MSIから発売されて数カ月経つ「P45 Platinum」は、インテルの最新チップセット「Intel P45 Express」を搭載したATXマザーボードだ。すでにASUS「Maximus II Fourmula」のレビューでも紹介したように、Intel P45 Expressチップセットは、2008年に登場した「インテル 4」シリーズのなかでメインストリームと位置づけられているモデルで、2007年に登場したIntel P35 Expressチップセットの後継となる。Intel P35 Expressとの違いとしては、オーバークロック機能を使えばFSB1600MHzへやDDR2-1200/DDR3-1600メモリへ対応できることや、最大で16Gバイトのメモリを搭載できることなどが挙げられる。
P45 Platinumは、MSIのマザーのラインアップにおいてDDR2対応のハイエンドモデルという位置づけになる。同社のDDR3対応Intel P45 Expressマザーの「P45 Diamond」とともに、MSIはゲームユーザーを強く意識したラインアップとしているが、これは、ASUSの「R.O.G.シリーズ」の対抗となるもので、オーバークロックを実現する各種機能やギミックを実装し、ハイチューンの設定でも安定して動作する高品質の部材を採用するなど、「遊べる」機能を豊富に用意している。
P45 Platinumでまず目を引くのが、ノースブリッジに取り付けられた扇形のヒートシンクだ。この大型のヒートシンクとサウスブリッジや電源回路のレギュレータに取り付けられたヒートシンクを5本のヒートパイプでつないでいる。MSIの資料には、通常型のヒートパイプと比べて大幅に冷却能力がアップしたと説明されている。
P45 Platinumでは、5フェーズ式の電源回路が導入された。12フェーズや16フェーズといった多相仕様が当たり前となっている最近の高性能マザーボードとしては、5フェーズは見劣りするように思えるが、MSIの独自技術のおかげで、同等の安定性を実現している。
その要因となるのが、P45 Platinumの電源回路に採用された「DrMOS」だ。従来「ドライバIC」と2種類の「MOS型FET」という3つの部品から構成されている回路をDrMOSにまとめたことで、高効率な電源変換を可能にし、消費電力の低減や内部インピーダンスの低減を実現している。サーバなどの業務分野でしか使われていなかったドライバ型MOS FET電源回路を採用したことで、16フェーズ電源回路クラスの信頼性を持つとMSIは説明している。
P45 Platinumの5フェーズ式電源回路は、CPU負荷に応じて使用するフェーズを制御をでき、それに伴ない省電力も実現している。この機能は、BIOSの設定項目か、MSIのオーバークロックツール「Core Center」に用意された「Green Power Center」から有効にできる。動作している電源回路の数を、マザーボード上にある5つのLEDで表示できるため、負荷に応じて有効になっているフェーズがいくつあるのかをユーザーも把握できる。
さらに、ノースブリッジやメモリ用の電源回路も2フェーズ化されており、従来よりも12℃も発熱を低くすることに成功しているとMSIは説明している。もちろん、使用されているコンデンサは、すべて固体電解コンデンサで、重負荷、高速動作における信頼性を高めている。
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