またしても先行したモバイルノート――「FMV-BIBLO LOOX R/B70」に迫るSFF版Centrino 2を初採用(3/3 ページ)

» 2008年09月24日 16時00分 公開
[鈴木雅暢,ITmedia]
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プラットフォームは進化したが、パフォーマンスはほとんど変化なし

 Montevina SFFの実力はどの程度のものか、ベンチマークテストを実施してみた。PC USERでは過去に初代機、および先代機のカスタマイズモデルのレビューを掲載しているが、それとの比較が参考になるだろう。

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 まずWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアからだが、CPUのスコアは初代機とまったく同じ「4.4」だった。DDR3となったメインメモリ、DirectX 10コアに進化したグラフィックス/ゲーム用グラフィックスで若干のスコアアップが確認できる。

 通常用途の快適さの目安となるベンチマークテストプログラムのPCMark05 1.2.0のスコアについても、初代機からほとんど変わっていない。2次キャッシュが減ったぶんとメインメモリが高速になったぶんがちょうど相殺されているような印象だ。

 DirectX 9.0cに対応した3D描画性能をチェックするベンチマークテストプログラムの3DMark06 1.1.0では、初代機に比べて20%ほどの性能向上が確認できるが、本格的なゲームタイトルをプレイするための水準には遠く及ばない。また、DirectX 8.1世代のゲームタイトルをベースにしたFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3での性能向上は約15%だった。スコアからは快適なプレイとまではいかないが、体感で少し実感できる程度には向上している。

左から、PCMark05、3DMark06、FF XIベンチのテスト結果

 バッテリー駆動時間のテストは海人氏作の「Bbench 1.01」を利用して行った。「バランス」の電源設定(輝度40%)の状態で、10秒おきにキーボード押下、60秒ごとに無線WAN(IEEE802.11g)によるインターネット巡回(10サイト)を行うという少々厳しい設定でテストしたところ、駆動時間は約4時間18分だった。従来同様、バッテリー駆動時間は優秀といえる。

ファンの冷却はユーザーが3段階に制御できる

 なお、これらのテストは「静音ユーティリティ」をデフォルトの「通常」に設定して行なった。システムの負荷時に耳を近づけると、冷却ファンの風切り音を確認できるものの、本体をデスクに置いて背を伸ばした通常の姿勢で利用しているぶんには、まったく気にならなかった。

 また、室温が27度の環境下で、一連のベンチマークテスト終了後にボディがどれだけ発熱したのかを放射温度計で測定してみた。最も熱を持つ底面のフェルト部分で45度、パームレスト部分は左右とも34〜36度、手が触れる部分では最も高かったキーボード左上部分でも38.5〜39.5度前後とクールさを保っていた。SFFのCPUとチップセットが生かされ、熱設計は先代モデルから引き続き、極めて優秀といえる。

薄型軽量モバイルノートPCとしての魅力は健在

 LOOX Rは、もともと初代機からSFFパッケージのCPU/チップセットをいち早く採用し、その恩恵を生かしてボディを最適化していただけに、Montevina SFFにアップグレードされたことによるインパクトは小さなものだ。

 光学ドライブがDVDスーパーマルチドライブにとどまり、HDMIやDisplayPortなども装備していないため、GS45チップセットのポテンシャルも最大限に引き出せてはいない。GS45/GM45チップセットの動画再生支援機能にしても、ソフトウェアの対応状況はあいまいなものがあり、従来のGM965チップセットより進化していることは確実なものの、現状で過大な評価は禁物ではある。

 もちろん、ノートPC向けのBlu-ray Discドライブはまだ割高だし、再設計のコストとHDMIやDiskplayPortへのニーズを天秤にかければ、2008年の秋冬モデルとしてこのような仕様を採用をしたことは十分理解できるし、部分的にでも新しい設計となっているのは心強い。

 進化した部分が多くないとはいえ、モバイルノートPCとしての完成度は従来から高いレベルに達しており、それは本機にも継承されている。先代機から引き続き、1.5キロ以下クラスの光学ドライブ搭載モバイルノートPCの中で魅力的な存在であることは確かだ。

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