現在Intelは、サーバ向けCPUであるXeonにおいて、2-way以下(Dual Processor:DP)と4-way以上(Multi Processor:MP)とでラインアップを分けている。Nehalem世代では、Xeon DP向けが「Nehalem EP」、Xeon MP向けが「Nehalem EX」という開発コード名で準備が進められている。2008年第4四半期に登場するのはNehalem EPのラインアップで、主にクアッドコア以上のXeonを中心に、こちらは一気に置き換わる。Xeon MPのラインアップは、先日発表されたPenryn世代のヘクタコア(6コア)モデルとなる“Dunnington”が担うことになり、Nehalem EXへの移行は2009年以降に始まるとされている。
Nehalem EPでは、“Tylersburg EP”ことIntel X58 Expressチップセットが利用される。Intel X58 ExpressではQPIにより2-wayまでのCPU接続が可能で、1つのCPUごとに3チャネルのDDR3インタフェースが用意される。Intel X58 ExpressにはPCI Expressへのインタフェースを内蔵しており、それ以外のI/OについてはICH9またはICH10を利用する。
一方、Nehalem EXのシステム構成はやや複雑で、4-way時には最低でも3つのQPIが必要になる。対応するチップセットは「Boxboro EX」(開発コード名)で、Nehalem EXを挟む形でPCI Expressへのインタフェースを提供する。
デスクトップPC向けのNehalemでは、ハイエンド向けとメインストリーム向けで大きくシステム構成が異なる可能性がある。2008年第4四半期にリリースされるのはハイエンド向けのNehalemで、すでに正式名称が「Core i7 Extreme」と決まっている。
Core i7 Extremeの基本構成はNehalem EPと同じで、3チャネルのDDR3インタフェースに、Intel X58 Express(Tylersburg)+ICH10という構成を採ることになる。なお、グラフィックスカードはIntel X58 Expressに接続される。コアの数もCore i7 Extreme自体は最大4コアで、オクタコアのデザインが2009年に追加される予定はないといわれている。
メインストリーム向けのNehalemでは、ハイエンド向けとチップセット構成が異なる可能性がある。また、メモリインタフェースのチャネル数は2つと、Core i7 Extremeの3つより少なくなっている。ハイエンド向けNehalemの構成と大きく異なるのが、開発コード名で「Ibex Peak」と呼ばれるチップセットの役割だ。Intel X58 Expressは、PCI ExpressへのインタフェースとICH(サウスブリッジ)へのブリッジの提供が主な役目なのに対し、Ibex PeakではICHのI/O機能を統合しているため、ICHと組み合わせる必要がない。その一方で、グラフィックス用のインタフェースがCPU側に統合されるため、メインストリーム向けのプラットフォームではグラフィックスカードがCPUに直付けする形となる。
このような構成になることで、メインストリーム向けではグラフィックス機能を統合したNehalemが登場する可能性もある。もともとNehalemでは、メモリコントローラのほかにも、グラフィックス機能をCPUへ内蔵する可能性が示唆されていた。コスト削減のためにチップの数を減らしたいミドルレンジからバリュークラスのPCでグラフィックス機能をCPUに統合していくのは、極めて自然な流れだ。2つの機能を1つのダイにまとめるのか、あるいは別々のダイで用意して1つのパッケージにまとめるのか、その形態は不明だが、メインストリーム向けのNehalemが投入される2009年には何らかのアナウンスが期待される。
なお、自作PCユーザーとしては、Nehalemではパッケージデザインが変更される点に注意をしておきたい。Core 2 Duo世代のLGA775に対して、Nehalemでは「LGA1366」という新ソケットを採用している。LGA775は正方形だが、LGA1366では長方形となっており、ややサイズも大きい。そもそもメモリインタフェースの違いやチップセットまわりのデザインも異なることもあって、いま使っているPCパーツでマザーボードは流用できないことになる。Nehalem導入を考えている自作PCユーザーは心機一転、マザーボードからシステムを一新することから検討してほしい。それはそれで、楽しい時間となるはずだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.