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“脱”据え置き印刷機のススメ――最新A4モバイルプリンタ徹底比較(前編)小さくてもA4が出せる(2/3 ページ)

» 2008年07月01日 17時15分 公開
[林利明(リアクション),ITmedia]

プリントエンジンを主力の複合機並みに強化したPIXUS iP100

トレイを開いた状態のiP100

 キヤノンのiP100は2007年4月に発売された「PIXUS iP90v」の後継機に当たる。本体サイズは322(幅)×185(奥行き)×61.7(高さ)ミリ、重量は約2キロと、iP90vより少し大きくなったが、そのぶんプリントエンジンの性能を高めているのが特徴だ。シルバーとブラックのカラーリングには高級感があり、ボディを突起のない薄型の形状に仕上げている。

 最大の強化点ともいえるプリントエンジンだが、インクは染料C/M/Y/Bkと顔料Bkによる全5色/2カートリッジ構成、ノズル数は計1856ノズル(C/Mが各512ノズル、Y/染料Bkが各256ノズル、顔料Bkが320ノズル)、最小インクドロップは1ピコリットル、最大印刷解像度は9600×2400dpiといったスペックだ。

 従来モデルのiP90vは、染料C/M/Yカートリッジと顔料Bkの全4色インクを採用し、ノズル数は計1088ノズル(Y/M/Cが各256ノズル、顔料Bkが各320ノズル)、最小インクドロップは2ピコリットル、最大印刷解像度は4800×1200dpiだったため、全体的な性能がワンランク上に引き上げられた格好だ。

 L判フチなし写真印刷の速度は1枚あたり約42秒、A4普通紙印刷のインクコストは1枚あたり約13.4円、L判写真印刷のインク/用紙合計コストは1枚あたり約16.7円(写真用紙は光沢ゴールドを使用)をうたう。特にフォト用紙への写真印刷が高画質かつ高速になったのはうれしい。もちろん、普通紙印刷のスピードも速くなっている(印刷速度の計測結果は後編にて紹介する)。

 プリントエンジンを主力の複合機やA4単機能プリンタと比べた場合、インクが2カートリッジ構成であることと、ノズル数が少ないこと(印刷速度が遅くなること)を除けば、決して見劣りはしない。実際、iP100の画質はキヤノンの複合機の売れ筋モデル「PIXUS MP610」と同レベルにあると考えて差し支えないだろう。

 標準装備のインタフェースはPC接続用のUSB 2.0、PictBridge用のUSB、赤外線通信(IrDA)の3つだ。赤外線通信を使ったプリントビーム機能によって、携帯電話などからのワイヤレスダイレクト印刷もこなす。プリントビームは、オプションのバッテリーと組み合わせたモバイル利用との相性もよい。また、オプションのBluetooth 2.0ユニット「BU-30」(8925円)を追加すれば、PCからのプリントも無線化できる。

インクは染料4色と顔料Bkの2カートリッジ構成で、本体を薄型に仕上げるため、カートリッジの高さも抑えている(写真=左)。左側面にACアダプタ接続端子がある(写真=中央)。右側面の奥にPC接続用のUSB 2.0、PictBridge用のUSB、赤外線通信のポートを装備(写真=右)。写真はオプションのBluetooth 2.0ユニットを装着したところ

 電源は、標準ではACアダプタを用いるが、バッテリーとバッテリーチャージャーをセットにしたオプションのポータブルキット「LK-62」(8400円)を購入すれば、バッテリー駆動で約290枚の印刷が可能としている。単体のバッテリーパック「LB-60」(7350円)も販売中だ。

 用紙のハンドリングは背面給紙と前面排紙を組み合わせた一般的なスタイルだ。給紙トレイの容量は普通紙で50枚、はがきで20枚と少ないため、連続した大量印刷には適していない。また排紙トレイを持たないので、本体前方に排紙スペースを確保できる場所に置く必要がある。印刷枚数が少ない場合や、排紙スペースを取れない屋外使用などでは、自分の手を排紙トレイ代わりにしてカバーすればよいだろう。

 自動両面印刷、複数の給紙機構、CD/DVDレーベル印刷、メモリカードスロットといった付加機能はないが、全面フチなし印刷には対応しているため、オプションのバッテリーを装着し、外出先で撮影したスナップ写真をその場でL判やKGサイズにプリントして配るといった用途にも使える(その場合はPictBridgeを利用)。

オプションのリチウムイオンバッテリー(11.1ボルト 2300mAh)は背面に2本のネジで固定する仕組み(写真=左)。オプションのBluetooth 2.0ユニットは小型だ。バッテリーを装着すると、奥行きが約185ミリから約200.7ミリに、重量は約2.1キロから約2.36キロに増える(写真=中央、右)

 PCから利用するプリンタドライバはキヤノンの複合機や単機能プリンタと同じ構成だ。設定内容がタブで分かれており、通常印刷は「基本設定」タブと「ページ設定」タブを操作する。印刷品位を少し落とすことで、ブラックインクの使用量を通常よりも抑えることができる「ブラックインク節約モード」や、ブラックインクの残量がゼロになってもカラーインクでブラックを合成してモノクロ文書のプリントが行える「応急モード」も備えている。

 また、キヤノンの複合機と同様、写真印刷やさまざまなアミューズメント印刷を行う独自ソフト「Easy-PhotoPrint EX」も付属する。同ソフトを使えば、ポートレート、風景、夜景など、撮影された写真のシーンを自動判別して適正と思われる補正を行う「自動写真補正」機能が利用可能だ。赤目補正、顔くっきり補正、美肌加工といった簡単なフォトレタッチ機能も持つ。

プリンタドライバはPIXUSシリーズおなじみの構成で、「基本設定」タブと「ページ設定」タブで主な設定を行う(写真=左)。「Easy-PhotoPrint EX」では、用途別のアイコンをクリックするとそれぞれの機能にジャンプする(写真=中央)。Easy-PhotoPrint EXの「写真印刷」機能では、フォルダツリーで画像の保存フォルダを選択すると、画像がサムネイルで表示されるので、印刷したい画像と印刷枚数を指定し、用紙選択、レイアウト、印刷へと進んでいけばよい(写真=右)

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