TOUGHBOOKといえば、落としても踏んでもなんともない堅牢防水ノートPCとすぐにイメージできるほどにブランドが定着している。ただ、頑丈なだけに「デカイ」「重い」「高い」ノートPCであるのも否定できない(軽量小型のTOUGHBOOKラインアップとしてシンクライアントタイプのCF-08があるが、OSがWindows CE 5.0 Professionalであるため、使用できるソフトなどに制約がある)。
しかし、先日発表されたTOUGHBOOKの新モデル「CF-U1」は、OSにWindows Vista Business(Windows XP Professionalへのダウングレードサービスに対応したモデルもあり)を導入した通常のPCと同じ環境で使えるPCでありながら、184(幅)×151(奥行き)×57(厚さ)ミリという、「片手に載せられる」小型サイズを実現している。また、重さも1.06キロと、Let'snote LIGHT R7をわずかに上回り、Let'snote LIGHT W7より軽い。
ここで、「えええっ、片手に載るサイズなのに重さが1キロ超えているの」と突っ込んではならない。サイズ的には「VAIO type U」や「LOOX U」クラスのノートPCが1キロを超えていることになるが、大事なのは「あの頑丈なTOUGHBOOKが1キロちょっとになっちゃった」ということだ。サイズが小さくなっても堅牢性能はA4サイズのCF-30やB5サイズのCF-19シリーズに劣らない。いや、劣らないばかりか大きくて重くて高価なクラムシェルタイプのTOUGHBOOKを超える堅牢性能を実現しているのだ。「立って使うCF-U1だから、ユーザーが持つ位置も机で使うCF-30やCF-19より高くなるはず」という理由から、CF-U1はその堅牢性能テストにおいて120センチからコンクリート床に落下しても動作しつづけることを要求されているのだ。もちろん、防水性能においては、これまでのTOUGHBOOKラインアップと同じIPX7を維持している。
CF-U1のボディ形状は通常のノートPCのようなクラムシェルタイプではなく、液晶ディスプレイが固定されたスレートタイプだが、液晶ディスプレイの下にQWERTYキーボード、もしくは、テンキーをメインとしたスイッチパネルが用意されている。もちろん、液晶ディスプレイはタッチパネルを組み込んでいるため、ボディに備え付けられたスタイラスペン、または指先によるタッチオペレーションや手書き認識入力がメインになるが、キーボードを使った文字入力やカーソルキーを使った“素早く確実な”操作も可能だ。実際、フィールドワークではスイッチやボタンを用いた「確実な操作」を求められる機会が多い。そういう市場でノウハウを蓄積してきたTOUGHBOOKシリーズとしては当然のデザインということになるのだろう。
その優れた堅牢性能に注目が集まるため、意外と見落とされがちなのがTOUGHBOOKのバッテリー駆動時間だ。Let'snote LIGHTシリーズで培われてきた省電力設計のノウハウがTOUGHBOOKにも導入されているおかげで、CF-30とCF-19はともに8時間というバッテリー駆動時間を実現している。AC電源の継続供給が期待できないフィールドワークPCでは、長時間バッテリー駆動は重要な要素となる。
しかし、1.06キロという軽量化も優先されたCF-U1では、軽量化とバッテリー駆動時間を両立させるため、CF-U1は最新のモバイルPC向けCPUとなるAtomを採用した。CPUは動作クロック1.33GHzのAtom Z520、チップセットはインテル システム・コントローラー・ハブを搭載するほか、ストレージデバイスも16GバイトのSSDにすることで省電力を進めている。CF-U1は7.2ボルト、2.9アンペアアワーのバッテリーパックを2つ搭載することで、10時間のバッテリー駆動時間を実現している(なお、SSDの採用は耐衝撃性能の向上にも貢献している。そのため、パナソニックではCF-U1の構成でHDDモデルは用意しないと説明している)。
この2つのバッテリーパックはCF-U1の背面に用意されたバッテリーベイに1つずづ収容されるが、CF-U1の動作中でも、片方のパッテリーパックを抜き取ることが可能になっている。そのため、充電したバッテリーパックを多数用意しておいて、使っているバッテリーが切れそうなタイミングで交替するという運用を行えば、バッテリーパックの数だけCF-U1を動かしつづけることができることになる。
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