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» 2008年08月22日 14時14分 UPDATE

Nettopの実力:フェイスの超小型PC「-est 100」でAtomと過ごす夏休み (1/2)

Eee PCやAspire oneなどNetbookに注目が集まりがちなAtomだが、どっこいデスクトップの小型PCもあなどれない。フェイスのNettop「-est100」を遊び倒した。

[鈴木雅暢,ITmedia]

期待の新ブランド「Atom」とは?

ht_0808at01.jpg フェイスのNettop「-est 100」

 秋葉原やインターネット通販で有名なPCパーツショップ「フェイス」のオリジナルPCに加わった「-est 100」は、インテルの新ブランドCPU「Atom」を採用した超小型PCだ。Mini-ITXフォームファクタを採用した容積3リットル程度の小型ボディと、Atomならではの省電力が大きな魅力である。

 インテルの新CPUブランド「Atom」は、モバイルインターネット端末(MID)や低価格デスクトップPC/ノートPC(Nettop/Netbook)向けとして新たに開発されたx86系のCPUだ。TDPが0.65〜4ワットという超省電力と低価格で、さまざまな方面から注目を集めている。Atomは「Silverthone」の開発コード名で呼ばれたZ500シリーズと、「Diamondville」の開発コード名が付けられていた200シリーズの2種類に大別される。より消費電力の低いZ500シリーズはMID向けで、低価格デスクトップ/低価格ノートPC向けに使われているのは200シリーズである。Atomのラインアップは下表にまとめた。最近流行のミニノートPCに使われているのはほとんどがAtom N270、低価格デスクトップPC向けに流通しているマザーボードに搭載されているのは、N270から省電力関連の細かい機能を省いたAtom 230である。

Atomのラインアップ
名称 動作クロック 開発コード名 1次キャッシュ 2次キャッシュ システムバス HT
230 1.6GHz Diamondville 命令32KB/データ24KB 512KB 533MHz
N270 1.6GHz Diamondville 命令32KB/データ24KB 512KB 533MHz
Z500 800MHz Silverthorne 命令32KB/データ24KB 512KB 400MHz
Z510 1.1GHz Silverthorne 命令32KB/データ24KB 512KB 400MHz
Z520 1.33GHz Silverthorne 命令32KB/データ24KB 512KB 533MHz
Z530 1.6GHz Silverthorne 命令32KB/データ24KB 512KB 533MHz
Z540 1.86GHz Silverthorne 命令32KB/データ24KB 512KB 533MHz
Atomのラインアップ
名称 SSE Intel 64 EIST 省電力ステート TDP
230 SSE2/SSE3/SSSE3 C0/C1 4ワット
N270 SSE2/SSE3/SSSE3 C0/C1(E)/C2(E)/C4(E) 2.5ワット
Z500 SSE2/SSE3/SSSE3 C0/C1(E)/C2(E)/C4(E)/C6 0.65ワット
Z510 SSE2/SSE3/SSSE3 C0/C1(E)/C2(E)/C4(E)/C6 2.0ワット
Z520 SSE2/SSE3/SSSE3 C0/C1(E)/C2(E)/C4(E)/C6 2.0/2.2ワット(HT)
Z530 SSE2/SSE3/SSSE3 C0/C1(E)/C2(E)/C4(E)/C6 2.0/2.2ワット(HT)
Z540 SSE2/SSE3/SSSE3 C0/C1(E)/C2(E)/C4(E)/C6 2.4/2.64ワット(HT)

ACアダプタ駆動の小型ケースを採用

 本機のPCケースは、フェイスの運営会社でもあるユニットコムの「ITX-100」を採用している。Mini-ITXフォームファクタに対応しており、ボディサイズは実測値で185(幅)×240(奥行き)×70(高さ)ミリ、容積にして約3.1リットルとコンパクトだ。光沢ブラックのカバーにミラー加工したフロントパネルを組み合わせたシンプルな外観も好印象だ。電源ユニットは内蔵せず、付属する60ワットのACアダプタで駆動し、ボディ、ACアダプタともにファンレスである。1つ気になったのはACアダプタが、接続時に少々外れやすいことだ。極端に固定が弱いわけではないがケーブル抜け防止の装置がなく、バッテリーを備えたノートPCと違って電源オンの状態でACアダプタが外れてしまうと電源供給が停止してしまうので、もう少し強固なほうがベターだろう。

