ソニー入魂の最高峰モバイルノート「VAIO type Z」に迫る(後編)VAIOの旗艦モデルを徹底検証(2/3 ページ)

» 2008年07月24日 11時15分 公開
[前橋豪,ITmedia]

SSD RAID 0のディスク性能は衝撃的

PCMark05 HDD関連テストの結果

 今回は、VGN-Z90USのSSD RAID 0構成の実力をもう少し詳しく調べるため、PCMark05のHDD関連テストも実施した。

 テスト内容は、XP Startup(Windowsの起動をトレース/データのリードが中心)、Application Loading(アプリケーション6種類の起動をトレース/リードが中心)、General Usage(WordやIEなど標準的なアプリケーションの使用をトレース/リード60%、ライト40%)、Virus Scan(600Mバイトのウイルススキャン/データのリードが中心)、File Write(680Mバイトのファイル書き込み/ライト100%)の5つだ。

 結果を見ると、SSD RAID 0構成のVGN-Z90USがすべてにおいて大きく勝った。とりわけ、XP Startup、Application Loading、General Usageでは10倍近くの差も見られ、ノートPCで標準的に用いられている5400rpmの2.5インチHDDと比較して、次元の違うパフォーマンスを発揮している。VGN-Z70BのHDDも決して遅くはないのだが、さすがに相手が悪い。

 同じく、ディスク性能を計測するソフトのCrystalDiskMark 2.1.5bも実行してみたところ、こちらも全スコアでVGN-Z90USが圧勝した。ランダム書き込みのスコアはわずかに遅れたが、シーケンシャルリードとライト、512Kバイトのランダムリードで167〜179Mバイト/秒という驚異的なスピードだ。デスクトップPC用の高速な3.5インチHDDでRAID 0を構築しても、ここまでのランダムリード速度は出しにくいだろう。

CrystalDiskMark 2.1.5bの結果。左がVGN-Z90US、右がVGN-Z70B

 実際にSSD RAID 0構成のVGN-Z90USとVGN-Z70Bを使い比べてみると、特にアプリケーションの起動やファイルの展開といったデータの読み出しで体感できるほどの差があった。OSの起動やシャットダウンの速度はさほど変わらないが、VGN-Z90USはWindows VistaやVAIO独自アプリケーションがとにかくテキパキと動く。3Dグラフィックスの性能を抜きにすれば、ハイスペックなデスクトップPCと同レベルの体感速度だ。これが重量1.4キロ弱のボディにおさまっているのには感動すら覚える。

ボディの発熱や静音性に無理はないか?

 type Zのパフォーマンスは分かったが、その一方で、性能とのトレードオフになりがちなボディの発熱についても調べてみた。発熱の検証は、利用時にユーザーがボディに触れる場所の表面温度を放射温度計で計測するというものだ。

 計測時のtype Zの状態は、起動から20分間アイドル状態で放置した状態と、そこからシステムに高い負荷がかかる3DMark 06のデモを30分間実施し続けた状態の2パターンとした。電源プランはSPEEDモード時が「高パフォーマンス」、STAMINAモード時が「VAIOスタミナ設定」、放熱制御は「バランス」に設定している。

 計測した部分は、アルミ製キーボードパネルの左半分/右半分、キートップの左半分/右半分、アルミ製パームレストの左半分/右半分、CFRP製ボディ底面の左半分/右半分だ。各部で最も高温になる部分を探し、温度を計測した。テスト時の室温は約25度だ。

 表面温度の計測結果は以下のグラフに示した。

ボディ表面温度の計測結果。左が20分間アイドル状態で放置した状態、右が20分間のアイドル後、3DMark 06のデモを30分間実施し続けた状態だ

 結果はパフォーマンスに優れるぶん、VGN-Z90USのほうが発熱しやすかった。特に、排気口近くのキーボードパネル左端や底面の右側は高負荷時に50度以上の熱を持つ。HDDやSSDはパームレストの左に収納しているが、高負荷時ではHDD搭載機のほうが少し熱くなりやすい傾向にあった。

 もっとも、実際に高温になるのは排気口付近のみで、全体的には40度以下の部分が多く、ユーザーが手で触れるパームレストやキートップは不快なほど熱くなることはなかった。そのパフォーマンスを考慮すると、ボディの発熱は十分抑えられている印象だ。

放熱制御の設定は3段階に切り替えられる

 室温が高い場合や気温の高い屋外など、ボディが発熱しやすい状況では、放熱制御の設定を「バランス」から「放熱優先」に切り替えてもいいだろう。また、ファンノイズが気になる場合のために「静かさ優先」の設定も用意している。

 ボディの放熱と密接な関係にある動作時の騒音に関しては、TDPが35ワットのCore 2 Duo T9600(2.8GHz)を搭載したVGN-Z90USが不利だ。アイドル時でも冷却ファンが回転しやすく、冷却機構が通常の構成と異なることもあり、VGN-Z70Bと比較してファンの回転音も大きめになっている。高負荷時ではファンが高速回転し、耳障りな異音はしないものの、風切り音は少し気になった。

 TDPが25ワットのCore 2 Duo P9500(2.53GHz)を備えたVGN-Z70Bでも、アイドル時にファンが回転するが、エアコンが動作している部屋では風切り音が気にならない程度だ。高負荷時にはさすがにファンが高速回転するが、それでもVGN-Z90USよりは静かだった。

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