Nehalemを理解しようIntel Developer Forum 2008(2/2 ページ)

» 2008年08月29日 11時00分 公開
[鈴木淳也,ITmedia]
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DPサーバとMPサーバ向けのNehalem構成

 現在Intelは、サーバ向けCPUであるXeonにおいて、2-way以下(Dual Processor:DP)と4-way以上(Multi Processor:MP)とでラインアップを分けている。Nehalem世代では、Xeon DP向けが「Nehalem EP」、Xeon MP向けが「Nehalem EX」という開発コード名で準備が進められている。2008年第4四半期に登場するのはNehalem EPのラインアップで、主にクアッドコア以上のXeonを中心に、こちらは一気に置き換わる。Xeon MPのラインアップは、先日発表されたPenryn世代のヘクタコア(6コア)モデルとなる“Dunnington”が担うことになり、Nehalem EXへの移行は2009年以降に始まるとされている。

 Nehalem EPでは、“Tylersburg EP”ことIntel X58 Expressチップセットが利用される。Intel X58 ExpressではQPIにより2-wayまでのCPU接続が可能で、1つのCPUごとに3チャネルのDDR3インタフェースが用意される。Intel X58 ExpressにはPCI Expressへのインタフェースを内蔵しており、それ以外のI/OについてはICH9またはICH10を利用する。

 一方、Nehalem EXのシステム構成はやや複雑で、4-way時には最低でも3つのQPIが必要になる。対応するチップセットは「Boxboro EX」(開発コード名)で、Nehalem EXを挟む形でPCI Expressへのインタフェースを提供する。

サーバ向けNehamlemのロードマップ。2008年にリリースされるのはDPサーバ向けのNehalemで、MP向けやローエンド向けは2009年から登場する
Intel X58 Expressを使ったDPサーバの基本デザイン
MPサーバではQPIのリンク数が増え、チップセットにはBoxboro(開発コード名)が用いられる

デスクトップPCとノートPC向けNehalemの構成

デスクトップPCとノートPC向けのNehalemで最初に登場するのはハイエンドデスクトップPC向けのCore i7 Extremeだ。ハイエンド以外のモデルは2009年になってから登場する予定で、ミドルレンジ以下のラインアップはPenryn世代としばらく併存することになる

 デスクトップPC向けのNehalemでは、ハイエンド向けとメインストリーム向けで大きくシステム構成が異なる可能性がある。2008年第4四半期にリリースされるのはハイエンド向けのNehalemで、すでに正式名称が「Core i7 Extreme」と決まっている。

 Core i7 Extremeの基本構成はNehalem EPと同じで、3チャネルのDDR3インタフェースに、Intel X58 Express(Tylersburg)+ICH10という構成を採ることになる。なお、グラフィックスカードはIntel X58 Expressに接続される。コアの数もCore i7 Extreme自体は最大4コアで、オクタコアのデザインが2009年に追加される予定はないといわれている。

 メインストリーム向けのNehalemでは、ハイエンド向けとチップセット構成が異なる可能性がある。また、メモリインタフェースのチャネル数は2つと、Core i7 Extremeの3つより少なくなっている。ハイエンド向けNehalemの構成と大きく異なるのが、開発コード名で「Ibex Peak」と呼ばれるチップセットの役割だ。Intel X58 Expressは、PCI ExpressへのインタフェースとICH(サウスブリッジ)へのブリッジの提供が主な役目なのに対し、Ibex PeakではICHのI/O機能を統合しているため、ICHと組み合わせる必要がない。その一方で、グラフィックス用のインタフェースがCPU側に統合されるため、メインストリーム向けのプラットフォームではグラフィックスカードがCPUに直付けする形となる。

 このような構成になることで、メインストリーム向けではグラフィックス機能を統合したNehalemが登場する可能性もある。もともとNehalemでは、メモリコントローラのほかにも、グラフィックス機能をCPUへ内蔵する可能性が示唆されていた。コスト削減のためにチップの数を減らしたいミドルレンジからバリュークラスのPCでグラフィックス機能をCPUに統合していくのは、極めて自然な流れだ。2つの機能を1つのダイにまとめるのか、あるいは別々のダイで用意して1つのパッケージにまとめるのか、その形態は不明だが、メインストリーム向けのNehalemが投入される2009年には何らかのアナウンスが期待される。

Core i7 Extremeのシステム構成。3チャネルのDDR3インタフェースを搭載する。CPUが1つということ以外はNehalem EPとほぼ同じ
ハイエンド向けNehalemに対応するチップセットが2チップ構成なのに対して、ミドルレンジ以下のNehalemに対応するチップセットでは2チップ構成を採る。従来のサウスブリッジで担っていたI/O機能がIbex Peakでは1つのチップセットに統合される一方で、グラフィックス用のインタフェースはCPU側に移動している。また、メモリはDDR3の2チャネルとなる。これらがハイエンド向けと大きく異なる点だ

 なお、自作PCユーザーとしては、Nehalemではパッケージデザインが変更される点に注意をしておきたい。Core 2 Duo世代のLGA775に対して、Nehalemでは「LGA1366」という新ソケットを採用している。LGA775は正方形だが、LGA1366では長方形となっており、ややサイズも大きい。そもそもメモリインタフェースの違いやチップセットまわりのデザインも異なることもあって、いま使っているPCパーツでマザーボードは流用できないことになる。Nehalem導入を考えている自作PCユーザーは心機一転、マザーボードからシステムを一新することから検討してほしい。それはそれで、楽しい時間となるはずだ。

ソケット形状もNehalemでは変化している。従来よりも大型サイズで長方形のLGA1366を採用する
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