本体前面の右下には、全部で6つのボタンが並ぶ。左から順に、入力系統の切り替え、ピクチャーバイピクチャー(PBP)の有効/無効、メニュー/決定、−ボタン、+ボタン、電源といった構成だ。OSDメニューが非表示の状態で「−ボタン」を押すと、輝度とコントラストを変更するショートカットメニューが表示される。
OSDメニューの中で画質に関連する設定項目は、入力カラー形式(RGB/YPbPr)、ガンマ(PC/Mac)、カラー設定モード(グラフィックス/ビデオ)、プリセットモード、シャープネス、ダイナミックコントラストなどが用意されている。プリセットモードとは用途別の画質モードのことだ。色温度の設定はプリセットモードの項目に配置されているが、寒色/暖色/カスタム(RGB個別調整)という選択肢だけで、ケルビン値による指定はできない。
画質調整でメインとなるのは、カラー設定モードとプリセットモードだ。カラー設定モードが「グラフィックス」の場合、プリセットモードの選択肢は、デスクトップ、マルチメディア、ゲーム、Adobe RGB、sRGB、暖色、寒色、カスタム(RGB個別調整)となる。カラー設定モードが「ビデオ」だと、プリセットモードの選択肢はムービー、ゲーム、スポーツ、自然色で、色相と彩度も調整可能だ。ただし、コンポーネントビデオやS-Videoなどのアナログビデオ入力の場合は、カラー設定モードは常に「ビデオ」だ。
OSDメニューを使ってみた感覚としては、動作が少しゆったりしており、特に入力系統の切り替えが遅かった。入力系統の切り替えボタンはトグル式で映像入力が順番に変更されるのだが、3008WFPは映像入力が8系統と多いため、目的の映像入力に到達するまでに時間がかかる場合も少なくない。そのため、ボタンを使うよりもOSDメニューの中から目的の入力系統を直接指定するほうが早いこともある。
プリセットモードについては、多くの選択肢でコントラストや彩度が高く設定されているようだ。また、デフォルトではシャープネスが強いので、少し弱めたほうが見やすくなる。プリセットモードは表示内容によって最適な設定が変わってくるので、「デスクトップ」を基本に、用途や入力機器によって切り替えながら使うのが無難だろう。
ただし、ほとんどの設定項目が、すべての入力系統で共通になってしまうのは残念だ。輝度とコントラスト、ダイナミックコントラストの設定は、全入力系統で共通となる。ダイナミックコントラストは動画やゲームで有効、一般的なPC用途で無効というのがベターな設定だが、有効と無効をOSDで切り替えるのに10回ほどのボタン操作が必要なのは少し面倒に感じた。
カラー設定モードとプリセットモードは、PC入力(DVI-D/DisplayPort/D-Sub)で共通、AV入力(HDMI/コンポーネントビデオ/S-Video/コンポジットビデオ)で共通だが、PC入力とAV入力は別々で記憶してくれる。カラー設定モードとプリセットモードも、OSDメニューから切り替えるには10回前後のボタン操作が必要だ。
ピクチャーバイピクチャー(PBP)は、2つの入力系統を同時に表示する機能だ。画面を左右に分割し、2つの入力系統を同じサイズで同時に表示する。3008WFPは30型ワイドの大画面なので、例えばPC画面の解像度が1280×1024ドット(SXGA)くらいまでなら、BPBによる表示でも十分な視認性で操作できる。なお、親画面の一部に子画面を小さく表示するピクチャーインピクチャー(PIP)機能は持っていない。
PBP表示できるのは、メイン入力(D-Sub/DisplayPort/コンポーネントビデオ)と、サブ入力(DVI-Dの2系統/HDMI/S-Video/コンポジットビデオ)の組み合わせだ。D-SubとDisplayPortのPBP表示や、DVI-DとHDMIのPBP表示はできない。本体前面のPBPボタンを押すとPBP表示となるが、OSDメニューでもPBP表示を有効にできる。
PBP表示中も、メイン入力とサブ入力を切り替えることが可能だ。画質の調整にも対応しており、メイン入力では前述した画質関連のOSD項目がすべて使える。サブ入力がDVI-D/HDMIの場合は、プリセットモードのデスクトップかsRGB、コントラスト調整が行える。サブ入力がHDMI/S-Video/コンポジットビデオの場合は、プリセットモードのムービーか自然色、コントラスト、色相、彩度を調整できる。
2560×1600ドット未満の解像度を入力したときは、ドットバイドット(1:1)、アスペクト比固定拡大(縦横比)、アスペクト比を無視したフルスクリーン拡大(全画面)という3通りのスケーリング機能が使える。大半の入力系統と入力解像度で、ドットバイドットとアスペクト比固定拡大で正しく表示できた。
ここではDVI-D/DisplayPort/HDMIでPC接続したとき、ドットバイドット表示できた解像度を調べて下表に示した。試用したグラフィックスカードはPalitの「GeForce 9600GT Sonic」で、OSはWindows XP(SP3)、ドライバは「NVIDIA ForceWare」のバージョン「174.74」だ。テスト時点の最新バージョンは「175.19」だったが、このバージョンではDisplayPort接続が正常に表示できなかったため、古いバージョンで確認した。
また、DisplayPort接続時にWindows XP(SP3)のデバイスマネージャを見ると、プラグアンドプレイ機能がうまく動作していないようで、モニタの種類が「既定のモニタ」だったり、「プラグアンドプレイモニタ」や「Dell 3008WFP(DP)」だったりと、認識が安定しない現象に遭遇した。3008WFPの付属CD-ROMから適切なINFファイルを組み込んだものの、認識が「既定のモニタ」になっている状態だと、ほとんどの入力解像度が正しく表示できず、スケーリング機能の種類に関係なく、液晶パネル解像度であるWQXGA(2560×1600ドット)も表示できない場合があったことには悩んでしまった。
この原因が試用した3008WFPなのか、グラフィックスカードやドライバ、ケーブルなのかは不明だが、別のPCで試した場合でもDisplayPortの表示が安定しなかった。DisplayPortの動作が不安定なときは、デュアルリンクDVI-Dで使ったほうがよいだろう。
ちなみに、デルが現在販売しているPCにDisplayPortを搭載しているモデルはなく、将来を見越してディスプレイに先行搭載している状況だ。デルによると「将来販売されるデルのDisplayPort搭載PCとは動作確認を取るが、現存する他社のDisplayPort搭載PCでの動作は保証外となる」とのことなので、注意してほしい。
PCの接続端子とドットバイドットで表示できた解像度 | |||
---|---|---|---|
解像度\端子 | DVI-D | DisplayPort | HDMI |
800×600 | ○ | ○ | ○ |
1024×768 | ○ | ○ | ○ |
1152×864 | ○ | × | ○ |
1280×720 | × | × | ○ |
1280×800 | ○ | ○ | ○ |
1280×1024 | ○ | ○ | ○ |
1600×900 | × | × | × |
1600×1200 | ○ | ○ | ○ |
1680×1050 | ○ | ○ | ○ |
1920×1080 | × | × | ○ |
1920×1200 | ○ | ○ | ○ |
1920×1440 | ○ | × | × |
なお、HDMIやコンポーネントビデオでAV機器を接続した場合でも、3通りのスケーリング機能が使えた。プレイステーション 3で確認してみたが、720p、1080i、1080pの入力において、ドットバイドットとアスペクト比固定拡大で正しく表示できた。1080iの表示であってもI/P変換の不具合などによる不自然なチラツキは感じない。
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