テレビ関連以外にも、本機には富士通のPCらしく膨大な数のアプリケーションがプリインストールされているが(Officeスイートは付属しない)、リビングでの利用を想定した、製品のコンセプトにかなうソフトウェアをいくつか紹介しよう。
注目は、今回のモデルチェンジで追加された「おすすめコンテンツメニュー」だ。番組表からピックアップされたおすすめ番組や、自動録画が完了したおすすめ番組、さらに@niftyから提供を受けたニュースのヘッドラインの一覧を表示してくれる。好きなジャンルのテレビ番組を漠然と見たいときや、ニュースの情報を手早くキャッチしたいときなどに便利だろう。リモコンにも専用ボタンが割り当てられており、1発で呼び出せる。
また、同社が以前から展開しているコンテンツ視聴/配信のプラットフォーム「MyMedia」も、10フィートUIを採用しており、本機にふさわしいアプリケーションといえる。音楽、静止画、動画といったコンテンツの視聴はもちろん、テレビ番組の視聴や録画済み番組の再生もここから行え(実際にはDigitalTVboxの該当する機能が立ち上がる)、さらにWeb上で展開されている動画コンテンツの配信サイトを利用したり、リモコンだけでWebブラウズを楽しんだりといったことも可能だ。リモコン中央の一番目立つ位置に専用ボタンが置かれていることとあわせ、デジタルコンテンツ視聴に関するほとんどの機能へリンクできる手軽さがうれしい。
一方、必ずしもリビングでの利用に最適化されたユーザーインタフェースとはいえないものの、静止画/動画に音楽ファイルを組み合わせてビデオクリップを自動生成する「muveeNow」(機能制限つきのお試し版)や、前述のUlead DVD MovieWriter 5 for FUJITSUといった編集ソフトも、PC上のコンテンツ利用の幅を広げてくれる点で注目したい。
リビングでの利用を前提としたデスクトップPCとしては、ソニーのVAIO TP1シリーズが直接のライバルとして挙げられるが、両者は見た目の印象だけでなく、性格も大きく異なる。
こちらのレビュー記事でも触れた通り、TP1は最新モデルでテレビチューナーと視聴ソフトウェアの自社開発によって「テレビ機能に特化したPC」というコンセプトを現実のものにした。対するFMV-TEOシリーズは、モデルチェンジでリビングに持ち込みやすいデザインを獲得したとはいえ、あくまでFMVシリーズのデスクトップPCの一員として、PCならではの汎用性や使い勝手に軸足を残しているという立ち位置の違いがある。
実売価格は、上位のA90Dが19万円前後、下位のA70Dが14万円前後とTP1シリーズよりもやや安価だ。テレビ機能については、他社製の視聴/録画ソフトウェアの使い勝手が問題として残されたまま、別のアプリケーションで弱点を補完するというアプローチがとられている。操作はやや煩雑ながら、ディスクに書き出したデジタル放送の番組をカット編集できるのは強みだ。とはいえ、TP1のような番組解析機能は持たないため、どちらかといえば大好きな番組をじっくり見るというよりは、より幅広い番組を気軽に視聴するスタイルで、ディスクへの保存はどうしても残したい場合だけでよい、というライトな付き合い方を好むユーザーに適したPCといえそうだ。
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