 ケース内部はMini-ITXのマザーボード(170×170ミリ)がギリギリ入るサイズのため拡張性は最小限だ。ノートPC用のスリムタイプの光学ドライブと2.5インチHDDが1基ずつ内蔵できるだけで、マザーボード上にある拡張スロットを活用するためのスペースは確保されていない。一方で内部が狭いわりにメンテナンス性はそれほど悪くなく、天板は2つの手回しネジで外すことができ、さらに光学ドライブベイと、2.5インチHDDベイを一体化したマウンタを取り外せばマザーボードにアクセス可能だ。

ht_0808at02.jpght_0808at03.jpght_0808at04.jpg 前面のカバーを開けるとDVDスーパーマルチドライブや2基のUSB 2.0、ヘッドフォン、マイク端子が顔を出す(写真=左)。側面には通風口が開いており、縦置き用のスタンドもないため、ボディ内の換気を考えると横置きで利用したい(写真=中央)。背面には4基のUSB 2.0、100BASE-TXの有線LAN、アナログRGB出力、パラレル、シリアル、サウンド、PS/2端子などが並ぶ(写真=右)

ht_0808at05.jpght_0808at06.jpg 背面にある2本の手回しネジを回すと、天面のカバーが取り外せる(写真=左)。DVDスーパーマルチドライブとHDDを搭載したユニットを外せばマザーボードが現れる。ACアダプタはサイズが63(幅)×108(奥行き)×32(高さ)ミリ、重量が約460グラムある

インテル純正の定番Atomマザーボードを搭載

ht_0808at07.jpg インテルのMini-ITXマザーボード「Intel D945GCLF」

 本機の中核をなすのは、Atom 230をオンボード搭載したIntelのMini-ITXマザーボード「D945GCLF」だ。自作市場におけるAtomプラットフォームのリファレンス的な存在であり、いち早く市場に登場したこともあって大ヒットを記録した製品だ。

 オンボードのAtom 230は、動作クロック1.6GHz、2次キャッシュ512Kバイトというスペックをもつ低価格デスクトップPC向けのモデルで、ノートPC向けのN270などと比べて省電力関連の機能が簡素化されていることからAtomシリーズの中では最も消費電力が高いが、それでもTDPは4ワットに過ぎない。ノートPC向けのCore 2 Duo Tシリーズ(TDP 35ワット)、超低電圧版のLシリーズ(TDP 10ワット)などと比べても圧倒的に低消費電力だ。

 Atomのパッケージ上には小さなヒートシンクが搭載されているのみで、ファン付きの大きなヒートシンクが付いているのは、Intel 945GC/ICH7チップセットのノースブリッジ(MCH)である。Intel 945GCは、3世代前の主力チップセットをローエンド向けにリファインしたもので、対応メモリはDDR2-667(PC2-5300 DIMM)までとなっている。

 ボード上のメモリソケットは1基のみで、本機では2GバイトのPC2-6400 DIMMを装着していた。D945GCLFはPC2-6400 DIMM(DDR2-800)を利用するとチップセット仕様上限の667MHzでは動作せず、533MHzでしか動作しないことが知られているが、評価機の場合もやはりメモリは533MHzで動作していた。

ht_0808at08.jpght_0808at09.jpght_0808at10.jpg CPUのAtom 230(写真=左)。ノースブリッジのIntel 945GC(写真=中央)とサウスブリッジのIntel NH82801GB(写真=右)。チップのサイズはノースブリッジが最も大きく、冷却ファンもノースブリッジにだけ取り付けられている

 グラフィックス機能はチップセット内蔵のIntel GMA 950を利用する。DirectX 9に対応しており、Windows VistaのAeroは問題なく動作するが、デジタル出力には対応せず、アナログRGB出力のみである。6ch出力対応サウンド、有線LAN(100BASE-TX)はともにオンボード搭載の機能を利用している。

 光学ドライブは、パイオニアのDVDスーパーマルチドライブ「DVR-KD08/MP」を搭載。DVD±R DLやDVD-RAMの読み書きに対応する。HDDは、Serial ATAインタフェースに対応し、120Gバイトから500Gバイトまで幅広く用意され、120Gバイトと160Gバイトでは回転数5400rpmに加えて7200rpmの製品も選べる。評価機ではWestern DigitalのWD2500BEVS(250Gバイト/5400rpm)を内蔵していた。

 なお、マザーボード上にPCIスロットが1基あるが、ケースにスロットが用意されていないため利用できない。また、フェイスのオリジナルPCは本来ならBTOメニューで非常に細かいカスタマイズが可能なのだが、さすがにこのミニサイズでは制限が大きく、ほとんどのスペックが固定だ。複数の選択肢が用意されているのはHDDくらいで、ほかではOS(なし/Windows XP Home Edition SP2/Windows XP Professional SP2)、Office 2007、保証期間(1年間/3年間)など付随的なものに限られる。

ht_0808at11.jpght_0808at12.jpght_0808at13.jpg CPU-Z 1.46の情報表示画面(写真=左)。「Diamondville」の開発コードネームのほか、拡張命令のSSE2/SSE3/SSSE3、Intel 64などへの対応も確認できる。Atom 230はシングルコアCPUだが、2スレッドを同時実行するHyper-Threading機能をサポートしているため、OSからはコアが2つあるように見える(写真=中央)。GPU-Z 0.2.7の情報表示画面(写真=右)。チップセット内蔵のグラフィックス機能を利用する

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