、操作に慣れただけのような気がするけど、なんだか返し技や相手の技に対する反応も安定してきた。おまけに、スルーモードにしても画質がほとんど低下しないので、違和感なく遊べるのがいい。
一般的なゲーマーにとっては効果のほどを確認しにくいスルーモードだが、「この技をガードしたら、何フレーム後に反撃できる」といったゲームシステムを熟知している上級者であれば、より効果が体感できると思う。また、音楽に合わせて正確な入力が求められる、いわゆる音ゲーでもスルーモードは威力を発揮しそうだ。
「ふっ、KOしたぜ! コンティニューもいっぱいしたけど」(ゲイムマン)
「……そろそろ、原稿に取りかかりましょうか」(編集T)
ベネッサを倒すと、あとは順調に勝ち進み、ついに最終ボスの“あの人”と遭遇! が、皆さんお察しの通り、コテンパンにやられてしまってゲームオーバー。やっぱり反則的に強い。ちょっと調子に乗りすぎたか。
おまけに、スルーモードをオンにして編集Tと対戦プレイもしてみたが、2人とも操作にタイムラグを感じることはなく、ゲーセンさながらの緊張感ある格闘が楽しめた。本当はいつまでもこのディスプレイで対戦プレイを続けていたかったが、次の仕事が待っている。惜しみつつも、Xbox 360の電源を切った。
HD2452Wは、フルHDのドットバイドット表示、ゲーム用の画質モード、そしてスルーモードと二重三重の高画質技術が同時に入っていて、これらの組み合わせが次世代ゲームの性能をぐっと引き出してくれる。せっかくXbox 360やPS3を持っているなら、表示機器もそれに負けないものを選ぶことが大事なのだなと実感した。
そのほかにもHD2452Wをいろいろと触ってみたが、ゲーム向けを語るだけのことはあるとの感想を持った。従来のゲーム機では、ドットバイドットや2倍拡大の画面モードを使うことでユーザーニーズに合った画面を表示でき、PSPでは画面の横幅いっぱいに拡大できるポータブルモード、最新のゲーム機ではHDMIによるフルHD映像が味わえるなど、どんなゲーム機とつないでも、それぞれの特性を生かせる。
いろいろ選べる画面サイズに加えて、入力のタイムラグを減らしてくれるスルーモードや、暗い場面になっても映っているものが判別しやすくなるゲームモードは、ゲームのスコアに直結することもありそうで、なかなか奥が深い。
もちろん、HD2452Wの性能はPCでも映画でも力を発揮するが、それ以上にHD2452Wには、ゲームをやるときに便利な機能が多く、ここまでゲーマー視点で細かく作り込まれた液晶ディスプレイは見たことがない。HD2452WはEIZOブランドの名の通り、まさにゲームの“映像”力を高めてくれるディスプレイなのだ。
「バーチャファイター5 Live Arena」 (C)SEGA
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提供:株式会社ナナオ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2009年3月31日