現在β版で提供されている「Microsoft Silverlight 2」(以下、Silverlight 2)が、来週正式に公開される。最終版のリリースに先駆けて、マイクロソフトはその製品概要や主要パートナー企業を紹介する記者説明会を行った。
Silverlight 2は、WindowsとMac OSに対応し、IE、Firefox、Safariといった主要Webブラウザで利用できるクロスプラットフォーム&クロスブラウザのWebブラウザプラグインだ(Linuxへの対応は、同社がオープンソースプロジェクトに技術提供をしており、Moonlightの名で開発されている)。2007年9月にリリースされたSilverlightの機能拡張版で、メディア機能関連では従来のVC-1コーデックによるHD映像(720p)のサポートに加え、同社が開発中のDRM技術“PlayReady”を基盤とした「Silverlight DRM」や、マルチスケールの画像をシームレスにつなぐ「DeepZoom」といった最新技術を実装しているのが目を引く。
説明会の冒頭に登壇した、マイクロソフト執行役デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の大場章弘氏は、現在のWebを取り巻く技術や業界のトレンドを総括して、「(最近のマイクロソフトが掲げる)“ソフトウェア&サービス”の世界を推し進めるうえで、Silverlightが重要な技術になる」と説明し、リッチなUIや分かりやすい操作性を持つRIA(リッチインターネットアプリケーション)開発が今まで以上に重要になると強調した。
また、同氏が「例えばブラウザのシェアを考えるとMS(の製品)だけに固執するのは意味がない。マルチプラットフォームの重要性は理解している」と語るように、このSilverlightは、インターオペラビリティ(相互運用性)に関して消極的な印象のあったマイクロソフトが、Webアプリケーションの世界に打って出るための重要な足がかりでもある(例えば、MacのSafariでGyaOの視聴が可能になったことをよろこぶユーザーは少なくないはずだ、たぶん)。なお、同社はクロスプラットフォームに関して「絶対とは言い切れないが」と前置きしたうえで、「開発は継続する」「プラットフォーム間での機能差はつけない」「リリースのタイミングは同じ」という3点を挙げ、社内でもインターオペラビリティに注力する風潮ができているとアピールした。
大場氏はSilverlight 2に対応したパートナー企業として、USENの高野輝次氏、エス・エス・ジェイの尾花氏、アクセンチュアの土屋氏を壇上に招き、パートナーエコシステムの拡充によって「新しい次世代のアプリケーション体験をユーザーに提供していきたい」と、正式リリースを目前にひかえたSilverlight 2への期待を語った。
ちなみに、Silverlight 2はすでにβ版が公開されており、今回の説明会で最も目新しいニュースといえば“10月第3週中に正式版を全世界同時にリリースする”という内容になるが、具体的な日時については明らかにされていない。
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